ガチャ1043回目:一撃貫通
『ごめんマスター、増えちゃった♪』
『キュキュー♪』
アズにはマップを渡してあるんだし、この様子からして多分わざとだな。まあ別にいいけど。あと、ルミナスの満足気な表情からして、出現させたレアを何体か食べたな?
アズ達の方はそれで仕方ないにしろ、クリス達の方もか。となるとこの赤丸は……全てレアⅡだった訳だ。総勢12体のレアⅡが2種類の方法で動きを封じられている光景は、圧巻の一言だった。
「的が突っ込んでくるの、思ったよりも楽しくてつい夢中になっちゃったわ」
「ん。こっちも討伐してたら熱が入ってた」
「ショウタの技真似はできなかったけど、結構楽しめたわよ」
「そっか。ミスティも何か試してたのか?」
「ん。水中だと弾丸の速度が減衰されるから、実験してたら300突破は余裕だった」
「でも勢い余ってレアも倒しちゃったのは想定外だったわね」
「ん。雑魚と似たような姿をしてるのが悪い」
「それもそうね」
2人も楽しめてたようで何よりだ。まあ、いつもより彼女達のテンションが高いし、キュビラの言ってた他の要因も影響されてるんだろうけど。
「魚の切り身がいっぱいですねー」
「本当に。今日の夕食が楽しみですね」
「でも向こうだともう真夜中でしょうし、食事の用意は難しいかもですねー」
「あ、そうでしたね。赤ちゃんもいますし……楽しみは明日に取っておきましょう」
「テレサが作っても良いんですよー?」
「私の腕前など……。皆様方に比べれば大きく劣りますから。それを言うのでしたらマリーはどうなのです」
「私は食べる専門ですからねー」
「まったく、貴女は昔から――」
真横でレアⅡが暴れてるのに、こっちの2人は呑気だなぁ。まあ、それだけアズとクリスへの信頼度が高いからなんだろうけど。
アズは自分の手から鎖を発射し、対象に鎖を打ち込んでぐるぐる巻きにしている。海中に縛り付けている。相手は魚なのだし、鎖で縛られようとある程度泳げるはずなのだが、微動だにしていないところからして……あの鎖には座標固定の力もあるのだろうか。
クリスの方は奴らの身体に合わせて作られた細長い生簀を6つ作り、連中をそこに封じ込めていた。レアⅡも所詮は能力一辺倒のモンスターだ。肝心の推進力さえなくしてしまえば、脅威的な威力の突進も、本領を発揮することはできないだろう。
「ショウタ様。こちらの準備はできていますわ」
『いつでもおっけーよ、マスター♪』
「んじゃ、せっかくだし横一列に並べて貰おうかな」
その言葉を聞いて俺のやりたい事を察した彼女達は、『ブレードフィッシュ』を横向きにした状態で俺の前方にまっすぐ……若干斜め下に向けて12体を一列に並べてくれた。
1の言葉で10を理解してくれる辺り、流石俺の嫁達。まあ、残りの9は俺の表情と雰囲気と空気感で読めるんだろうけども。
「ショウタ様の妻ですもの。このくらいは誰にでもできますわ」
『うぅ、わたしにはまだできません……』
『リリスはまだまだこれからよ。精進なさい♪』
『リリス様は飲みこみが早いですから、きっとすぐですよ♪』
『が、頑張ります!』
急がなくていいからなー。
おっとそうだ。
「アズ、ほれ」
『あ、1個目ね』
レベルを消費してスキルを生成し、生まれ落ちた『魔眼適性』を放り投げた。
現在のレベルは160。相手は180の『極大魔石』。さっきは120だったから4体撃破で200は超えたが、160だとちょっと不安だしな。そして連続使用は先ほどの負担も考えてやるべきではないし、ここは最初の予定通り一気に行くか。
「そんじゃ、行くか。『根源の矢』!!」
禍々しい力が発生し、数多の力の奔流が1本の矢へと凝縮されていく。
その存在に気圧されてか、『ブレードフィッシュ』達は慌てふためいた。やっぱこの技、生物が嫌悪する何かを発生させてるのかもな。嫁達やペット組は普通だけど。
『ヒュッ……ドパッ!』
【レベルアップ】
【レベルが160から278に上昇しました】
放たれた矢は一瞬のうちに12体のレアⅡを消し飛ばし、破壊不可能なはずの地面にも黒い穴を開けさせた。
やっぱこの技は規格外に強いな。察しの良い嫁達のおかげで、列の向きを真横ではなく斜め下にしてくれたから、無関係な物も巻き込まずに済んだしな。もし仮にこのまままっすぐ放っていたとしたら、その直線状にいた赤点や、赤丸なんかも巻き込んでいた可能性が高いんだよな。
『それはそれでちょっと面白そうじゃない?』
「いくらなんでも、それは乱暴すぎるだろう。ギミック破壊するほど急いでないし、どうせならあのデカブツは正面から堂々と挑みたい。……まあ、面白くないかと言われたらそりゃ面白そうだけどさ」
『でしょでしょ~♪』
今、この海を真っ直ぐ行った先には巨大な『クラーケン』が漂っていた。
奴の身体は海底やら水面やら、気ままにプカプカと移動している為、着弾の瞬間どの位置にいるかまでは読み切れない。だが、あの巨体だ。そこまで攻撃が届けば高確率で当たるだろうし、それがたとえ身体の一部だろうとも、一度この力の奔流に巻き込まれれば、深淵に引きずり込まれ、えぐるように体組織を破壊されるのは目に見えている。
彼我の距離は軽く見積もっても数キロは離れているし、ここから撃って威力を減らさずに届く保証はどこにもないんだが、なんか行けちゃう気がするんだよなぁ……。本来破壊不可能なダンジョンの地面すらえぐってるくらいだし。
ま、それはさておきレアⅢだ。煙は12個。ここからどうなるかな~。
読者の皆様へ
この作品が、面白かった!続きが気になる!と思っていただけた方は、
ブックマーク登録や、下にある☆☆☆☆☆を★★★★★へと評価して下さると励みになります。
よろしくお願いします!










