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ガチャ946回目:旅の準備

「よし、確認終わり! それじゃあ出発の準備をしようか」

「兄さん。今回の難関ダンジョンも、僕は行かなくても良いのかい?」

「ああ。ただでさえ過剰戦力なのに、お前が来たらな~。という訳で、アメリカの攻略は任せた。できるだけ西海岸のラインを広げてくれると助かる」

「次の海底ダンジョンへの対策だよね、任せてくれ。ただ、ジェットブーツの確保があるから数日は遅れるけど」

「何から何まで悪いな」


 エスとハイタッチを交わし、続いてカスミとイズミがやってくる。


「お兄ちゃん。私達は予定通り『名古屋城前ダンジョン』で良いのかな?」

「ああ。関東第一エリアとの間を通る『楔システム』の繋がりを太くしたいからな。まあ、最終的にもっと邪魔してる長野の『山岳ダンジョン』と、伊豆半島にある『結晶ダンジョン』も何とかしたいところではあるが……。そこはまあ、『悪魔のダンジョン』が終わってからだな」

「うん、わかった。頑張って来るね!」

「お兄様、応援よろしく☆」

「おう、頑張ってこい」


 2人とハグをする。他のメンバーはアキとマキの方について行っちゃったから、後で彼女達も見送りのハグをしよう。


「ああイクサバ、うちの嫁達を頼むぞ。まあ難関ではなさそうだけど一応な」

『お任せを、主君!』


 律儀に膝を突くイクサバの肩をポンポンする。それだけで彼のやる気はMAXになるようだ。なんと安上がりな。

 そうして第二と第三チームが準備のためにこの場から離れると、サクヤさんが甘えるようにもたれかかってきた。


「ねぇショウ君。そろそろ私の『中級ダンジョン』も攻略して欲しいな~」


 ぐふっ。サクヤさんの甘えボイスは脳を揺らす……!

 ほんとこの人の声は魔性だな。正直『傾国の美女EX』なんて要らなかったんじゃないかとさえ思えてくる。


「あ、あー……中級ですか。確か『鑑定』の名産地なんですよね」

「そうよ。他のダンジョンのようにドロップ率が上がってくれたら、本当にこの国の安全性はもっと跳ね上がると思うのよね」

「まあ確かに……。しかもそれ、サクヤさん的には他のチームじゃなくて俺に攻略して欲しいんですよね?」

「ふふ。他の子が信用ならないわけじゃないのよ。ただ、ドロップアップが見つからなかったとしても、ショウ君でさえ見つけられなかったのなら諦めがつくけど、他の子達だと……ね」


 あ~……。実績面と信頼で、俺でさえ見つけられないなら無いも同然だもんな。それは確かにそうかもしれない。


「なるほど。まあ確かに俺ほどダンジョンの秘密を暴くのに適した人間はいないとは思いたいところではありますけど」

「ふふ、そうでしょうそうでしょう?」


 なんかおだてられている気がしないでもないけど、サクヤさんなら悪い気はしないな。


「……わかりました。早めに何とかします」

「できれば次のダンジョンが出るまでには済ませて欲しいわ」

「了解しました」


 まあ今更『中級ダンジョン』程度で躓く心配はないか。1日2~3層ペースで行けば数日で終わるだろ、多分。

 そう思ったところで、温室を見に行った嫁達が戻って来た。


「ショウタさん、ただいま戻りました」

「戻ったよー! ありゃ、アイテム確認は終わったのね」

「おかえりー」

「旦那様、お母様と何のお話をしていたんですのー?」

「では勇者様、私達も出発の準備してきますね!」

「お兄様、失礼します」

「ああ、その前に第二チームはこっちおいで」


 そうしてカスミチームの面々だけ呼び止めてハグを済ませた。

 さて、俺も準備を――。


「ご主人様の準備は終わっておりますのでご安心を」

「ああ、いつもありがとな」


 お腹の大きくなったら4人を優しく抱きつつ、1人1人言葉を交える。まずはアイラからだな。


「アイラ、無理はしてないよな?」

「当然です。ご主人様はご自愛ください」

「ごめんて」

「ちゃんと帰って来て下さいね」

「ああ、任せろ」


 次はアヤネだな。


「出産後に『中級ダンジョン』の攻略をお願いされたんだ」

「わ、懐かしいですわ。わたくしも旦那様に出会うまでは、ちょくちょく通っていましたわ」

「そうなのか」

「折角ですから、子供を連れて一緒に行くのも良いかもしれませんわね」

「赤ん坊を連れて!? いやまあ、できるだろうけどさぁ」


 流石にそれは無いかな。


「ふふ、冗談ですわ」

「なんだ、冗談か。よかった」


 マジっぽい空気を感じたんだがな。

 次はマキだな。


「マキ、行ってくるな」

「はい。ショウタさんが無茶をするのはもうわかってますから、どうかご無事で」

「うぐ。……それで温室は大丈夫だったか?」

「はい。今実が付くものは全部生っていたので、黄金の果実は確認できませんでしたけど、旬が終わって元気がなくなっていた子達が返り咲いていました。恐らく本当に、永久に咲き誇り続けるかもしれません」

「これを機に、温室を増築しちゃうのもありだよな」


 四季折々の花が咲き誇る場所というのも、中々ロマンあるよな。


「んふ。なんなら果樹園も追加しちゃうー?」

「腐葉土もあるし、それもアリかもなー。黄金の果実とやらも、生る木によって種類が変わるのであれば気になるし、食べれるものなら食べてみたいし」

「至急、手配しますねっ!」

「お手伝いしますわ!」

「計画書を立てましょうか」

「そんなにやる気に!?」

「だってお腹大きくなってから、料理する以外は趣味の時間を持つしかできなくなっちゃったからさ~。あたし達結構暇してたのよ? だから暇を潰せて、なおかつショウタ君の役に立てるものならやる気になっちゃうわけよ」

「なるほど……」


 確かに散々ダンジョンに連れまわして、もしものためにと急に育休を挟んだせいで、暇になっちゃってたのか。この4人の中で一番多趣味なアキですら暇っていうくらいだし、本当に暇だったのかもしれない。


「ごめんなアキ、そっちに気が回らなくて」

「良いのよー。どうせ暇なのはショウタ君がダンジョンに行ってる間だけだったんだもん。丁度暇してる人数も4人だから、パーティーゲームとか色々できたしね。それにうちにいる時は大体ショウタ君はどこかに連れてったりしてくれてるし、そうでなくてもあたし達の家族は大人数で賑やかだから、暇する事なんて無かったわ」

「……良い嫁すぎる」

「でしょー? という訳で、またしばらく忙しくできそうだから、ショウタ君も急ぎ過ぎないで良いからね~」

「ああ。安全かつ完全にクリアしてくるよ」


 嫁達からエールと共にやる気も貰った。あとは攻略してくるだけだ! 

読者の皆様へ


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