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ガチャ1042回目:乱獲される魚

 足場に転がるアイテム群を嫁達が回収する中、宝箱2つは誰も触れずに置かれたままになっていた。

 まあ、こればっかりは今開けなきゃな。


「クリス、足場ありがとな」

「はいっ」

『キュキュー、キュキュキュー!』

「うごっ!」


 背後から突然ルミナスが突進してきて、グルンとその場で一回転した。水中じゃなければ顔面ダイブしてたかもしれない。

 油断していたとはいえとてつもない衝撃を受けてしまったな。一般人なら消し飛んでるぞ。……一般公開は『弱体化』を完全に慣らしてからになりそうだな。


『キュキュキューキュキュ!』

「どうどう、落ち着け落ち着け」

『キュー♪』


 どうやら、先ほどの俺の戦いというか、『武技スキル』のオンパレードに大興奮したらしく、「すごいすごい」という感情だけで突進してきたようだ。


「ふふ。ルミナスちゃんは、途中から食事よりもショウタ様の戦いに夢中になっていたんですよ」

「そうなのか。どれくらい食べたんだ?」

「20キロほどでしょうか」

「ルミナス、ご飯はまだ食うか?」

『キュー? キュキュ』

『久しぶりにお腹いっぱい食べれたって言ってるわよ』

「意外と少食なんだな」

『キュー』


 頬擦りしてくるルミナスを撫で返しつつ、改めて今回ゲットした宝箱を見遣る。1つはいつものと同じ宝箱だな。


 名前:青の宝箱【シャープ・サーペント】Lv――

 品格:≪遺産≫レガシー

 種別:モンスタードロップ

 説明:190ダンジョンでのみ出現する特殊な宝箱。

 ★特殊なモンスター枠のためレベルは存在しない。


 で、中身は……うん。やっぱり知恵の欠片か。これで3つ目だな。

 となれば、本来の宝箱には何が入ってるんだ?


「タッチと」


【秘宝】

【アイテム】


「ほう」


 ならここは秘宝を選択すべきだろう。


「ポチッとな」


 選択後すぐに宝箱を開けると、そこには中身が透けて見える、黄金に輝くリンゴだった。


 名前:知恵の器 No.190

 品格:≪伝説≫レジェンダリー

 種類:秘宝

 説明:知恵の欠片を収めるべき専用の器。ダンジョンNo.190内の知恵の欠片しか受け付けない。全てを集めた者には大きな知恵の一部が与えられる。


「ああ、欠片ってこれの中身だったのか。どうりでいくら集めても反応しないはずだ」


 じゃあ今ある欠片と組み合わせれば……。


「おっ」


 3つの欠片を器に近付けると輝き始め、そのまま光となって器の中へと飛び込んで行った。

 その結果、中身が空白だった器に先ほどの光が宿っていた。


 名前:知恵の器 No.190

 品格:≪伝説≫レジェンダリー

 種類:秘宝

 説明:知恵の欠片を収めるべき専用の器。ダンジョンNo.190内の知恵の欠片しか受け付けない。全てを集めた者には大きな知恵の一部が与えられる。

 ★3つの知恵の欠片が入っている。


 ……で、こっちでも欠片の総数は不明と。まあでも、これが無ければそもそも完成はできなかったと考えると、またしてもエグい設計ではあるよなぁ。


『マスターマスター』

「ん?」

『コイツの2体同時撃破はどうする? 狙ってみる?』

「そうだなー……」


 4体でようやくレアⅢに変身するやつだし、それを狙うなら8体分同時撃破が必要になってくる。まあデコピン1発で400オーバー釣れたんだし、やろうと思えば簡単に達成できる気がするな。


「無理せずに狙える状態でやらないのはレアモンハンターじゃないしな。やっておくか」

『分かったわ。けど、さっきの戦闘の余波で周辺海域の雑魚は散り散りに逃げちゃってるみたいなのよねー』

「確かにな」


 マップを見れば、俺たちの前方にはモンスターのいない空間がぽっかりとできており、その左右には散っていった雑魚連中が集まっていた。その数は……うん、数えるのが面倒なくらいうじゃうじゃしている。


『それじゃ、またあたし達に任せてマスター♪』

『キュキュ!』

「ん。出番来た」

「沢山撃ち抜いてくるわ」

「クリス様、サポートお願いしますね」

「はい、お任せください」

「今日の晩御飯は魚尽くしになりそうですねー」


 そうして、左担当をアズとルミナス。右担当をクリス達Sランク嫁5人のチーム分けで行動を開始した。俺はというと、午前中と同様にクリスの作った足場を海面まで上昇させ、癒しの時間を堪能する事となった。


「今日は、皆張り切ってるなー」

『ふふ、それにはちょっとした訳があるんですよ』

「ん? それってどんな?」


 ストレスが溜まってるとかじゃなく?


『ですがそのネタバレを今するのは皆様に申し訳ないので、秘密です♪』

「ええー。気になるなぁ……」

『ですがそれを抜きにしても、やっぱりマスター様のお役に立てるのが嬉しいんだと思います。いつも見てるだけですから』

「そういう意味では、キュビラとリリスは良いの?」

『はいっ。わたしは戦闘ではあまりお役に立てませんから』

『それにこれもマスター様のためになりますし、役得ですから♪』

「まあそういう事なら遠慮なく」


 メンタルすら超回復しちゃうようなマッサージを受けつつ、モフモフと抱き枕を堪能するか。



◇◇◇◇◇◇◇◇



 のんびり待機する事十数分。左右から嫁達がそれぞれ6つの赤丸を引き連れた状態で戻ってきた。


「うへぇ」


 片方4体ずつでお願いしたのに増えてしまったのは、それだけ雑魚が多すぎたんだろうし、どっちも同じ数になったのは偶然なんだろう。しかし6体ずつとなれば、レアⅢは3体か……。まあそうなってきた時一番恐ろしいのは、大量のレアなんかじゃなく、その副産物である雑魚のドロップスキルなんだがな。

 一体幾つになってるんだか。下手すると『696ダンジョン』に出張しているスキル稼ぎ遠征軍の稼ぎを上回るような事態に……。いや、単価的には安価のはずだから、そこまでではないかな?

 ……たぶん。

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