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ガチャ968回目:本命の罠

 翌朝。第三層の通路は、いるだけで息苦しさを感じる空間ではあったが、『虚構結界』の内部に拠点を建てると大部分が軽減されたので、問題なく休むことができた。そしてやっぱり彼女達の欲が刺激されまくったので、当然昨晩同様求められてしまった。けどまあ、時間はたっぷり稼いだし、求められるのも悪い気がしないので頑張る事にした。

 俺の言伝もあってか、食事内容にはオーク肉なんかの滋養強壮系の素材がふんだんに使われていたしな。


「テレサ、今の時間はー?」

「はいっ。現地時間で朝の10時。残り時間は16時間ですっ」

「ふむ。余裕あるなー」


 昨日の爆弾魔と連鎖爆発で結構稼げたみたいだな。そうして第四層に降りていくと、白ウニは完璧に復活しているようで、昨日初めて降り立った時と同じ光景が広がっていた。


「もう1回爆発させてみるのもありだけど、一旦はこのまま進んでみるか」


 そうして白ウニを避けてぐねぐねと進んでいると、この階層の雑魚モンスターと遭遇した。


*****

名前:スパイクサンド

レベル:62

腕力:720

器用:650

頑丈:600

俊敏:800

魔力:550

知力:370

運:なし


(パッシブ)スキル】硬化Ⅱ、物理耐性Ⅱ、魔法耐性Ⅱ

(アーツ)スキル】チャージアタックⅢ

★【(エクス)スキル】針飛ばし、大回転


装備:なし

ドロップ:スパイクサンドの背棘

魔石:大

*****


 ふむ。昨日エンリルが集めたドロップからある程度想像はできていたけど、いたって普通だな。


『ギィ!』

『ギギィ!』


 俺達を見つけた奴らが、鳴き声を上げて応援を呼んだ。すると、スパイクサンドは俺達を取り囲むようにして、白ウニの間を通ってやって来た。

 こいつらも白ウニはヤバイ存在だと認知しているのか、大きく避けてやって来たな。


「ん、ショウタ。どうする?」

「んー。適当に処理しながら進もう。特段えられる物は少ないけど、時間は稼げるからな」


 そうして適当に殲滅しつつ、昨日宝箱が出現していたマップの中央まで辿り着く。


「どうやら、この巨大な白ウニの山が中心部みたいだな」


 そして、マップの感じからして昨日宝箱があったのはこの山の内部と外部にありそうだった。山をぐるりと見て回ったが、内部に入れそうな隙間などは無く、中に出現する宝箱はこの山を壊さないと入手する事はできない仕様のようだ。

 ……それは良いとして。


「皆ストップ。そこに罠があるな」


 俺が指さしたのは何の変哲もない地面であり、特にこれと言って目印になりそうなものはなかった。強いて言えば、外側に出現していた宝箱もあの辺りだった気がする。大きさとしては半径1メートル程度の小さな丸いトラップゾーンであり、踏み込めば罠が発動するのは明確だった。何の罠かは発動させれば分かるだろうが、今のままだと俺の『直感』が命の危険を感じている。

 そして、昨日ここに来た時はあんなものはなかった。ということは……。


「あれがこの階層で全滅者を出したトラップの可能性が高いな。エンキ、四方八方に壁を。高さは巨大山対策で5メートル。追加で、罠経由による発動は攻撃力が高そうだから、三重にしてくれ」

『ゴ!』


 エンキが強めの高い壁を3枚重ねで作ってくれる。1枚目の時は嫌な予感はまだ消えなかったが、2枚目が建てられた瞬間その警笛は鳴りを潜め、3枚目でようやく安心できた。


「よし。シャル、曲射を頼めるか」

「OK」


 彼女は一つ返事で、壁の向こう側にある見えない標的へと発射。彼女の放った矢は、感覚からして地面の罠に吸い込まれたのは明白だった。そして数秒後、壁の外から大爆発が聞こえて来た。


『ドドドドドド!!!』

『ガガガガガガ!!!』


 昨日感じた振動や爆音を塗り替えるほどの衝撃が、壁を通じて全身で感じさせられた。この衝撃、やはり想像通り威力が段違いにあるようだ。


『わーぉ。皆、みてみてー♪』


 アズがマップを広げて手招きしている。せっかくなので覗かせてもらうと、マップには地獄のような光景が広がっていた。

 あの白ウニ、オブジェクトとしてその場に留まっている時はマップにも映り込まなかったのに、爆ぜた瞬間トラップとして扱いが変わるのか、マップのあちこちで罠を示す黄色いアイコンが何もない場所から現れ周囲に拡散し、消滅。その後も黄色いアイコンが通過した近辺から、連鎖的に黄色いアイコンが出現し、周囲で逃げまどっていた赤点もろとも消滅。そんな光景を繰り返していた


「……今まで、あの罠に掛からなかったのは奇跡だったかもしれませんね」

「中央の山には近付かないで正解でした~……」

「やっぱり、安全を期して外周から攻めてたのか?」

「はい。そもそもこの階層自体、居心地が余りにもよくなかったので、第五層に挑戦できないか試した時以外はあまり訪れたりはしなかったんです」

「なるほどな」


 そうして話をしていると外は静まり返り、マップの動きも大人しくなったので『跳躍』で脱出。壁の様子を観てみると、巨大な山があった方向からの針は1枚目の壁が大破、2枚目すら中破。3枚目は剥き出しになっているところがあったが、ほとんどが刺さるまでには至らなかったようだ。

 安全策で3枚重ねにして正解だったな。そして先ほどの罠は……うん、跡形もないな。シャルが放った矢も爆発の余波に巻き込まれたのか消え去っている。


「よし、この階層はもう良いだろう。得られる物はないし、このまま第五層へ向かおうか」


 さーて、ここから先がこのダンジョンの本番だな。何が待ってるやら。

 ……まあ、殺意だけは高いんだろうけどな。

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