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ガチャ1048回目:別のメダル

 ドロップアイテムはクリスの手により集められ、他の嫁達が仕分けをしていき俺の前にはドロップした2つの宝箱が残されていた。

 1つはドロップリストに見えていた宝箱で、『エメラルドの宝箱』。魔石のサイズからしてこの格はだいぶ低く感じるが、『クラーケン』系だしな。そんでもう1つは、ここ専用のいつもの青い箱だが……。


 名前:青の宝箱【クラーケン】Lv2

 品格:≪遺産≫レガシー

 種別:モンスタードロップ

 説明:190ダンジョンでのみ出現する特殊な宝箱。

 ★最高位の報酬しか入っていない最高レベルの宝箱。


「レベル2か」


 レベルが2しかないってことは、コイツから出てくる特殊宝箱は2種類しかなく、中身の総数もそう多くはないということか。そして品格が他の青系よりも1段階高いのは、こいつの存在が特殊だからか?


「とりあえず中身がある程度分かりきっているエメラルドから行くか」


【アーティファクト】

【アーティファクト】


「予想を裏切らない結果だな」

「ん。前回通りなら上が『ダンジョンマーカー』のはず?」

「下が『真水変換装置』でしたわね」

「下行っとくー?」

「ワールドマップがある今、『ダンジョンマーカー』の価値は相対的に薄れてますもんねー」

「とはいえ、あのアイテムがあることを知っているのは身内だけですから、他所には高く貸せますけど」

「新規ダンジョンの発見をして、攻略の主導権を握りたい国は喉から手が出るほどに欲しいと思いますわ」


 あー、そういう点で使い道があったのか。まあ、少ないほど希少性があるから、それならやっぱり真水の方が喜ぶ人は多いかな。


「んじゃ、下でー」


 ポチッとな。


「……うん、期待通り『真水変換装置』が出て来てくれたな」


 『クラーケン』はどのダンジョン産の奴を倒しても中身は固定っぽいなー。まあアズ曰く、この手の宝箱は向こうの世界でそいつが後生大事に持っていたお宝が、そのまま宝箱の中身に選ばれるパターンがほとんどで、稀に何も持ってないモンスターの場合は、ダンジョンが関連しそうな物を無作為に選ぶパターンがあるって話だった。

 となると、『クラーケン』はそういう光り物を集める習性とかがなかったから、ダンジョンによってこの2つがドロップするように調整されて、世界にばら撒くための媒介に選ばれたってところだろうか。

 その仮説が正しい場合、この1位や2位よりも価値の低い3位以降のアイテムは何が出るのか気になる所ではあるよなぁ。流石にダンジョンも、『運』がぶっ飛んで最高位が確定出現&『盗掘王の指輪』で第2位も選択可能みたいなやつが現れるなんて想定してないはずだろうし。いやでも『レベルガチャ』の製作者がダンジョン側にいる事を思えば、そこまで想定している可能性がワンチャンあるか……?


『ねえねえマスターマスター』

「……ん?」

『考え事も良いけど、こっちはどうするのー?』

「ああ、そうだったな」


 皆、特にやる事も無かったようで、見守りタイムに入っていた。


「んじゃ、こっちの箱も開けちまうか」


 『青の宝箱【クラーケン】Lv2』に触れてみるが、やはりというか選択肢は出なかった。となれば中身は……。


 名前:メダル【クラーケン】

 品格:≪遺産≫レガシー

 種類:トリガーアイテム

 説明:オーシャンクラーケンを討伐した証。

 ★しかるべき場所に奉納することで道が開ける。


「まあそうなるよな。んじゃ、他のメダルも視てみるか」


 懐から取り出した9枚のメダルを『解析の魔眼』で一気に確認する。

 そして線が伸びている先をマップで照らし合わせてみてみれば、次の目標は……。


「サメかな?」

『そのようですね♡』

「実際に伸びてるのを見ると不思議な感じね」

「ん。思ってたよりしっかりまっすぐ」

『サメ……。見るのは今日が初めてなので、どんな感じなのか楽しみですっ』


 そういや、リリスは箱入りだったな。

 にしても、最初に見るサメが『魔煌石』クラスのモンスターってのもどうかとは思うが。


「あ、じゃあ『クラーケン』とかも初めてだったか?」

『はいっ』

「そうだったのか。初めて視た感想はどうだった?」

『はい、とっても楽しかったです! 本場の触手は違いますね!』

「そ、そうか」


 感想がサキュバスすぎるな。

 まあ、楽しめたんならなんだっていいか。


「んで、『クラーケン』のメダルは……あっちか。位置的に、中央の入口がある島か?」

「フィッシュやクリオネとは別口ってこと?」

「となると、隠し報酬の可能性が高そうですわね」

「何が出るんでしょう~」

「ん。楽しみ!」

「位置的にも、本日最後のお楽しみですね」

「だな。そんじゃ、このままサメ方面に直進しつつ、雑魚は蹴散らしていくぞ。レアが湧くようなら、適当に捕まえてサメの直前で一気に処理しよう」



◇◇◇◇◇◇◇◇



 そうしてサメ方面に向けて海底を走る事数十分。この間だけでも雑魚モンスターのダツは何度も大群で現れ、その度嫁達が蹴散らして行った。そうして目的地であるサメの姿が遠くに見えるこの段階で、クリスの作り出した水牢には9体のレアⅡの姿があった。

 本当に湧き過ぎなんだよな、この階層。

 そんじゃ、レベルはスキルに還元してっと。


「ショウタ様、いつでもどうぞ」

「おう。……『根源の矢』!!」


『ヒュッ……ドパッ!!』


【レベルアップ】

【レベルが165から262に上昇しました】


 これで良しと。煙は……案の定纏まることなく散って行き、ドロップアイテムが散らばっていく。

 次のサメ戦が控えてるからレベルはさっさとスキルに変えてっと……。


「アズ、これで『魔眼適性』何個目?」

『4個目よ♪』

「うーん、思った以上に順調だな」

「雑魚の魚がいっぱいいますもんねー」

「イリスちゃん大喜びですね」

「大はしゃぎしてプルプルポヨポヨしてる姿が目に浮かぶわ~」

「ん。わかる」

「クリス、今の時刻は?」

「17時ですわ」

「ふむ」


 それならまあ、なんとか夜中までは掛らずに済む……かな?

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