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ガチャ986回目:謁見の間へ

『マースター♪』


 悪魔達の心を十分にへし折ったと判断したのか、アズが笑顔で戻ってきた。この感じは褒めて欲しいんだろうな。


「よしよし。こいつらは『テイム』するまでもないか?」

『ないと思うわ。それくらいバッキバキにしておいたし、枠が勿体無いもの。それにこいつらの忠誠心も、アイツの強さに対して心服してるだけだから、マスターの凄さを見せつければ一発で上書きできるかもね♪』


 悪魔ってのは力こそが正義なのかな? アズにもそういう傾向が多少なりともあるしな。


「ふーん。でも枠については心配いらないと思うぞ。なんせ、サキュバス村を支配した事で『共有ポイント』は余ってるんだ。アズに『テイム』をコピーさせれば良いんじゃないかと思ってるしな」

『あー……。確かにそうかもだけど、良いのマスター? あたしなんかにそんなのくれちゃって』

「何の心配をしてるんだ? お前は俺の嫁だろ」


 お前が裏切る事なんて無いって俺は信じてるし、それで良いだろう。それに『テイム』じゃないと連れ出せないしな。

 アズは俺の返答にちょっと呆気にとられたが、すぐ満面の笑みに切り替わった。


『……ふふっ。そうね♪』


 尻尾がブンブンと振られてご機嫌だった。よしよーし。


「んじゃ、こいつらは一旦このままここに置いて行くか。終わったら改めてどうするか決めよう」

『そうね。そうするのが良いと思うわ♪』

「そういやアズ、ここにはアズのダンジョンみたいに相手の力を封印をするためのギミックのようなものは無かったよな。あれって、アズのところが特別だった訳じゃないんだろ? となると、あのギミックは魔王だから設置されてたんじゃなくて、エンドナンバーだったから設置されてた感じか?」

『ええ、推察の通りよ。だからここにいるアイツは、本来の魔王としての能力から見れば、大分みすぼらしい事になっていると思うわ』


 エンドナンバーであれば弱体化は受けても、それなりに万全な状態で顕現できたのに、666って数字の魅力に負けて、自分の強さよりもダンジョンの強さを取ったという事か。んで、それを無理やり覆すために用意していたのがあの騎士って所か。魔王としての権能を取り戻すためだったって、リリスも言ってたしな。

 つまりは、あの騎士こそがこのダンジョンにおけるここのボスの弱体化用のギミックだったとも言えるわけだな。宝箱とは関係なかったみたいだし、場所的にある程度邪魔でも、今考えれば素通りできたっぽいし。


「んじゃ、行くか」

『おにいさん、頑張って下さいね!』

「リリスは複雑ではないのか? 今から俺、お前の父親と戦うんだけど」

『構いません。おにいさんに抱いてもらってからは、おにいさんこそが私の全てですからっ!』

「そ、そうか」


 気恥ずかしいセリフを惜しげなく口にするなぁ。後ろで元家臣も悔しそうにしてるぞ?


『マスター、サキュバスにとって最初の搾精相手は特別視されやすいのよ。だから初めての子は、先輩のサキュバス達によって相手が分からない様に細工された状態で餌として食べさせるの』

「それは目隠し的な感じで?」

『ちょっと違うけど……まあ似た様な感じね♪』


 ふうん。ま、リリスが気にしないってんなら俺も気にせずボコせるな。

 そんな風に緩い空気を発しながら、俺は正面にある扉を開き、先へ進む。道中にはこれまた長い一本道の廊下があり、その奥には豪勢な大扉が1枚。恐らくあれが、ボス部屋兼、謁見の間なのだろう。やはりというかこの階層には雑魚モンスターは配置されていないみたいで、トラップの類なんかも何も用意されていないようだった。


『ここまで侵入されることを想定していないんでしょ。普通の人間には対処不可能な構成のダンジョンだったし、そう慢心するのも仕方がないとはいえ……。想定が甘いわねぇ』

「アズのところは違ったのか? 正直中途半端にしか攻略してないから、よく分かってないんだよな」

『そうねぇ、最下層には強制的にボス部屋へ転送させるトラップを、死角となる場所に複数用意していたわ』

「ほほー」

『弱体化のシステムは設計者の意図上、用意しないといけなかったとはいえ、普通に攻略してたんじゃ絶対分かりっこないよう準備していたし、万全の態勢だったんだから。……マスターは違ったけど♪』


 『神聖魔法』で浄化とか、トリガーを手に持った状態でないと入れない隠しエリアとかだな。アレは確かに、気付けなければむしろ強化用のトリガーになっていただろうし、攻略者によってボスが強くも弱くもなるシステムは、設計者の慈悲でもありつつボス側も有利になれるポイントだよな。

 設計者は、どちらにとっても公平な物を造りたかったんだろうか?


『でもやっぱり、『解析の魔眼』がチートだと思うのよね』


 それはそう。


「まあアレが無かったら、隠し通路は見つけられてなかっただろうな」

『どうかしら。マスターの『運』なら、突破できていた可能性もあるし、それがなくてもガチャが別の代用品を用意していたかもしれないわよ~?』

『ガチャ、ですかぁ?』


 会話を聞いていたリリスが不思議そうに声を上げた。

 そういえば彼女にはまだガチャの説明はしてなかったか。なんだかんだで騎士を倒してから今までずっと、レベル924のままここまで来てるんだよなぁ。まあ、ガチャを回すなら強敵戦前がベストではあるんだけど、先の家臣もそうだし、この先の魔王だって経験値にはできない以上、ガチャを回すよりも高レベルを維持した方が良いと思うんだよな。

 タマモやサクヤさんのようなレベルに応じて効果が変わる特殊スキルを持っている可能性もあるし。警戒しすぎかもしれないけど。


「ま、それはおいおいな」

『はいっ』

「よーし、んじゃ開けるぞ」


 大扉を開けると、そこはファンタジー世界でよく見る立派な謁見の間であり、奥には立派な玉座が2つ。そこに魔王が――。


「ん?」


 あれ? 誰もいないぞ??

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https://x.com/hiyuu_niyna/status/1962191469680455798

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