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ガチャ977回目:久々の強敵戦

『ガガァン!!』


 大剣同士が激突し、その衝撃に大気が揺れる。ブーストなしとはいえ、全力で攻撃したのにびくともしないな。相手から感じられる圧は静止状態の時と比べていくらか増してるし、ハーフブーストくらいは使用しているとみるべきか。

 『知力』が3000あるとはいえ、頭が無いから考えなしに最初から全開で攻撃してくるかもと思ってはいたが、ちゃんと考えて動いてるっぽいな。


『ガガン! ガガン!!』


 互いの剣がぶつかり合い、それに一瞬遅れる形で幻影の刃同士がぶつかり合う。相手の持ってるスキルのうち、警戒すべきは『連殺剣』『幻影刃』『追影刃』『絶望のオーラ』『痛覚無視』『痛覚倍増Ⅲ』の6つだ。

 『連殺剣』は武技スキルのクールタイムを無視して連続発動するスキルだ。相手には未知の武技スキルが2種類搭載されているし、これは発動の瞬間に合わせて『金剛外装』を展開する必要があるかもしれないが……できる事なら回避したいよな。

 『幻影刃』は、幻の動きを他者に見せ、自分自身は感知困難な状態で隠れた状態から攻撃する危険なスキルだ。最初にこのスキルを獲得した時の相手は弱いモンスターだったからなんてことは無かったが、このレベルの強敵が持っているとなると話は変わってくる。

 『追影刃』は、通常攻撃に幻影の追撃がついてくるので、攻撃を防いでも遅れて少し弱い攻撃が飛んでくるので、対処策が無ければ厄介極まりない。だが、俺も『追影刃』を持っている上に、スキルレベルをⅢまで上げているので、追撃数で言えばこちらの方が多い。相手の追撃を弾いた上で、こちらの追撃分が相手に襲い掛かるのだ。なので、この点で言えば厄介さを感じるのはむしろ相手側の方だろう。

 『絶望のオーラ』は未知のスキルだが、名称からしてデバフだろう。未だ受けた記憶のないデバフだから、レジストできるかは半々だな。

 『痛覚無視』は知らないスキルだが、文字通りだとすれば相手にどんな痛打を与えようと怯まないし、アンデッドなので疲れも知らないはずだから最後まで油断はできない。

 最後に『痛覚倍増Ⅲ』は、外装を破られた瞬間発動する事になるだろう。こんなバカ火力持ちの攻撃なんて、『超防壁』の障壁を軽々と超過してくるだろうし、回復はすぐ飛んでくるとはいえ慣れない痛みには必ず判断が鈍る。なるべく被弾は避けたいところだな。


『……!』

「ふっ!」


 何度目かの応酬の後、騎士からの圧力が何倍にも増した。


「来るか!」


 それに応えて身構えると、奴から発せられる圧が更に数十倍以上に膨れ上がり、一瞬でコイツに勝てるビジョンが見えなくなる。


「なっ!?」


 思考は混乱し、足が止まり、体が硬直する。

 そしてそれを見透かした様に、奴の剣に闇の力が集結し始めた。


「……ッ!」

『……!!』


 力の奔流を纏った剣が天に掲げられた。そこから感じる力の強さは、俺が本気で出せる力の何倍もの威力を秘めており、それは俺の心に絶望を齎し――。

 絶望……?


「……喝ッ!!」


『ブワッ!!』


 俺は全身を包み込もうとしていた邪気を振り払った。

すると狭まっていた視界と思考はクリアに晴れ、目の前に迫っていた凶悪な武器も思っていたほどの恐ろしさはなかった。

 これがデバフによる『絶望』か。対処策がなかったら詰んでたな。


「やっぱ『克己』は優秀だなっと! ハーフブースト、『一刀両断』!!」


『ガガガドンッ!!!』


 振り下ろされた剣に合わせて、こちらも武技スキルで対抗する。『力溜め』込みの武技スキル対ノータイム発動の武技スキルでは、こちらの方が圧倒的に不利であり、こちらのスキルは相手の威力を削ぐので精一杯だった。だが、勢いを殺せたことでなんとか地面へと受け流す事ができ、致命傷は避けられた。


『……!』


 続けて、地面に突き刺さった奴の剣に霊魂の様なものが集まってくるのが視えた。名前通りの効果だとすれば、さっきの武技スキルが『冥王斬』で、今から使おうとしているのが『ファントムロード』か。

 連続スキルの締めに使ってくるくらいだ。威力は先ほどの物より上だろう。


「させるかよ!」


 奴の剣を踏み台にして空高く飛び上がった。


「散々上から攻撃してきやがって、今度は俺の番だ!」

『……!』


 踏み台にするついでに余計に地面にめり込ませておいたおかげで、奴が武器を構えるのが一瞬遅れる。


「『戦乱波濤・二式』」


 世界がスローになり、大剣に込められた力が膨れ上がる。騎士はまだ剣を抜いたばかり。霊魂らしきものは剣に纏わり付いているが、俺の技が発動する方が早い。


「『迷宮割り』!!」


『斬ッ!!!』


 迷宮すら破壊する剣閃は、騎士の頭頂部から股下までを両断し、真っ二つにした。奴の持っていた剣だけは断ち切れなかったものの、半身を喪った騎士は断面から煙を吹き出しながら消えていった。


【レベルアップ】

【レベルが38から924に上昇しました】


 地面に降りた俺は、思わず尻もちをつく形で座り込んだ。


「ふぅー、強敵だったー」


 戦士系のレアモンスターは戦っていて楽しいな。怪物系のレアモンスターも、まあ何してくるか分からない点では楽しいんだけど、やっぱ人型の方が楽しみ度は上だわ。

 煙は案の定あっさりと消えてアイテムをばら撒いたし、このダンジョンはそもそもレアⅡという枠組みがないのかもな。


「ショウタ様、お疲れ様でした!」

「今日もカッコよかったです!」

「ああ、ありがとう」


 アイテムを集めたり労いに来てくれる嫁達と戯れあっていると、視界の端でアズとリリスが戯れていた。


『ふわぁ。お父さまの奥の手を、あんなにあっさり……』

『ふふん、あたし達のマスターはすごいでしょ!』

『はいっ、すごいですお姉様!』


 こうしていると、本当に姉妹みたいだな。

 でも、アレでアズはサキュバスじゃないのは、やっぱ詐欺だよなぁ……。

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