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ガチャ1031回目:2度目の登場

 名前:青の宝箱【イレギュラー】

 品格:≪遺産≫レガシー

 種別:モンスタードロップ

 説明:190ダンジョンで特異モンスターを同時に撃破した者の前にのみ現れる特別な宝箱。


 こっちも説明は一緒か。

 宝箱をしげしげと眺めていると、アイテム回収を終えた嫁達がくっついてくる。


「ショウタ様、先ほどの技、素晴らしいものでしたわ」

「ん。凄かった!」

「勇者様の新技、とてつもない威力でしたねー」

『マスター最高ー!』

『『……♡♡』』

「しっかりとカメラに収めさせていただきました」

「あーあ。弓の『武技スキル』だけはショウタに負けないつもりだったけど、今回ので差がついちゃったかも」


 皆が口々に褒めてくれる中、シャルは落ち込んでいた。でもなぁ……。


「今回の技、特別なスキルは使ってないから、やろうと思えばシャルでも使えると思うぞ」

「そ、そうなの?」

「ああ。魔力は5000と重いけど、『ハイ・ヒューマン』になった今なら問題ないだろうしな」


 使ったのは『元素魔法』と『氷結魔法』に『雷鳴魔法』。それから『エレメンタルマスター』で調整だ。一応『未完の森羅万象』で2発同時に放てるよう整えはしたが、これはまあなくても多分問題はない……はず。

 そう説明すると、皆苦い顔をした。


「ショウタ、今簡単に言ってのけたけど、多分すっごく無茶苦茶してるわよ、その技」

「そうか?」

「ん。純粋な破壊のエネルギーだけを抽出して矢に集めるのも、相当高度な技術がいるはず。それを為すには相当の『知力』とセンスが必要になると思う」

「私も神聖の力であれば似たような事はできますけど、他の6属性でも同じことができるかといえばNOですねー」

「わたくしも『水』ならまだしも、他の属性となると……。『ハイヒューマン』になったことでその敷居はかなり低くはなっていそうですが、まだ扱うには修練が必要そうですわ」


 クリスにとっては無理ではないけど、すぐに実現はできないと。


「今の俺達の『知力』差って、そこまで大差はないと思うんだがなー」

「あのねーショウタ、属性持ちのクリスやエスならともかくとして、あたしは武器寄りなんだよ? 皆みたく『知力』があるわけないじゃない」

「そうだったな。すまん……」


 今回の『根源の矢』は、特別なスキルはほとんど使っていなかったけど、そもそも前提とするステータスが違いすぎたのか。今の俺の『知力』は5万台。クリスも大体そのくらいだけどシャルは弓に特化したステータス構成だから、『知力』は2万とか3万とかその辺だった気がする。


「でも、この属性の力を好きに操る力は、やってる身としてはステータスで無理やり動かしているというよりも、感覚的に何となくでやってる感があるんだよな。だから、ステータスが足りてなくても覚えれば何とかできる気がする」

「そうなの? となると、あたし次第だけどそれを会得するにもそれなりに時間がかかるだろうし、後回しでいいわ。今それを教えられるのって、ショウタしかいないと思うし」

「まあそうなるな」

「クリスが全属性をマスターしてから、そっちに教えてもらうことにするわ」

「責任重大ですわね」


 クリスのセンスなら大丈夫だろうけど……。


「クリス、わからなければいつでも聞いてくれ」

「はい、ショウタ様」


 さて、だいぶ意識がズレてしまったが、ともかく宝箱だ。まずは直接タッチしてと。


【どちらの報酬を獲得されますか?】

【クリスタルノーチラスの撃破報酬2個】

【クリスタルノーチラスの特別報酬1個】


「当然特別報酬だ」


 ポチッと表示を押すと、宝箱が光り輝き別の存在に変化した。


『ゴトン』


 『アダマンタイトの宝箱』か。『中魔煌石』持ちが落とすデフォルト的な宝箱だが、今回は特別報酬だ。きっと中身は特別に違いない。


『ねえねえマスター、開けちゃう?』

「勿論開けちゃおう」


 こんな特別報酬は、興味の熱が熱い時に開けるべしだな。


【装飾品】

【アイテム】


「ほぉ、『装飾品』が出るのか」

「ん。期待」

「何が出るんでしょう」

「ワクワクですねー」


 こんなの一択だろう。アイテムの方も気にはなるし、さっきみたいに『錬金術』に役立つ秘宝級が出そうではあるが、面白みのある『装飾品』には敵うまい。

 ……ん?


『……』


 アズが何ともいえない顔をしていた。


「アズ、もしかしてこの『装飾品』のお中身、予想がつくのか?」

『ええ、多分だけど』

「そんな微妙そうな顔をするモノなのか?」

『んー。なんていうのかしら。人によっては喜ぶと思うわよ? マスターは……どうかしら。嫌がる事はないとは思うわ』


 めちゃくちゃ気になる言い回しだな。まあ、危険物でないなら選択はするが。


「んじゃ、ポチッとな」


 そうして選択肢を決定し、開封する。当然のように暗闇のそれに手を突っ込むと……つるつるとした感触の物体がそこにあった。

 手前にある部分だけ触れてみてもそれがなんなのかよく分からなかったので、とりあえず持ち上げてみる。


「……ん?」


 取り出したモノと目が合った。いや、正確にはソレは生物ではなく無機物だったのだが……。

 アズが微妙そうな顔をした訳がわかった。コイツは……ある意味2度目の邂逅だな。


「クリス。この足場、海底にしっかり差し込んで固定しておいてくれ」

「畏まりましたわ」


 クリスの返事を聞くと同時に、俺はソレを持ったままその場で大きく『跳躍』した。すると、ソレの全貌があらわになった。


 名称:クリスタルノーチラス 1/1スケールドール

 品格:≪遺産≫レガシー

 種類:装飾品

 説明:伝説の人形師が手掛けた傑作の1つである、クリスタルノーチラスを模した等身大の人形。本物のクリスタルノーチラスを完全に模倣しており、その透明感は本物さながら。しかしその再現をするにあたり、とんでもなく軽量になってしまった為、固定しておかないとすぐ風に飛ばされてしまう迷作。


「またコイツか。海にはコレ系がまだまだあるのかね」

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