表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1076/1158

ガチャ1009回目:水中の負担

「しかし、どれだけ追加で狩ってもメダルの宝箱が出てくれるなんてな」

「ん。優先権とかじゃないのは不思議」

「今までの傾向からして、複数出現するにしてもクールタイムはあってもおかしくないはずなんですけどねー」

「ばら撒くタイプなのでしょうか」

「クリスも、メダルについては知ってた?」

「はい。いくつか種類は確認されていましたが、設置する場所までは確認されていなかったはずです。……わたくしの知る限りでは」


 ダンジョン内でレアの果てに出てくる宝箱からドロップしたメダル。それを複数個も見つかっていたのなら、全てのモンスターにメダルに相当する何かがあると、普通なら誰でも気が付くはず。なのにクリスの耳には攻略されたという情報は入ってきていないと……。

 他にも条件があるのかな?


「あ、ここの支部長が何か言いかけてたけど、それか?」

「かもしれませんね。聞かないで正解でしたね」

『マスターの耳に入ってたりしたら、やる気激減してたでしょうね♪』

『それは大変危険ですねっ』

「ん。死活問題」


 支部長さんがダンジョンの秘密を率先して話したがるタイプの人間じゃ無くてよかった。

 改めて出てきた5枚のメダルを視てみるが、どれも示す先は同じだった。てか、複数も線が真っ直ぐに伸びてると、交差するポイントが分かって何処がゴールなのか識別しやすいな。


「んー……。大体この辺か」


 マップで指し示したのはなんてことない海。周囲には当然のようにモンスターの点はあるが、不自然にその周囲を重点的に守るように赤点が蠢いている。数十匹は居そうだな。


「クリス、ここには何かあるか?」

「……いえ、特に特徴的なものは何もなかったかと」

「ふむ、そっか。まあとりあえずは、残るもう1種のモンスターを倒すことを優先しよう。狩場はこの場所の近くで、100体は余裕でいそうな場所で……。うん、この辺で良いか」

『マスター、水中に入るなら水着に着替えたほうがいい?』

「ん? そうだな……」


 水着か。見たいか見たくないかで言えば見たい。が、なんだろう、この妙な感覚は。なんとも

形容し難い感情と感覚が俺の中に渦巻いている。

 いつもの独占欲か? まあ、うちの嫁の水着姿を不特定多数の目にはいれたくないというのは日頃から俺の中で渦巻いている常連の感情ではあるが、もっとこう別の……。


『マスター、どうしたの。難しい顔して』

「あ、いや、ダメだな。ここはまだ人が多いし、皆の水着を見せびらかすのはなぁ……」

『ふーん?』


 アズは何か言いたげだったが、それ以上追求してくるつもりは無いようだった。


『おにいさん、私の水着でも他の人には見せられませんか?』

「ああ。安売りしちゃダメだぞ」

『はいっ♪』

『んもう、裸を見せるわけじゃないのに過剰なんだから』

『ふふ、そう言いつつもお顔は嬉しそうですよ』

『だ、だって仕方ないじゃない。こんな事でも嬉しいんだもんっ』

『お姉さまでもそんなお顔をされるんですね♪』

『もう、リリスまで揶揄わないでよねー』


 ペット組で盛り上がりを見せる中、他の嫁達が急接近してきて、装備や服を捲って中の水着をチラ見せしてくる。


「ショウタは、こういうのも好きなんだっけ?」

「えーっと……好きではあるけど」

「ん。視線が泳いでる」

「良い反応してくれますね~。ということは、今夜はこれで決まりでしょうか?」

「ふふ、この身体は全てショウタ様の物ですよ」

「ご安心くださいまし、間違っても他の人達には魅せたりしませんわ」

「それならいいんだけど……」


 話を切り上げ、鎧を着たまま『泡魔法』を使用する。全身が泡に包まれたのを確認し、俺を先頭にして順番に海へと飛び込むのだった。



◇◇◇◇◇◇◇◇



 白い地面に透き通った海水。奥まで見渡せる水中の果てには、モンスターと思しき影が動いているのが見えた。

 ここの海は『ハートダンジョン』のように色とりどりのサンゴ礁に溢れている訳でもなく、ただ普通に地上と同じ砂の地面が広がっていた。所々に苔のないゴツゴツとした岩場が見えているが、メダルの行く末はああいう場所に隠されているんだろうか?


「ふむ」


 泡に包まれた状態で拳を振るう。するとその勢いと衝撃が余波となり、海水を揺らす。その振動を感知してか、果てにいたモンスターがゆっくりとこちらへと向かってきているのを視認できた。

 今更だが、水中の敵と戦う上で、このバブルアーマーはメリットとデメリットが分かりやすく存在していた。まずメリットは明確だ。『魔力』が続く限りは呼吸はこれ1つで無限に出来る上に、外部からの衝撃で泡が破壊されても即座に復活する為、溺れる心配はない。

 そしてデメリットもまた明確だ。まず、何の指定もせずにバブルアーマーを展開すると、全身を包むように丸みを帯びた泡が出現し、どんなに動こうと泡の外に身体が飛び出す事はなく、海水に触れる事はない。その為、剣や槍などの武器は当然として、拳や脚なんかも泡の中から飛び出せないのだ。その為、この形態で敵を攻撃しようにも、武器としての斬撃や打撃よりも先に、纏ってる泡が相手に激突し威力が激減するのだ。なので、倒すのに一番向いている戦い方は魔法だったりする。

 まあ、泡の位置をきちんと指定さえすれば、肩から先とか、手首から先を範囲外として捉える事で普通に武器も振れるんだけど、そうすると結局濡れるんだよな、普通に。呼吸のためと割り切るなら、普通に首から上だけをバブルアーマーで纏えばいいんだけど、それはそれでなんか気持ち悪いというか……。


「水中でも呼吸できて、なおかつ全身が濡れないようになる魔法とかあればいいんだけどな……」

「ありますわよ?」

「え?」


 ふと隣を見ると、クリスがいた。泡を纏わずに。

 けど、水中にいるはずの彼女は、水の影響を一切受けていなかった。呼吸もできているし、会話もできている。まるで周囲の液体が彼女に平伏しているかのような光景だった。

 そういえば、クリスとは海上で共闘する事はあっても、水中に潜るのは初めてだったかもしれない。これが『水』使いの本領か。どうにか学べないだろうか。

 いや、聞けば普通に教えてくれそうではあるな。

読者の皆様へ


この作品が、面白かった!続きが気になる!と思っていただけた方は、

ブックマーク登録や、下にある☆☆☆☆☆を★★★★★へと評価して下さると励みになります。

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
書籍版第四巻 12月20日より好評発売中!
レベルガチャ1巻表紙絵 2巻表紙 3巻表紙絵 レベルガチャ4巻
コミカライズ第二巻 12/15より発売決定!予約受付中!!
コミカライズ1巻 コミカライズ2巻
― 新着の感想 ―
 今回の殺意は痴情絡みかぁ。
覗き見てるやつでも居るのかな
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ