ガチャ990回目:管理者レベル14
毎度の如くやってきたコアルーム。ここもやっぱりいつも通り真っ白な空間であり、パネルに触れればダンジョンコアが姿を現した。
今回の造形は……ヤギの頭と下半身を持ち、胴体は人間のというまさに悪魔そのもの。アズのダンジョンで見たようなフォルムだな。敵として出てきたら強敵であっただろう。
だが、ここではただのコアだ。恐れる必要はないだろう。
『ようこそ、管理者様』
「ああ」
『私は当ダンジョンを管理する端末AI、ダンジョンコアです。……貴方様は中枢キーを1つ、居住キーを2つ、末端キーを11お持ちなのですね』
「特に増加はなしっと」
『中枢キー。……やはり、あの通達は事実だったか。そしてそこにいるお前は、あのアスモデウスで間違いないのだな』
『あら、ようやく? 十数年会ってない程度で思い出せないくらいボケちゃったのかと思ったわよ』
『何だと? 貴様とてこの人間の『テイム』下にあるようではないか。我のダンジョンを攻め込む前に攻略されたということは、この人間がもっと弱かった頃だろう。その上中枢区画の力を持った貴様がおめおめと敗北するとは。ハッ、滑稽だな! あれだけ完成度の高いダンジョンができたと自慢しておいて、情けない限りだ』
『あたしの場合は、アイツの仕掛けた弱体の罠を起動させられたのよ! それにあんたなんて、勝負の最中に隙を晒して正面から打ち破られたじゃない。あたしとは大違いね!』
コイツら、仲が良いんだか悪いんだか。
それに口論の内容としてはどっちもどっちじゃないか。アズなんて戦ってすらいないし。まあ俺がそうするよう仕向けたんだが。
「2人とも静かに」
『むぅ~……』
「じゃれ合うのはいいけど後にしてくれ」
『じゃ、じゃれ合ってなど!』
「アズ、おいで」
『はぁい』
アズを抱き寄せ撫でていると、すぐに尻尾がご機嫌になった。
「ベリアル。お前は俺に負け、『テイム』されて配下になった。そうだな?」
『……そうだ』
「となれば、お前は今や魔王でも何でもない。元魔王であり、リリスの父親かもしれんが、それ以前に俺のペットだ。ペット同士仲良くしろ。そんでうちの嫁にも敬意を示せ」
『……くっ』
「んで、本来ならペット入りした子達は俺の家族であるから、謂れのないやっかみやら悪意からは守ってやるつもりではあるが、お前はこの国を滅茶苦茶にした首謀者だ。ほとんどは自業自得だから彼らが望む罰は謹んで受け入れろ。その代わり、お前の死を望む類の物は俺が弾き飛ばしてやる。お前が死んだらリリスが悲しむからな」
『……善処しよう』
よし、これでOKかな。
ああそうだ。大事な事があった。
「あと、もう彼女はお前の知ってるアスモデウスじゃない。俺の嫁のアズだから。間違えるなよ」
『な!? 貴様、結婚していたのか!? 人間と!!?』
『そうよ。あたしと釣り合える唯一の人間でしょ、マスターは』
『ううむ……。確かにそうかもしれんが……』
『それと! いつまでマスターの事を貴様呼びしてるのよ! ペットとしての自覚を持ちなさい!』
『ぬぐぅ……』
新人の教育はこのままアズに任せて、俺はダンジョンの設定を弄りまくるとするか。
『マスター様、どうぞ♡』
「ああ、ありがとう」
キュビラが大きめのソファーを用意してくれたのでそこに腰掛けると、左右にキュビラとタマモがやってきて、リリスも遠慮がちに背後から抱き着いてくる。
「そんじゃ、始めますかね」
◇◇◇◇◇◇◇◇
そうして俺はダンジョン内の構成を色々と変更した。例えば第六階層までににあった罪の宝箱とその周囲にあった罠は全削除。これが残ってたら、今後誰かがダンジョンに入るたびに事故の危険性は残り続けるからな。
続いて各階層にも調整を入れた。
まず第一層。暗闇を完全排除し、明るくした。すると夜目に慣れ切ったモンスターにはデバフになったようで、雑魚モンスターは目を押さえて動けなくなっていた。しばらく経てば動けるようになるだろうけど、湧いた瞬間はまた耐性が付いてない状態で出現するから狩りやすくなるはずだ。
次に第二層。中央に大きめの橋を架け、外周の狭い通路を完全削除。続いて橋に隣接する形で、入り口側と出口側どちらからも進入可能な長いスロープを設置して下層へのルートも新たに敷設した。ちなみに隠し階段は当然排除したが、仕様は面白かったのでデータだけは残しておいた。
そして第三層。迷路は排除し、全面的に横幅10メートル、高さ5メートルほどの通路型へと改装。通路の数も3本だけとし、まっすぐ進めば次の階層へ辿り着けるようにしておき、モンスターの数も減らしておいた。
問題の第四層。白ウニは完全排除し、トラップなんて何もない平原地帯へと変更。ギミックもなにもない雑魚モンスターがうろつくだけのつまらない階層になってしまったが、白ウニが邪悪すぎるので仕方がないよな。
多種多様なモンスターが蔓延る第五層。ここは、サキュバス村につながるゲートは許可制にして残しつつ、大きな変更は入れないでおいた。罠と呼べる物はリリスと騎士だけだったしな。
残る第六層は、何気にまだ天蓋が壊れたままだったので、修復はしないでおいた。第七層もそのままだ。
「……ふぅー、こんなもんかな」
『お疲れ様でした、マスター様♡』
『あとは通知だけなのじゃー』
『スラスラとダンジョンの設定を変更できるおにいさん、素敵です♡』
『あぁ、我がダンジョンが、このような姿になろうとは……!』
『ちょっとベリアル、まだ話は終わってないわよ!』
『ぬぐぅぅ』
昔馴染みだからか、それともベリアルの覚えが悪いのか、はたまた反抗的だからか、アズのお説教はまだ続いているようだった。けど、同じ俺のペットで対等だからこそ、アズのお説教は効きにくいところがあるのかもしれないよな。
「アズ、いったん中断してこっちにおいで。今から『テイム』を分け与えるから、それでそいつを配下に加えてくれ」
『え、良いのマスター?』
『なにっ!? 我がアスモ……アズの配下だと!?』
「それならもう遠慮なく行けるだろ?」
『ええ、ありがとうマスター! ビシバシ行くわよ!』
『ま、待ってくれマスター! 従う! 従うからそれだけは許してくれ!!』
危機感を覚えたのか、ベリアルは全力で縋って来た。だけど悪いな。忠誠心溢れるイクサバならまだしも、お前を俺のペットのままにはしたくないんだよな。個人的に。
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