ガチャ1001回目:魔王の中核スキル
嫁達の希望もあり、巨神の剣と魔帝の剣を2つ壁に立てかける。彼女達が草案していた一人連携のルートに『ファントムロード』が加わったため、何が良いのかを再び話し合いをしているようだ。
まあでも、その話は平行線だろう。なんせ、『絶望の騎士』のあの技は不発に終わっていたので、結局どういう技だったのか、ベリアル以外誰も知らなかったのだから。
俺はというと、単純に魔帝の剣に乗り換えるんじゃなく、どうせなら2本同時に使用できないかと戦闘形態を模索していた。当然俺が手に持つのは魔帝の剣の方だが、『魔導の御手』の方に巨神の剣を持たせれば、実質大剣の『二刀流』になるわけで。流石に高速系統の『武技スキル』は発動できなくとも、それなりに幅は広がるはず……。例えば『一刀破断』を2本同時にやってみたり……お、なんかイケそう?
「ご主人様、どうかその辺で。まだ処理すべきものが残っていますから」
「……そうだった」
思考は中断されたが、思い浮かんだものは残り続けている。これに関しては、また時間のある時に考えよう。
んじゃ、『幻想』確定の箱を開けるとしますかね。
早速1つ目の箱に手を伸ばし、触れるが……選択肢は現れなかった。その現象は、選択肢もなければ確率も存在していないことを意味する訳で。
となると、内部のアイテムは固定か。
「何が出るかなーっと」
ぱかりと開けると、そこには1つのスキルオーブが入っていた。
名前:天地覇道
品格:≪幻想≫ファンタズマ
種類:パッシブブーストスキル
説明:あまねく世界全てを手中に収めんとする覇道を体現したスキル。術者を慕い、付き従う者が多いほど、全ての戦闘系ステータスに対して、特殊な加算ボーナスが働く。
★心服:加算ボーナス0.001
★服従:加算ボーナス0.0002
★敬服:加算ボーナス0.0001
★憧憬:加算ボーナス0.00001
「ほぉん?」
なんか、思っていたよりもマイルドな物が出て来たぞ?
けど、戦闘系ステータスへのバフかぁ。PBって事だし、常時発動してくれるんだろうけど、問題は、取得してしまうとどれくらいすごいのか数値化出来なくなる点だよな。俺も結構有名になって来たし、憧憬はされてたりするかもしれんけど、心服まではされてないと思うんだよな~。
『ちょっとこれ! アンタが魔王として持ってた中核スキルじゃない!』
お、珍しくアズが声を荒げた。
『うむ。我があのダンジョンに君臨する為には魔王としての力を手放すほかなかったからな。宝を用意する必要もあった訳だし、丁度良かったのだ』
ダンジョンボスになるには色々と制約があったんだな。この言い方だと、自分で取得し直す事も出来なかったみたいだし。
にしてもこのスキル、デメリット・制限が一切ないバフスキルとはいえ、加算数値があまりにも低すぎないか?
「なあベリアル、本当にこれで『幻想』なのか?」
『うむ。……ああ、マスターは効果が弱いと思っているのだな?』
「そりゃな?」
1人2人と心服させたところで、それによる変化は微々たるものだろう。
『マスターは忘れているようだな。我らは魔王。1つの国を治めていた王であるぞ。であるならばその民草の数や規模も、数百、数千で収まりきるような数では無かったのだ』
「……あぁ~」
そういや、魔王って称号に気を取られてばかりだったけど、一介の土地を治める国の王でもあったのか。
……こんなのでも。
『マスターよ。何か失礼な事を考えておらぬか?』
「こんなのでも王様だったんだな~って」
『ぐぬぬっ……!』
『『主君』』
「ん?」
ガランとゼルヴィが膝を付き、こちらに頭を下げて来た。
元上司を馬鹿にしたことに対しての異議申し立て……という雰囲気ではないな。
『お察しの通りベリアル様は内政にはとんと疎く……』
『ほとんどの国事や運営は、奥方様と他の重鎮たちに一任されておりました』
『ですが奥方様達はその手柄を全てベリアル様に捧げられていたのです』
『それにより、『天地覇道』のスキルを持ったベリアル様は更なる力を手にし、周辺国にいた木端な魔王を蹴散らしてこれたのです』
「なるほどなぁ」
そしてまた増えた雑兵や国民は、奥さんや配下の活躍で敬服なり心服なりして、ベリアルの力を高めていったと。そんな王様だと、馬鹿なタイプなら配下や嫁の力も自分の物だと勘違いして増長してしまいそうなものだが……。
『ま、それで増長するような馬鹿だったら、あたしもアイツも見限っていたわ。あたしや他の魔王も、手を出すのを躊躇うくらいにはコイツに力もあったし、国民からの支持も厚かった。下手に手を出したら火傷じゃ済まない……そう思わせる国ではあったのよ』
「ふむ。……で、だからこそこのスキルがそんなベリアルの中核だったと」
中核のスキルは『怠惰』じゃなかったのか。
にしてもまあ、例え上り幅が最低値の憧憬だったとしても、数十万の国民からそう想われていれば、それなりの数値にはなるか。
「んじゃあと試す事と言えば……。アイラ、強化機」
「はい、こちらに」
スキルオーブをセットして……。お、いけそう。とりあえずⅤにしてみるか。
『幻想』だからⅤにするだけでも144万ポイントかかるけど、これくらいなら痛くもかゆくもない。
名前:天地覇道Ⅴ
品格:≪幻想≫ファンタズマ
種類:パッシブブーストスキル
説明:あまねく世界全てを手中に収めんとする覇道を体現したスキル。術者を慕い、服従する者が多いほど、全ての戦闘系ステータスに対して、特殊な加算ボーナスが働く。
★心服:加算ボーナス0.005
★服従:加算ボーナス0.0010
★敬服:加算ボーナス0.0005
★憧憬:加算ボーナス0.00005
「おお、普通に効果が5倍になったな」
強化機を見る限りまだ伸びそうではあるし、Ⅹまで上げれば元の10倍は確定か。そうなってくると、中々に有用そうなスキルではあるかもな。
『『『……』』』
ちなみにベリアル達は、このスキルの変化についていけなかったのか、唖然としていた。
南無。
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