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ガチャ1013回目:解放通知

 鍵の欠片を手にした後、俺達はそのままヒトデを狩り続け、追加のメダルも4枚確保した。目的はメダルよりも星砂の方が目当てだったんだが、こうもメダルのセットがあるのなら、試してみたいことがあるんだよなー。


「第一層はこれでもう十分だと思うが、もうちょっと付き合ってくれ」

「はいっ、お供しますわ」

「オッケー」

「ん。別のトリガーポイントのチェックする?」

「ああ。実を言うとそのトリガーがありそうな方向に移動しながら狩りをしてたんだよな。まあ狩りの最中に1度別の場所に切り替わったみたいだけど」


 このトリガーポイント、結構な頻度で移動してるんだよな。一箇所につき大体20分から40分といった具合で。ここまで頻繁に移動されたら、普通に探すなら特定は難しいだろう。

 やるとするなら、見つかっている渦潮ポイント付近に人員を配置させて、ダンジョン内で通信できる機材を行き渡らせた上で報告し合う感じだろうか。今は『超広域位相電波塔』があるからやり取りに問題はないけど、ちょっと前まではデカい機材を持ち込んで通信しないといけなかったから、大変だったろうなぁ。

 もしかしたら、支部長さんが話したかった本当の情報は、ここの階層は既に鍵の欠片を入手していたって話かもしれないな。種が分かれば簡単な部類ではあるし。


「お、見えてきた」


 なんて事を考えていると、渦潮が見えてきた。相変わらずヒトデが渦に呑まれてグルングルンしてるので、先ほどと同様に『閃撃・一刀破断』で渦潮ごと破壊する。

 そしてメダルを手にポイントまで近づくと……。


「お、出た出た」


 1度目と同様にトリガーポイントが出現したため、メダルを嵌め込む。すると光を放ち宝箱が出現した。今までは2個目の鍵の欠片は入手する機会がなかったが、今回はどうなるか。

 内心ワクワクしながら宝箱に触れると、メッセージが出てきた。


【管理者の鍵の欠片を検知】

【内容物が変更されます】


「ほぅ」


 そうして開封した宝箱には……青色のメダルが入っていた。


 名称:青のメダル【Ⅰ】

 品格:≪伝説≫レジェンダリー

 種類:アーティファクト

 説明:190ダンジョンで使用する事で、使用者を含めた周囲10メートル以内の人間全てを190ダンジョンの第一階層へ移動させる。何度でも使用可能。トリガーアイテムとしても使用可能。

 ★再使用時間24時間。


「おー、696の紋章再びだな」


 しかもこっちもトリガーと来たか。なら、他の階層でも鍵の欠片を取得するだけじゃなくメダルの確保が必須だな。


『良いものゲットしたわねマスター♪』

「ん。これでいつでも安全圏に移動できる」

「マップ移動を使わずに安全圏に移動できるのは大きいですわね」

「まあ、それが必要になる場面がない事を祈るか」


 さて、これで終わりと見るか……いや。

 メダルを見ればまた別の場所に移動している。台座消失と共に即座に別の場所に移動するようだな。幸い手元にはメダルはまだまだある訳で。


「3つ目以降の宝箱がどう変化するかも見てみるか」



◇◇◇◇◇◇◇◇



 いつも通り渦潮をぶった斬り、台座にメダルを設置して宝箱を出現させた。


「よし、3つ目ー」


【青のメダル【Ⅰ】を検知】

【内容物が変更されます】


「おっ」


 ちゃんと対応してるんだな。


「今度は何かなー」


 宝箱を開けると、中には輝きが入っており、今度は俺の中に飛び込んでくることなく頭上へと昇っていき、一定の高さまでいくと弾けて消えた。


【特殊条件が達成されました】

【スタンピード進行が一時的にロックされます】


「お、ここでも出たか」

「ショウタ様、今のは……?」

「ああ。このダンジョンの第一層が、一定期間スタンピードが発生しなくなった事を示す通知だ。期間は定かじゃないが、それなりに長期間スタンピードが起きるって圧からは解放されるぞ」

「そうなのですか!?」

「ん。このメッセージも懐かしい」

「696でもこの手のメッセージが出たのですね」

「ん。ショウタが全階層でこのメッセージを出して、解放してくれた」

「おおー!」

「なら、ここでもその伝説が見られるのね」

『楽しみですっ』

『マスター様、4つ目のトリガーは確認されますか?』

「そうだなー。ロックされた以上それよりも重要なものはもう隠されてはいないと思うが、一応見ておくか」


 結果から言うと、4つ目の箱の中身は空っぽだった。どうやら、これ以上の秘密は存在していないらしい。

 なので一旦地上に戻り、改めてマップ機能を使用して取りこぼしがないか確認することにした。


【未確定地域の情報を探査しますか?】


【YES/NO】


「YESだ」


【探査対象の空間情報を計算中】

【探査対象に地下空間の有無を確認中】

【探査対象に生息するモンスターを観測】

【探査対象の知覚妨害機能を検査中】

【探査対象エリアの魔力の流れを観測】


 いつものようにメッセージが流れ、マップに細かな情報が更新されていく。情報が更新された今なら、渦の情報も赤裸々だな。

 渦の数は全部で10。そして次とその次に移動する先まで表示されている。3つ先についてはランダムのためか表記はされていないようだ。


「ふむ……。取りこぼしは無さそうだな」

「ショウタ様、こちらを見ていただけますか?」

「ん?」


 テレサが端末を差し出し、そこに映し出された男の写真を見せてくる。

 人相の悪い顔だな。そして知らない顔だな。


「誰これ?」

「説明は後です。マップをお借りしますね」


 そう言って彼女達はマップの白点を次々とタップし始めた。なんなんだろうか?

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