ガチャ991回目:魔将軍と魔闘将
アズに『テイム』を共有し、駄々をこねるベリアルの権限を受け渡した。するとイクサバの時と同様に彼と俺との間を通っていたパスのようなものが途切れるのを感知できた。
けど、ベリアルの中には少なからず俺の力が残存しているような雰囲気を感じるな。最初に俺の魔力が染み込んでいたから、それが残り続けてるのかな? ふーむ。
帰ったらイクサバにもあるかチェックしてみるか。
『マスター、確かに受け取ったわ♪』
「ああ。それとさっきも言ってたが、ついでに門番してた奴らもアズの管理下に置いてもらう。けど念のため、俺が先に『テイム』して、それをアズに渡す感じでやろうと思う」
『良いけど、また何か実験?』
「そんなとこ」
『待てマスター。あの2人は殺していなかったのか?』
「言ったろ、リリスを悲しませたくないって。だからリリスの顔見知りは倒さないようにしていたんだ。ま、あの2人は俺が手を出すまでもなくアズとリリスの手でボコられたんだが」
『リ、リリスがあやつらを相手に勝利できたのか?』
『はいっ』
「純粋なレベルで言えば、強化済みのお前と良い勝負だぞ」
ベリアルはここで初めてリリスの情報を視たのだろう。目が点になっていた。
「さて、じゃあ後は601の通知と合わせて同時発表するか」
『世間の反応が楽しみですね、マスター様♡』
『じゃが御主人なら、2つ同時解放は既に2度も発動した過去があるからのぅ。あまり驚かれんかもしれんのじゃ』
『あっ、やっぱりあの同時通達は、おにいさんの物だったんですねー』
『今となっては見慣れたものだけど、やっぱりマスターの鍵の所持数は異常よねー♪』
『14だったか? 個人でそれほどの数を持つのが魔王ではなく、まさか人間とはな……』
……ん? なんか気になる話題が出たな。
とりあえず通知設定はこれで完了っと。今頃外では、全世界にメッセージが飛んでいる事だろう。
「アズー。さっきの話だけど」
『んー? あ、コイツが言ったこと?』
「ああ。魔王が鍵を複数持つ事であれば想定できたって事は、元々魔王ってスタンピードなり何らかの方法で外部への進出を果たした後は、自ら鍵の入手をする事で陣地拡大を目指してたのか?」
『んふ、正解♪』
『なんだ、貴様らマスターに説明はしていなかったのか』
『仕方ないでしょー。この世界の人間には情報規制が掛かってるんだから、何でもかんでも教える事はできないの。それに、マスターは人に教えてもらうより自分でその理解に辿り着くことが大好きな人だから、極力あたし達から情報を与える事はしないのよ』
『ほう……。マスターは探究者なのだな』
あ、なんかベリアルからの好感度が上がった気がする。アズもそうだったけど、そういうのには理解がある奴なんだな。
仲良くなれるかは分からんけども。まあでもまともな武人系の奴だし、ちゃんとした槍使いだ。帰ったら『バトルアリーナ』で被ダメオフ設定で、今度はガチンコバトルをしてみたくもあるんだよな。もちろん、コイツの腕を治してからになる訳だが。
「んじゃ、用事も終わったし帰るぞー」
◇◇◇◇◇◇◇◇
その後、戻ってくるとそこには家族だけでなく、アズとリリスが倒したベリアルの配下も待っていてくれた。どうやらあの通知を聞いて、いてもたってもいられなくなったらしい。それでちょっとトラブルになりかけたとか。
まあ、彼らもビビっただろうな。当の本人であるベリアルはどこにもいないし、氷漬けになった主人の腕がある訳だし。
「んじゃ、納得してもらえたところで『テイム』と」
【魔将軍ガランをテイムしました】
【魔闘将ゼルヴィをテイムしました】
【名前を付けてください】
「ガランとゼルヴィで」
【おめでとうございます】
【個体名ガランがあなたの配下に加わりました】
【個体名ゼルヴィがあなたの配下に加わりました】
「よろしくな」
『『……はっ!』』
「んじゃ早速で悪いけど、2人はそのままアズの『テイム』下へ移動な。ちなみにベリアルはもう権限変更済みだ」
『『ご命令の通りに』』
2人は嫌がるそぶりもなく即断し、恭しく頭を下げた。ベリアルとは違って忠誠的だなぁ。
「ねえショウタ、ダンジョンの改造はどうなったの?」
「ん。聞きたい聞きたい」
「ショウタ様の事ですから、きっと過ごしやすくしてくれたと信じています……!」
「ああ、もちろんだ。ただ色々あるから帰りながら話すよ。でも第六層については、ぶっ壊したままにしてあるから、もう天候が荒れる事は二度とないだろうな」
『『『ぶっ壊した……?』』』
魔族3人が理解できないと言った表情で困惑していた。そういや、ベリアルはアズからのお説教で改造している詳細を全て確認できていなかったか。最初の方はちょこちょこ余所見をして怒られてたけど。第六層の改造は最後の最後だったしな。
『マスター。信じられないみたいだし、このまま現場を見せてあげましょうよ♪』
「その後に映像を見せてショウタ様の強さを理解させましょう」
テレサが悪い笑顔してるなぁ。ベリアルには間接的にも直接的にも因縁があるからな。その代わり実害のなかったリリスには、ちゃんと心を許してるみたいだけど。
そうして俺達はその足で第六層へと向かい、天蓋が割れたまま修復されていない光景を連中に見せつけ、トドメに解放状態のグングニルによる一撃のシーンを見せると三者三様の反応を示した。
まずガランは改めて俺へと膝を折り忠誠を誓い、ゼルヴィはしばらく唖然とした後ガランにならって忠誠を誓ってきた。そしてその元主であるベリアルはというと、腰を抜かしたのかしばらく立ち上がれなくなっていた。
その様子に嫁達は満足そうに微笑むのだった。
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