ガチャ985回目:分からせタイム
石像から本来の姿を取り戻した悪魔達は、俺の隣に侍らせていた2人を見て、明らかに取り乱したようで、困惑していた。
この悪魔達は、見た目からしてまんま悪魔としか言いようがない見た目をしていたが、どちらも特徴的なパーツを持っていた。
片方は全身を漆黒の鎧で身を包み、悪魔の角に蝙蝠の羽を持ち、巨大な鎌を手にしていた。
もう片方はインテリっぽい雰囲気というか、知的オーラを纏った細身の男で、サキュバスの男版のような感じだった。
『まさかそこにおわしますのは、アスモデウス様では……』
『リ、リリスお嬢様!? なぜそんな男にくっ付いていらっしゃるのです!?』
『……♪』
『……♡』
悪魔達に呼ばれた彼女達は、おもむろに俺に抱き付き、アズは挑発的な笑みを浮かべ、リリスは恥ずかしそうに顔を背けた。彼女達のその反応を見てわなわなと震えているあたり、彼らはここの魔王の側近といったところか。こんな最下層の、お宝を守る様に配置された上、ハッキリと自我を持ちつつ門番の様な感じからして、向こうでも相当信頼されていたと見える。
さて、強さからすれば、抑圧され弱体化した結果、あの騎士よりも弱いくらいだ、それでもレベルで言えばどちらも500弱くらいはありそうだな。倒す事は難しくないが、せっかくの貴重な彼女達の顔見知りなのだ。ここは殺さない方が望ましいよな?
「リリス、こいつらはお前のとこの家臣で良いんだよな?」
『は、はいですっ』
「殺さずに見逃してやった方がいいか?」
『『何……?』』
俺の言葉を受け、家臣2人が青筋を立てるが、リリスはそれに気付いていないのか嬉しそうに尻尾を振った。
『い、良いんですか?』
「ああ。お前を悲しませるつもりはないからな」
『おにいさん……ありがとうございます!』
『貴様、今の言葉……』
『聞き捨てならんぞ!』
悪魔の家臣の気配が何倍にも強まり、圧を高めてくる。だがまあ、所詮は500前後の圧だ。大して怖くもなければ、脅威でもない。
だが、俺が毎回ブーストを掛けて圧を出して従わせるのでは芸がないよなぁ。
「アズ、リリス。ここで俺が前に出るのは簡単だが……それじゃつまらないよな。だから俺の代わりに、コイツらを制圧してみせろ」
『はーいマスター♪』
『はいっ、やってみますっ♡』
意気揚々と前に出る2人とは対照的に、悪魔たちはまだ状況が呑み込めていないのか、慌てるように制止の声を掛け始めた。
『ア、アスモデウス様!? よもや我らと戦うおつもりですか!?』
『マスターがそう言ってたじゃない。聞いてなかったの?』
『リリス様! お気を確かに!』
『おにいさんの初めての命令。叶えてみせますっ!』
まあそんな制止の声などが通るはずもなく、圧倒的格上であるアズと、上司の娘であるはずのリリスによって、悪魔たちはボコボコにされるのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇
『ぐぅぅ……。あ、圧倒的すぎる』
『リリス様、いつの間にこのようなお力を……!』
悪魔たちはボロ雑巾のようにフロアに転がっていた。まあ、彼らが不思議がるのも無理はない。なんせ、『テイム』直後のリリスはたったのレベル550だったのだ。500前後のこいつらなら、負ける事はあれど大敗するような事はなかったはずだ。
その程度には、この悪魔家臣も強者であったのだが……今のリリスは俺の配下だからな。当然、昨日のあの騎士の経験値もちゃっかり入ってる訳で。『テイム』下の彼女達は指輪等の補助アイテムがなくてもしっかり経験値が入るシステムなのは助かるよな~。
その結果、『テイム』直後は550だったリリスのレベルも、今では900超えだ。今更500程度の悪魔なんぞに後れを取るはずが無かった。
『ねえマスター、無力化させたは良いけど、これどうしよっか』
「そうだなぁ……。とりあえずふん縛った上で、説明だけしてくれるか?」
『はぁい♪』
『おにいさん、私頑張りましたっ』
「おう、よくやったな」
『えへへ♡』
『ポ~』
「お、ご苦労様」
リリスを可愛がっていると、エンリルは、『プリズムの宝箱』を浮かせて持って帰って来た。戦いが終わるまで回収は待っていてくれてたんだな。嫁達も中身が気になるのか、凝視している。
「気になるのは分かるけど、開けるのは帰ってからな~」
「「「「「『『はーい』』」」」」」
丁寧に宝箱を『魔法の鞄』に入れていく。まあでも、開ける前から大体予想はついてるんだがな。それは俺だけでなく、彼女達もそうだろう。
「『ワールドマップ』で視えてたから、あとは何が出るかだけだな」
「ん。赤、黄金、白、黒、虹色だったもんね」
「赤と虹色はさておき、黄金が秘宝、白が『幻想武器』、黒が『幻想スキル』だもんね」
「また勇者様の強さが一段階上がるんですねっ」
「ふふ、一段階で済むでしょうか」
『わっちのコピーラインナップの原典であれば尚良いの』
「ショウタ様に相応しい武器が出るよう、今から祈っていますね」
『マスター様なら、どのような物が出ても使いこなせますよ♡』
「ああ、ありがとな」
さてと、あの悪魔たちはアズから色々説明されて百面相しているが、俺の強さを教えられ絶望しているようだ。これで尚歯向かって来るようなら俺も前に出ざるを得なかったが、その辺はアズがしっかりへし折ってくれたようだった。
『理解したかしら? マスターはこのあたしより強者なんだから、諦めなさいっ♪』
『くっ……』
『なんということだ……』
それにしても、アズより強いは言い過ぎじゃないか?
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