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ガチャ1011回目:コイン2つ目

 そうして適度に襲いかかってくるヒトデを斬り捨てたり握り潰したりしつつ、クリスの教えを忠実に再現していく。クリスの教えは、言うなれば全身を包むように薄膜の水を造り出し、新たな皮膚を成形するというものだった。

 そうすることで水の抵抗を最低限に抑えることができ、手の指一本一本に沿って薄膜を形成しているため、武器を握っても水が入り込む心配はないというものだ。その代わり、グリップが甘くなるため、下手するとすっぽ抜ける心配があった。クリスは基本無手であり、武器も『水』で形成した槍とかだからあまり気にしたことがないそうだ。

 なので、そこは俺も一工夫加えることにした。まず『泡魔法』を使用して、柄の部分を泡で包み込み、握る手は被膜を作らず素手で掴むのだ。


「これで多分大丈夫なはずだが……。ま、問題があれば適宜改良していくか」

「ふふ、ショウタ様も皆様も、すぐにマスターされてしまいましたね」

「あはは、昔のあたしだったら、こんなにあっさりと上手くは行かなかったかも」

「ん。日頃から魔法を頻繁に使い慣れてないと大変だけど、ショウタのおかげでスキルはいっぱい取得させてもらったから、だいぶ慣れてる」

『流石ね。向こうでもちょいとした高等技術よコレ』


 ちなみにクリスの教えで使う『泡魔法』は、口と鼻の部分にのみバブルアーマーを作ることで、最小限の形状で呼吸を可能とする物だった。そのため本来クリスが想定しているよりも、ちょっと手間と魔力消費が嵩んでしまっているが……この程度誤差だろう。うん。


「これで……100体目っと!」


 ヒトデを斬り捨てると、発生した煙はその場で膨張を始めた。そして中から直径2メートルほどの巨大ヒトデが誕生した。


*****

名前:ブルースターフィッシュ

レベル:52

腕力:440

器用:320

頑丈:280

俊敏:300

魔力:600

知力:200

運:なし


(アーツ)スキル】チャージアタックⅡ、悪食Lv2

(マジック)スキル】水流操作Lv3

★【(エクス)スキル】高速スピンⅡ、毒の棘Ⅱ、捕食


装備:なし

ドロップ:煌めく星砂岩

魔石:中

*****


「うわ、グロ……」

「ん。キモい」


 誕生したヒトデは裏面がこちらを向いている状態だった。そこにはビッシリと無数のトゲやら口やらが付いており、一言で表現するならソレはまさしく怪物だった。

 モンスターではない普通のヒトデも、触手やらなんやらで似たようなモノではあるかもしれないが、巨大化するとダメだな。正直直視は避けたいレベルである。


『……!』


 青ヒトデはその場で回転をし始め、側面に向けて射出。そして離れていったかと思えば急カーブをしてこちらへと突っ込んできた。

 攻撃方法は雑魚と一緒でも、回転速度や水を切る速度はそれの比ではなかった。


「ふんっ」


『斬ッ!』


 ま、早くなったからといって何か対処法が変わるでも無く、むしろ決着が付くまでの時間が短くなった程度でしかなかった。

 両断されたヒトデは勢い良く俺の背面へと流れていき、宝箱とアイテムをばら撒きながら消えていった。こっちはレアⅡがいないのか。


「お見事です!」

「ん。グッジョブ」


『パチパチパチ』


 嫁達が歓声を上げてくれたり、拍手をしてくれた。なんてことない相手だったが、顔が緩んでしまう。俺もチョロいよなぁ。


「ショウタ様、こちらを」

「ああ、ありがとう」


 渡された宝箱を開封すると、中から出てきたのはやはりコインだった。


 名前:メダル【スター】

 品格:≪最高≫エピック

 種類:トリガーアイテム

 説明:ブルースターフィッシュを討伐した証。

 ★しかるべき場所に奉納することで道が開ける。


「ふむ。変わらずか」


 んじゃこっちはと……。


 名称:煌めく星砂岩

 品格:≪最高≫エピック

 種類:アイテム

 説明:煌めく星砂が堆積することで誕生したアイテム。衝撃に強くどのような攻撃でもほとんど欠ける事はないが、錬金スキルを持つ者が触れるといとも容易く分解することが可能。


「ほぉ」


 面白い特性だな。

 試しに分解……はなんか勿体無い気がするので、これもタマモ行きだな。んじゃ、コインの行末を視るか。


「……ふむ。さっきとは別方向に伸びてるな」

「トリガーポイントは個別なのでしょうか」

「かもしれないな。……んん??」

 

 試しにシザーのコインを視てみたら、先ほどまでとは別の方向に線が伸びているのが見えた。行き先は、スターのコインと同じ場所のようだった。


「こいつ、時間で移動するのか!」


 俺は今得た情報を皆に共有する。


『あら、本当ね。確かにさっきまでとは別の方向に伸びてるわ』

「今度のポイントはどの辺りでしょう?」

「んー……。線の交わり方からして、目算この辺かな」

「島を挟んだ反対側の海ですか。ここも何も目立ったものは無かったはずで――いえ、ここは……」

「何かあったのか?」

「はい。ですが、説明するよりも直接見ていただいた方が早いかと」

「お、気になる言い方。そんな事を言われちゃあ、優先順位を上げて確認しにいくしかないよなー」

『確かにマスターにはそれが良いわね♪』

「ん。ベストなチョイス」


 そうして、俺達はヒトデ狩りを一旦後回しにして、そのポイントへと向かうのだった。

読者の皆様へ


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