ガチャ1021回目:ゲテモノ生物
剣を振り終えた体勢のまま残心をし、ゆっくりと構えを解く。煙はその場で宝箱に変貌するでもなくその場にとどまり続けている。元よりレアⅢがいるのか、同時討伐した事でレアⅢの条件を満たしたのか。
どちらにせよ、次の対象の強さによってはレベルをリセットする必要がありそうだな。
そう思ってると、嫁達が駆け寄ってきた。
『マスター、カッコよかったわよ!』
「最高でしたっっ!」
「『魔導の御手』で素振りしてたから何かしようとしてたのは知ってたけど、まさかこんな大技を狙っていたなんてね」
「ん。グッジョブ」
「良い映像が撮れましたっ。何度でも見返せそうです」
『本体の邪魔にならないよう、メイン武器より少し高い位置にセットして、時差がないよう寸分違わず同時に発動させる……。『魔導の御手』がいくら第三・第四の腕だとしても、素晴らしい技量でした』
「流石ショウタ様……!」
『おにいさん、すごかったですー!』
「おー。ありがとな」
1人1人順番に抱き締めてもまだ煙は健在で、次が出てくる気配はまだ無い。これは10分オーバーコースだな。
「そういや、『解析の魔眼』をオーブ化する予定ではあるが、取得者とかって決まってるのか? 一応今、在庫が3つあったはずだけど」
『特に決まってはいないわよ。『弱体化』ほど緊急を要するわけでも無いし、攻略するにもマップスキル保持者が共有化でスキルを借りれてるから、あれば便利でも必要最低限はある状態だもの』
「そっかー」
『その共有ポイントも、攻略ダンジョン数が増えたおかげで有り余ってきてる訳だしねー。改めて他に回す必要もないから、順番待ちも発生はしてないわ』
「なるほどなー。じゃあその3つも、誰も使ってないまま残り続けてるのか」
『そうなるわね』
んーじゃあ、現状共有化していなくて、必要そうな面々に優先させておくか。
まずは『錬金術』であったら便利そうなスキルだから、1個目はタマモに。2つ目は立場上いろんな魔導具に触れる機会の多いサクヤさん。3つ目は我が家に残ってる中で一番背中を預けられるアイラだな。んで、今から作る予定の4つ目は……エスが良いだろう。
「……って考えてるんだけど、そんな割り振りで良いかな?」
『良いと思うわよ』
「それでは、その話を伝えておきますね」
「よろしく」
そうしていると、ようやく煙に動きがあり、2つの大きな塊へと膨れ上がった。6つが2つになったって事は、3体分でレアⅢに対応するタイプだったか。
2体もいるなら問題ない。俺はそう判断して、ささっと『解析の魔眼』をオーブに変えて、アズに投げ渡した。
『ズズ……!』
超重量の何かが煙の中から生まれ落ちた。
「……ん?」
『『……』』
それは、オタマジャクシに人間の腕と脚を生やした、ヘンテコ生物だった。間抜けな見た目ではあるが、その身体は巨大で、手足も電柱並みに太く、高さは2メートル超。頭から尾っぽまでの長さは5、6メートルといったところか。見る人が見れば新手の龍にも見えるかも……いや、人間の手足の時点でないわな。
*****
名前:タットポールマン
レベル:188
腕力:2300
器用:2100
頑丈:1600
俊敏:1100
魔力:3000
知力:1800
運:なし
【Bスキル】超防壁Ⅳ、剛力Ⅴ、怪力Ⅴ、阿修羅Ⅳ、怪力乱神Ⅲ、鉄壁Ⅴ、城壁Ⅴ、金剛体Ⅳ、難攻不落Ⅲ、力溜めⅡ
【Pスキル】硬化Ⅴ、物理耐性Ⅲ、魔法耐性Ⅲ、斬撃耐性Lv7、貫通耐性Lv7、打撃耐性Lv7、状態異常耐性Ⅱ、体術LvMAX、格闘術LvMAX、狩人の極意LvMAX、暗殺の極意LvMAX、摩擦抵抗Ⅱ
【Aスキル】ウォールブレイカーⅢ、チャージアタックⅥ
【Mスキル】念動力Lv5、水魔法LvMAX、泡魔法LvMAX、水流操作LvMAX、海魔法Lv3、水の鎧Ⅲ、魔力超回復Lv2
★【Eスキル】ぬめりアーマーⅤ、迷宮破壊Ⅲ
装備:なし
ドロップ:タットポールマンの玉髄、タットポールマンの白結晶
魔石:極大
*****
見た目はキメラの失敗作みたいだが、固有名詞があるしキメラではないのか。ドロップにもキメラ要素はないしな。
「にしても、キモい奴らだな」
『『……!!』』
俺の言葉が分かるのか、奴らは尻尾をビタンビタンと地面や壁に叩きつけ、破壊困難なはずのダンジョンの床にヒビを入れ、壁をガラガラと崩した。それっぽいスキルを有しているからもしかしてと思ったが、こんなにあっさりと破壊できるのか。素の攻撃力もかなりのものだろうし、見た目はネタ枠でもしっかりレアⅢってことか。
幸い、レアⅡまでと違って毒要素は持っていないみたいだし、こいつらに暴れさせれば壁は崩れてもっと広く戦えそうだな。ダンジョンの修復機能も24時間は最低でもかかるはずだし。
……よし、久々に暴れてみるとしますか。
「皆、俺はこれからこいつらと長期戦前提でバトルする。悪いけど周りは気にしてられないから、無関係の人間を巻き込みそうになってたら守ってやってくれ」
「はい、承知しましたっ」
『そういうことなら、マップ機能解放して徹底的にサポートに回るわ』
「お任せください、ショウタ様」
「ショウタ様の雄姿は、しっかりと収めてみせます!」
「レアⅢに雑魚を呼び寄せるスキルはないかもだけど、それとは別に雑魚はショウタに群がると思うから、その処理は任せて」
「ん。全部撃ち抜く」
『マスター様、ファイトですっ♡』
『おにいさん、頑張れ頑張れっ♡』
よっし、遊ぶとするか!
10/10よりコミカライズ2巻の予約が開始されました。
https://tobooks.shop-pro.jp/?pid=188675392
よろしくお願いしまーす!!










