ガチャ1051回目:最速稼ぎ
「……すごい数だな」
『クラーケン』からサメまでのルートでレア9体も多い方ではあったが、それとは比べ物にならないレベルで赤丸が周辺マップに映り込んでいる。まあ、デコピン1発で4体も湧いたのに、数十分進み続けて9体しか出現しなかったのには訳がある。それは、『討伐担当などを決めずに全員が狩りをしていたから』だ。その為、各個人で討伐数が100を超えるたびにレアが出現する方式になっていた為、サメとの戦闘の際は100手前でキープしていた嫁が何人もいたんだよな。
その上今回は、アズが「盛大にやっても良い?」なんて言ってたから、その影響で直線上だけじゃなくて周辺海域にいる雑魚を集めながら進軍しているせいで、討伐数はすでに数千体を超えていた。
しかし、どんだけ湧いてたんだよ。これが10年近くルミナスによって海流の封が施されていた結果か。最初にマップで見た時もこんなに数はいなかったのは、海中からではなく地上から表面的な部分しか見えていなかったせいかな? 浅瀬ならそこは見えても、水深が深い場所までは空中からは見えていないように、マップも実際の完成度としては数割程度だったんだろう。
「ようやくゴールか」
そうしてカメらしき存在が目視可能なところにまで近付く事に成功した訳だが……。
「何体に増えた?」
『えっとー……36体ね♪』
「oh……」
レアの状態で維持するのは面倒だから、レアⅡにした上でアズとクリスが捕獲し続けている。その数は36には満たないが、少し後ろの方で倒されて煙になっているレアの数も合わせて、36ということだろう。あっちはテレサとマリーが見張ってくれているし、問題はないかな。
「にしても、増えたなぁ……」
「それくらい底の方で大繁殖してたってことよね」
「ん。ショウタと出会う前のスタンピード発生時よりも乱射した」
『それでどうするマスター? レアⅢ発生するかのチェックも大事だけど、全部まとめてやるとレベルがだいぶ勿体無い事になるわよ』
「そうだな……。この数のレアと雑魚を蹴散らした事で、俺のレベルも180から182に上がっちゃったし、小分けして倒していくか」
『オッケー♪』
「承知致しましたわ」
出現したレアⅡは、漏れなくレベルとスキルに還元してしまおう。
『それじゃまずは8体ね』
俺の目の前に、捌かれるのを待つ魚のように、『ブレードフィッシュ』が並べられた。
「んじゃ、1回目の……『閃撃・一刀破断』!」
『斬ッ!』
【レベルアップ】
【レベルが182から224に上昇しました】
んじゃ、早速レベルをスキルに変えてと。
『次行くわよー♪』
「おう。とりあえず2……いや、4体で」
『はーい♪』
『斬ッ!』
【レベルアップ】
【レベルが24から260に上昇しました】
「やっぱ多すぎたか」
でも、勿体なくともレアⅢの条件は最低限満たしておきたいしな~。
「次からも4体で」
『はーい♪』
「はいっ」
『斬ッ!』
【レベルアップ】
【レベルが60から255に上昇しました】
『斬ッ!』
【レベルアップ】
【レベルが55から256に上昇しました】
『斬ッ!』
【レベルアップ】
【レベルが56から256に上昇しました】
『斬ッ!』
【レベルアップ】
【レベルが56から256に上昇しました】
『斬ッ!』
【レベルアップ】
【レベルが56から256に上昇しました】
うん、良い感じに処理できたな。今までこういった本格的なレベル稼ぎは、『充電』の時くらいしかしてこなかったんだが、やっぱりガチ目にやり始めると際限なく上がり続けるな。
この手の作業をやればやるほどに目標の『運』値に近付けはするんだが、やっぱり作業感があるから冒険心が萎えるというか、楽しくないんだよな~。やっぱり俺には、強敵と正面から堂々と戦って勝利を収めて、そのついでにレベルを上げる方が性に合ってる。
『おかわりは……不要そうね』
「ああ、今からあのカメに挑む。皆は邪魔が入らないようにだけしてくれ」
『はーい♪』
さて。まずはあのカメだが、以前のスタンピードで見た時と同じ『島亀』という種類のものと同種だとは思う。なんて言ったって、首や手足を引っ込めてぷかぷか浮かんでいる奴の背中には、ヤシの木が生えているんだからな。流石に野生動物の類は見えないが、マップでクソでかい赤丸表示がなければ、普通に島があると誤認していた事だろうな。地面と繋がっていない浮島ではあるんだけど、そこはダンジョンだしで片付けられてしまいそうだ。
今でも、ちょっと油断するとアレがモンスターではなく島なんだと誤認してしまいそうになる。ということは、あれは普通の島な訳ないし、強力な阻害スキルを併せ持っているはずだ。多分、今までの『クラーケン』やサメが可愛く見えるくらいには。
「問題は今まで同様に交換できるかどうかだよな」
これほどまでに凶悪そうな存在感と隠蔽効果を併せ持った敵だ。今まで通り行くかどうかも定かではない。一応魔力の線はちゃんと伸びてはいるが……。
「とりあえず、投げてみますかねっとぉ!」
有り余るフィッシュのメダルを投擲。海を裂いて飛ぶメダルは島亀の下側。腹の部分である装甲の中央に肉薄し……。
『ガァン!!』
轟音と共に激突。メダルはその装甲を突き破る事はできず、ぽろりと剥がれ落ちて海底へと沈んで行った。
「……は?」
当たった……よな? けど、跳ね返された。
ある意味コレは想定していた通りであり、今までと同じようにはいかない事を意味していたが、それにしてもこの違和感はなんだ?
何を見逃している?
『……』
そう思っていると、島亀はゆっくりと首を出し、目を開けた。
『ゾワッ……!!!』
その眼光は歴戦のモンスターよろしく、一睨みされただけで全身に熱が入るのを感じた。コイツ、ルミナスよりも格上だぞ。
「……これは、強敵そうだな」
甲羅から出てきた顔を見て別の違和感を覚えた。メダルが弾かれたのは、生身ではなく外装に激突したからだったのか……? それとも他に理由があるのか。
まあ何でも良いか。手元にはまだまだメダルは残っているし、弾かれてもクリスが回収してくれている。
「甲羅が駄目なら、そのデカイ顔にぶつけてみるか」
何にせよ、久々の強敵戦だ。ワクワクが止まらんね!
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