ガチャ948回目:君臨着地
肉敷布団+モフモフ抱き枕+いつの間にか乗ってた芋虫掛布団にくるまれた状態で俺は目を覚ました。俺が目を覚ましたことで彼女達も起きたのだろう。背中と左右の布団と枕がモゾモゾしている。
ただ上に乗っている芋虫だけはまだ微睡みの中にいるようだったので、そっと脇にどけて起き上がると、思いっきり伸びをした。
「ん~……よく寝た?」
質の高い睡眠がとれた気がする。頭もすっきりしているし、身体にも疲れなんて感じない。元気いっぱいだ。
『んふ、おはようマスター♪』
『マスター様、ぐっすりでしたね♡』
『御主人、わっちらの布団はどうだったのじゃ?』
「最高だった。またやって欲しいかな」
『くふっ。お任せなのじゃ』
得意げに微笑むタマモを撫でつつ、周囲の状況を確認する。対面にあるベッドでは酔いどれ呑兵衛達が酒気を纏いながらあられも無い姿で寝落ちしていた。
まあ、誰もみてないし、ちゃんとベッドで寝てるんなら文句はないが。
『その子達は先輩達が運んでくれたみたいよー?』
「そうなのか? あとで褒めてやんないと」
そう話していると、呑兵衛達も起き始めたようだ。未だ寝てるのはミスティくらいのものだが、これはいつもの事なので後で良いか。
『それでは私は、お食事の用意をして来ますね♡』
「ああ、頼む」
そう言ってキュビラをハグして軽くキスをする。
『今の時刻は……ふむふむ。御主人、あと30分ほどで目的の空港なのじゃ。その後は軍用ヘリで直接行くのじゃー』
「んぇ? そんなことしちゃって良いの?」
一応、今から行くのって聖都なんでしょ? ダンジョンができる前のデータだと、色々とやっちゃダメな事とかあったはずだけど……。
『問題ないのじゃ。御主人だから許されてるのじゃ』
「本来でしたら厳禁ですけど、ショウタ様であれば問題ありません。ただ、軍用ヘリが降り立つ場所までは確保できませんでしたので、空中から飛び降りる必要はありますけど」
テレサも起きたか。
まあテレサが言うなら、色々と話は済んでるんだろうな。
「まあ皆には『浮遊術』を覚えさせてあるから、空中からのダイブで困りはしないけど、そんなに切羽詰まってるんだね」
「はい。出発前の報告では、残り時間が20時間を切っているようでして……」
「ありゃ、そりゃ大変だ」
それから8時間とちょっと経過しているわけだし、現場はもっと切羽詰まってるというか、生きた心地がしないだろうな。
「それにしてもマリー、酒盛りしてそのまま寝ちゃってたんだって?」
「あうぅ、申し訳ないです……」
「『ハイ・ヒューマン』になったとはいえ、風邪をひかない保証はないんだから、次からは気をつけてね」
マリーの頭を撫でる。今回の件は久々に気ままに飲めるようになったのが嬉しかったのもそうだけど、身内しかないから安心しちゃってたのもあるんだろう。別に怒ってないし、叱るつもりもない。外でこんな醜態は晒さないだろう事は俺がよく知ってる。
だから、軽い注意で済ませた。
俺の考えはマリーもよく分かってるのだろう。甘えるように頭を押し付けて来た。
「えへへ、はい~」
「他の子達も、超人になっても人としての尊厳は失わないようにね」
「「「はい~」」」
そう返事する彼女達はまだちょっとふわふわしていた。なので、おはようの意味も込めてハグとキスを順番にしていく。先程キュビラにもしたが、これが我が家の朝のルーティンだ。
そうしてアズとタマモにも同様にし、未だ眠りの彼方にいるミスティを優しく起こす。
「……ん。おはよう?」
「ああ、おはよう。朝ではないけど良い感じの時間だぞ」
「ん。起きる……だからもっと撫でて」
「まったく、よしよし」
「ん。くるしゅうない」
そうして朝食のような昼食のようななんとも言えない時間帯のそれを平らげると、俺たちは空港に到着。そのままターミナルに行かず直で付近に停めてあった軍用ヘリに乗り込み、再び空の旅へとレッツゴーだ。
といっても、ここからバチカンまでの距離はそう遠くない。眼下に見える夕焼けの景色を眺めていたら、10分程度で目的地へと辿り着いていた。
軍用ヘリの背面が音を立てて開いていく。ここで飛び降りろという事だろう。
「ショウタ様、こちらから参りましょう」
「テレサ。あの教会っぽい建物の、中庭っぽいところに降りればいいのか?」
「はい。あれこそが私が生まれ育った場所であり、ダンジョン協会としての役割も兼ね備えた建物なのです」
「ほほー、そうなのか。んじゃ、俺はエンキ達と一緒に先に行かせてもらうぞ」
『ゴー!』
『ポポ!』
『プル~』
『~~♪』
『キュイ~』
腕が何本もあれば嫁達を全員抱えて飛び降りたいところではあるが、流石に無理があるからな。なのでここは、喧嘩にならないようエンキ達を抱えて飛ぶことにした。
そうして飛び降りた瞬間、ちょっと魔が差した。
「……せっかくの聖地だ。ちょっと派手に行こうか。『神意のオーラ』解放!」
『ぶわっ!』
聖属性のエネルギーを解放すると、全身が光に包まれ周囲に純白の羽が舞う。『浮遊術』は使用していないのに落下速度が急激に遅くなり、全身に力が漲っているのを感じた。
この力の感覚は、ここが聖地であることが関係しているんだろうか? ブーストを使用していないのに、軽く見積もってもハーフブーストしているのと同等以上の力を内側から感じるぞ。
「結構使えそうな能力だな」
だが、使えそうなのはダンジョンの中だけなのだろうと思い知らされた。
なにせ、敷地に降り立った時には、周囲の者達は全員膝をついて祈りを捧げていたのだから。
「……やりすぎたか」
『ゴ~』
『ポ』
『プル~』
『キュイ』
『♪』
こんなことする気は無かったんだけど、どうして急にやりたくなったんだ……?
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