ガチャ996回目:出産報告
「えー、本日は急な呼びかけに答えて頂きまして、誠にありがとうございます」
俺は集まってくれた記者達の前に立ち、深くお辞儀をした。娘達が誕生した数日後、俺達は色々と話し合った末に、今回の顛末を世間に報告することを決めた。今後世界のダンジョン情勢がどうなるかはまだまだ未知の状況が続くが、後続はしっかり育っていることを発表する必要があると踏んだのだ。
それに俺自身、子供の事を隠す気はさらさらなかったし、どんな種族であれ俺の子供なのだ。元より堂々と公表をするつもりだった。嫁達の中には……特にペット組が、カナデの事に不安を感じていたけど、永遠に俺が味方であると説得する事で、納得をしてくれた。
そもそも、俺達自身、細かい事を言えば人間じゃないしな。
ちなみに今回の記者会見は、重大発表と銘打ってはいるが、特に何の発表であるかは伏せたままにしておいた。今この場にいる発表を待つ人達も、画面の向こうで俺の発表を待つ人達も、これから何が報告されるか全く分からない状態だった。まあ、うちの嫁達の妊娠期間を逆算すれば、大体の想像はつくだろうけども。
「ん。ショウタは突然何をやらかすか分からない。だから、自分の想像が果たして合っているのか、自信のある人はいないと思う」
と、考えを読まれミスティに感想を述べられると、記者の人達もうんうんと頷いていた。そして多分画面の向こうでも。
「今回記者会見に並んだメンバーから予想しようにも、勇者様は特に何も考えずに選出しますからね」
「そうそう、たまたまお兄ちゃんの目についたメンバーが声をかけられただけだもんね~」
「ふふ、これも運命よ」
だって暇そうだったし……。
ちなみに今俺と同席してくれているのは、ミスティ、マリー、カスミ、サクヤさんだ。実際の所、俺もこのメンバーの共通点を挙げると言われても、ちょっと言葉に詰まる所ではあるんだが。
「まあそれはともかくとして、今回の発表は2つです。1つは皆さんも察している方々もいらっしゃるかと思いますが、妻であるアキ、マキ、アイラ、アヤネの4人が第一子を産んでくれました。母子ともに健康そのものです」
『おおー!!』
「ちなみに全員女の子でした」
『おおー!!』
「ステータスはまあ公開するべきか悩ましいところでしたが、とりあえず最初の俺達第一世代の最高峰から見ても、その数倍はあったとだけ伝えておきます。何かここまででご質問のあるかたはいらっしゃいますか?」
今回もいつも通り最初の女性が手を挙げた。
「お子様の誕生おめでとうございます。アマチ様から生まれた第二世代には期待が高まるかと思われますが、教育方針などはありますでしょうか?」
「そうですねー。とりあえずのびのびと育ってほしいなとは思います。その為にも、数年以内には日本国内と、太平洋は全て平定させて、安全なエリアを多く確保しておきたいですね」
「なるほど」
流石に赤ん坊や幼児の段階で戦わせるつもりはないしな。
「それに成長したとしても、本人がやりたくないと思うのなら無理に戦わせるつもりはありません。その分俺が頑張ればいいだけですし、この後も子供は何人も増える予定ですからね。それだけの数がいれば、俺と同じ気質の人間が生まれてもおかしくないでしょうし」
「回答、ありがとうございます!」
今回出産した4人もそうだが、誰もが複数人欲しがってるからな。下手すると、最終的に3桁くらいになるんじゃないかと思わなくもない……。今からちょっと気が遠くなりそうだが、頑張ろう。うん。
そうして遠くを見つめていたが、次の質問がやってきたので順番に質問には答えていく。
「第二世代の育児において、ステータスの高さから発生する家具や食器などの破損率が高いという話はよく聞きますが、アマチ様はどのような対策をされているのでしょうか」
「あー……。まずは大量に用意した魔鉄でほぼ全ての消耗品には補強をしてはいるんですけど、それだけじゃ足りない事も多いですよね。俺もそうですけど、うちの嫁達もよく物を壊しちゃいますし。なので一般には出回っていない魔導具で俺達側の力を抑えつける物でなんとかやってます。いつかこれも世間に発表できればいいなーとは思ってます」
『おおー!!』
ちなみにこれは、半分本当で半分嘘だ。真実は『弱体化』による強制デバフだが、それを発表するわけにはいかないし、希望者に『弱体化』をかけて回るのは現実的ではない。なので俺と同じ『錬金術の極地』のスキルを持ち、更には『稀代の錬成術師』という称号を持つタマモにお願いして、作成ができないかお願いしているところだ。
基本的に錬金術などの魔導具造りは、自分が持っているスキルでないと上手く転写することができないらしいのだが、『弱体化』は『スキル強制』によって半ば強引にタマモの所持スキルと化しているからな。そこからなんとか作成にこぎつければ良いのだが……。まあこればっかりは、タマモに頑張ってもらうしかない。
「アマチ様。今回誕生した子達はアマチ様にとって天使のような存在かと存じますが、そのお姿を見せて頂く事は可能でしょうか」
「あー、いいですよ。ですが、あまりに天使すぎるので、可愛すぎて卒倒しないよう注意してくださいね。うちの嫁達は何人もその可愛さにやられてたので」
サクヤさんに目配せをして、会見会場に設置されてあったテレビに映像を映し出してもらう。そこにはアキ、マキ、アヤネ、アイラとその子供達。それから赤ん坊が気に入り過ぎて離れようとしないペット組と、エンキ達の姿が映ったのだが……。
『おおおお!!!!』
『パシャパシャパシャパシャ!!』
こちらの音声や映像が向こうに行かないようにしておいて正解だったな。会場の黄色い悲鳴もフラッシュも、赤ちゃんには酷だろうし。そして案の定卒倒する者が後を絶たなかった。
というか、俺としてはもう1個重大発表があったんだけど……。なんか、言える雰囲気じゃないな~。この後さらっと流すか~。
Xにて、現在の楔システムの様子を記した地図データを更新しました。
https://x.com/hiyuu_niyna/status/1966336212391850276
★次回攻略先ダンジョンのアンケート結果が出ました!★
https://x.com/hiyuu_niyna/status/1964740502923997647










