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ガチャ967回目:爆弾

 この階層の殺意の高さを知り、改めて脅威度の高いダンジョンであることを皆が認識し直していると今までだんまりしていたアズが隣にやって来た。


『マスターマスター』

「ん?」

『あれ見てあれ』


 アズが指さした先。そこには薄っすらとだが宝箱のようなものが見える。それも2つも。


「あれ、なんでだ?」


 まだ何もしてないぞ。


『ほら、さっきシャルが炸裂弾を起動させたでしょ? その影響でこの階層全域で針が飛び散った訳だけど、その結果何が起きたと思う?』

「……モンスターも全滅したのか」

『そ♪』

「その影響で宝箱も出現したと」

「トラップの起動であたしが間接的に倒したことになるんだし、その理屈は分からなくも無いわね」

「だが、それならなんで2つも出たんだ? テレサ、この階層のモンスターの種類は?」

「1種だけです」

「え、1種だけ?」


 なら余計に謎だが……。もしかして、通常討伐ではなくこのやり方でないと宝箱が出現しないとか? それなら悪辣さに拍車がかかるな。普通の人間にアレが耐えられる訳ないじゃん。

 ……山なりに攻撃を加えて、時限的な猶予時間を作って着弾と同時に階層から出るやり方くらいしか思いつかんな。討伐者が階層にいない状態でも討伐カウンターが正常に進むかは分からんけども。


「とりあえず、考えていても仕方がない。宝箱のところまで行こうか。それとエンリル。マップに映ってる中で、届く範囲のドロップアイテムだけは回収しておいてくれるか」

『ポ!』


 そうして障害物が消えた代わりに針だらけとなり歩きにくくなった平原を進んで行き、俺達は宝箱の手前で立ち止まった。


「ん。ショウタ、ここにも罠がある?」

「ああ、あるな。けどどっちも1つずつだ」


 ならもうここで『解析の魔眼』のスキルオーブ化を済ませておくか。


「アズ」

『はあい♪』


 んじゃチェックと。


 名称:第四の罪(表)

 品格:なし

 種類:宝箱

 説明:第四の罪が封じられた宝箱。開けることはできない。


 名称:第四の罪(裏)

 品格:なし

 種類:宝箱

 説明:第四の罪が封じられた宝箱。開けることはできない。


 変化なしと。

 左が表で右が裏なら、表から見てやるかな。ああでもその前に、宝箱はもらっておこう。


「エンリル」

『ポ』


 宝箱はアズが受け取り、続けてミスティに合図を送る。


「ん」


 銃弾が着弾することで罠が起動したが、やはりというかもう1つの方も連動して起動。この階層のレアモンスターが登場した。


*****

名前:エクスプロージョン(強化)

レベル:180(+40)

腕力:1000

器用:1000

頑丈:2000

俊敏:1000

魔力:8000

知力:3600

運:なし


(パッシブ)スキル】物理耐性Ⅲ、魔法耐性Ⅲ

(マジック)スキル】炎魔法LvMAX、火炎操作LvMAX、炎の鎧Ⅲ、魔力超回復Lv5

★【(エクス)スキル】火炎復活Ⅲ、自爆Ⅴ


装備:なし

ドロップ:大型爆烈手榴弾

魔石:極大

*****


 2体とも同じモンスターか。見た目は炎のエレメントに酷似しているが、そちらよりもより物質的な存在感を感じる。名前とスキル構成からしても、何を得意とするのか丸わかりだが……。


【5】


「……あー」


 連中の頭上に数字が表れた。

 これってもしかして……。


【4】


「カウントダウンだよな~?」


 皆にも緊張が走るが、俺は手で制した。数秒あれば問題はない。


【3】


 俺は巨人の剣を取り出し、水平に構える。


【2】


「ふぅー……」


【1】


「『閃撃・一刀破断』!!」


『斬ッ!!』


 核となる中心部を両断された連中は、カウントダウンと共にゆらゆらと消えていった。


【レベルアップ】

【レベルが14から238に上昇しました】


 まーた微妙に足りてないな。こりゃまた、今回もスキルオーブ化が丸いかなぁ。


『はー、びっくりしたわね。まさか爆発に特化した精霊が出てくるなんて』

「異世界ってのは、あんなのもその辺をフラフラ存在してるのか?」

『そんな事はないわ。基本的に精霊は人里離れた場所にしかいないし、あの手の特殊な精霊に関しては、自然では絶対発生しないわ』

「ということは、人造兵器のようなものか」

『はい。その通りですマスター様♡』

『わっちも、あのような特殊精霊の事は存じておるぞ! 一番厄介なところは、『自爆』をしても死なぬ所なのじゃ。その上不安定な奴じゃと、復活してすぐにまた自爆をしてきたりもするのじゃ~』

「そりゃまた、厄介なんてレベルじゃないな」


 そんなん、爆弾魔ってレベルじゃないか。


「しかも、こんな危険な階層でそんなことされたら……」

「ん。カウント中に逃げ出しても四方から針が飛んでくる」

「絶体絶命ね」

「とりあえず倒せたし、良しとするか」

「そうですねっ」

「ショウタ、これからどうする?」

『第五層、向かわれますか?』


 第五層はテレサが入れなかった階層であり、前人未到の場所だ。そしてこの階層はエンキの石壁さえあれば安全とはいえ、エンキに気を張ってもらい続けるのは悪い気がするからな。


「ちょっと癪だが、第三層に戻ってそこで拠点を建てようと思う」

『流石マスター様♡』

『それが一番の安全策なのじゃ』

「じゃ、帰るぞー」


 皆が納得し、白ウニが復活する前に駆け足で戻っていると、後ろの方でこの階層の雑魚モンスターが復活し始めていた。50メートルの射程外だったのでその詳細は視れなかったが、この階層の雑魚モンスターは背中に剣山を生やしたアルマジロのような見た目をしていた。

 あのトゲトゲで転がって来たりしたら面白そうだけど、あれは多分普通に硬いだけだな。

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