ガチャ963回目:強制合体
「……」
弾丸を放つ度、目の前にいたスライム達は崩れ落ち、煙となって消えゆく。それと同時に俺を観戦していた嫁達がワーキャーと楽しそうにしていた。
「男の人が銃で戦うのって、どうしてこう格好良く見えるのでしょう」
「勇者様ですから更に格好良く見えますね!」
「ん、普段使わないから余計カッコよく見える」
「弓一筋ではあるけど、銃も独自の良さがあるのよねぇ」
『マスターは何してもカッコイイわね♪』
『お家にいる皆様の為にも、記録を残しておかなければ……!』
『わっちの記憶に銃の『幻想武器』の情報がないのが悔やまれるのじゃ~』
「……皆楽しそうだね」
まあ俺も久々の銃に加え、新種のスライムという状況に胸を躍らせてはいるけども。いやー、検証欲が満たされるー。
しかしまあ、ここのスライムは散発的に襲ってくるけど、個体によって随分と大きさもレベルも平均的なステータスまでも、てんでバラバラなんだよな。これもスキルにあった『自動増殖』と『自動融合』による影響だろうか。
「テレサー」
「はいっ。ここのスライムは時間経過で増殖する事が確認されています。また、増殖した個体が別の個体とぶつかると最低2体から最大4体ほどが一度に融合し、増殖前より強くなることも確認されています」
「ほほー」
やっぱ、スライムって合体するもんだよなー。うんうん。
「にしても、そういう点からしてもこの階層は複数同時にいようものなら合体するって話だし、遭遇する敵は単一がデフォルトなのか」
「そうなりますね」
「てことは、他の人達もこの階層で時間稼ぎしてたのかな?」
「はい。来るまでが大変ではありますけど、第一層や第二層は狩りには向きませんから」
なるほどね。
「しかし、こうも疎らに存在してるスライムを100体倒すのはなかなかに骨だな」
そうぼやきつつ、曲がり角でスライムと遭遇。いつものように銃口を向けたところで、一瞬待ったをかける。
「こいつ……なんか弱い気がするな」
*****
名前:アシッドスライム
レベル:54
腕力:220
器用:670
頑丈:800
俊敏:150
魔力:670
知力:70
運:なし
【Pスキル】硬化Ⅱ、物理耐性Ⅱ、魔法耐性Ⅱ、斬撃耐性Lv1、貫通耐性Lv1、打撃耐性Lv1
★【Eスキル】自動増殖、自動融合、強酸、フルイドスプレッド
装備:なし
ドロップ:アシッドスライムの核
魔石:中
*****
やっぱり弱い。レベルはばらつきがあるとはいえ、魔石のサイズが違えばそれはもう別の存在といっても過言ではない。
「アズ、倒してくれ」
『はーい♪』
アズの魔法が正確に相手のコアを貫き、消滅させる。
「危うく敵の罠にみすみす掛かる所だった」
「どういうことですか?」
「恐らくここのモンスターは、増殖した直後、もしくはリポップした直後の弱い個体と、融合を繰り返した末に強化された個体とで魔石のサイズが異なるようになってる。そして魔石のサイズが異なれば、ダンジョン側で認識している同時討伐対象としても、別種でカウントがされてる可能性がある訳だ。つまり、何も考えずに100体討伐するだけじゃ、レアモンスターに辿り着けない仕組みって訳だな」
ほんっといやらしい仕組みだな。もしこれが事実なら、それなりに人の出入りが少なくならないと、そもそも高レベル側のレアが出現しない事を意味している訳だ。そしてわざわざ『中魔石』と『大魔石』で分けられてるという事は、今までの宝箱の傾向からして……。
「テレサ、この階層はスライムだけだな?」
「はい」
「なら、それぞれの低レベルスライムと高レベルスライムによるレアの果てに、表裏の宝箱が出てくる可能性が高そうだな」
「おお~」
「流石勇者様ですっ」
『御主人すごいのじゃ~』
『マスター様……♡』
「ん。少ない情報でそこに至れる発想力。ショウタじゃないと無理」
おだてても何も出ないぞ。
『ふふっ、マスター照れてる♪』
「……今後『中魔石』持ちが出たらアズが頼む」
『はぁい♪』
そうしてマップの外周を全て埋め、アズが『中魔石』のスライムを撃破したところでアズが反応した。
『マスター、今のであたしの方は100体目だったみたい』
「お、そうか。俺もそろそろ100は行っててもおかしくないと思うんだがなー」
やっぱり、気付く前に何体か『中魔石』の相手が混じってたのかもな。
「あと、出現場所は中央か?」
『ええ』
「ど真ん中? それともどっちかに寄ってる?」
『マップ上では右にちょっと寄ってるかも』
「なら、もう1つもそこに湧きそうだな」
その後も残りのマップを埋めつつ、引き続き『中魔石』持ちはアズに任せ続ける事数十分。結局マップを埋め終えても討伐数が足りなかった為、追加討伐をしてようやく『大魔石』の方のスライムも100体目に到達したようだ。
途中から、ばったり『大魔石』持ちと出くわさなくなったもんだから、マップを視つつ『中魔石』持ちのスライムをエンリルの風で吹き飛ばして、無理やり他のスライムと強制合体させる手段を取る事でなんとかなった。ぶつかるだけで合体する仕様のおかげで助かった。
そうして俺達は中央の部屋へと辿り着くと、そこでは2つの宝箱が台座に乗った状態で出迎えてくれた。ここまでくれば、その台座の周囲にトラップが仕掛けられている事は見なくても気配で読む事ができた。
「さて、ここのレアモンスターはどんなのが出るかな」
新種スライムの新レアだ。楽しみでしょうがない。
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