ガチャ941回目:お馴染みアイテム整理⑧
さて、それじゃ続いてチェックするのは、アイテム群の中でも一番異質なコレだな。
名称:砂に埋もれた聖櫃
品格:≪高位伝説≫ハイ・レジェンダリー
種類:アーティファクト
説明:かつて存在した女神の秘密が納められた特殊な箱。混じり気のない純粋な聖光に包まれており、何人も開けることは叶わない。
★箱の中には女神の根源である誓いの書が封入されている。
★書には、女神が地上に君臨する条件として定められた十箇条が記されている。
★書を取り込めば新たな神になれる。
「……めちゃくちゃ曰く付きの代物じゃないか」
『ははーん。そういうことね』
『奴も大それたことをしでかしたものじゃ』
『奴がついぞ見つけられなかった物を、マスター様は見つけ出したということですね!』
『ふふ、そうね』
『そうじゃの!』
「えっと、何の話?」
ボス組がにぎやかにしているが、流石に話についていけない。まあ、奴ってのが500にいる『機械主メズマリウス』の事を指しているんだとは思うけども。
『えーっとね、簡単に言うとこのアーティファクトには神としての力が宿っている。そこは大丈夫よね?』
「ああ」
『そんな神の力を手に入れたら、神になれるってことでしょ?』
「そうなるんだろうな」
『それを魔王が手にしたらどうなると思う?』
「どうって、そりゃあ……。俺みたいになるんじゃないか?」
スキル構成的に、俺って大体そんな感じだしな。
そんな俺の言葉に、ボス組は全員揃って噴き出した。
『ふふ、あははっ! そうね、マスターみたいになっちゃうわね♪』
『くふっ。確かに、御主人はどちらの力もあるのじゃ』
『ふふふ。ですがマスター様、スキルとして魔王と神に類する力を持つのと、格としての力を持つのとでは少し次元が異なる話なのです』
「ああ、そりゃ確かにそうだ」
例え俺が『ハイ・ヒューマン』専用のスキルを持っていたところで、種族が『ハイ・ヒューマン』ではなくただの人間だったのならまともに使えないし、下手すると発動すらしないだろう。
……あれ? そういや俺の中に、魔法の名称まではスキルをイメージすれば浮かんでくるのに、どうやっても発動しないスキルがあったな?
「……『時空魔法』、タイムストップ」
『カチッ!』
世界から音が消えた。気配も消えた。
膝上にいたタマモを横にどかして立ち上がり、周囲を見るが……皆談笑したまま止まっている。試しに隣にいたサクヤさんに触れようとしたところで、急激に嫌な予感が迫ってくるのを感じた。
「……ッ!! 解除!!」
『カチッ!』
「ぶはっ……!」
『……?』
皆が談笑を止め、肩で息をしている俺へと視線を向けた。先ほどまで一緒に座っていたのに気付いたら立っているものだから、不思議に思ってこちらを見たのだろうが、その後すぐに驚きの感情に変わった。
「え、すごい汗だよ?」
「ショウタさん、大丈夫ですかっ!?」
「ご主人様、今何を……いえ、まずはタオルですね」
「旦那様、凄く疲れた顔してますわ!」
『ぬぬ? わっちはいつのまに座っておったのじゃ?』
『マスター、今何したの??』
『マスター様から妙な波動を一瞬感じましたが……』
嫁達の手によって再び座らされ、汗を拭きとるどころか一瞬で脱がされ、そのまま着替えさせられる。そして一瞬だが時間を止めた事を告げた。
「じじじじ時間停止!?」
「それで一瞬で変化していたんですね」
「もしかして、膨大な魔力を使われたんではありませんの?」
「ご主人様の疲労感からして、秒間5000ほどの魔力を消費したように見えますね」
「え、でもお兄ちゃんって、さっき『魔力の叡智Ⅴ』を取得してたよね? それでそんなに減るの!?」
「消費半分になっても5000も減るとか、やば~☆」
「それだけ凄まじい事ですからね。時間を自在に操るなんて真似は」
「それこそ神様とかでないと……」
『ああ~、それでマスター思いついちゃったんだ!』
『神にできそうな事じゃから、自分にもできると? くふふ、本当に御主人はとんでもないのじゃ~』
「いや、格が違うと使えないスキルがあるんじゃないかと思ってな。『ハイ・ヒューマン』になったことでできるようになったんじゃないかと試した訳だ」
『なるほどですね』
『数秒とはいえ時を操れるとは、主君は凄まじいですな』
「でも、数秒でその消耗となると、戦いでは使えそうにないね」
「消費もそうだけど、この疲労っぷりでは厳しそうね。ショウ君、無理しちゃだめよ?」
「はい~……」
サクヤさんに撫でられると、本当に脳がとろけるな……。まあ、俺達くらいのレベルになってくると、数秒でさえ相手が動けないのならそれだけで勝利は決まったようなものなのだが、それに頼ってたら絶対どこかで躓くだろうし、結局奥の手として『タイムストップ』は半封印が妥当かな。
ま、それ以外にも使えそうな魔法はあるみたいだし、余裕のある時に試すとするか。今は……魔力が空っぽだからやめておこう。今別のを試して余計に魔力を消費してぶっ倒れたら目も当てられないし。なにせ、この整理が終わった後も用事が山積みなのだから。
『で、どこまで話したっけ?』
「えーっと、キュビラが格の話をしたところで終わったかな」
『そうそう、そうだったわ。つまり奴があの女神を倒して陣地を接収してまで得たかった本当のお宝は、この聖櫃ってわけね』
『そしてこの聖櫃を使う事で、奴は魔王としての格と、神としての格。その2つを同時に手中に収めようとしたのです』
「もしそれが現実になっていたとしたら、どうなってたんだ?」
『……考えたくはないが、いち魔王に収まる器を大きく超えた存在となっておったはずなのじゃ。他陣営の魔王は基本的に互いをライバル視しておったし、1人1人組み伏せられて奴の1人勝ち状態になっていたかもしれんのじゃ~』
「なるほど、そいつは厄介だ」
で、結局これを使うと、俺は神の力を得られちゃうって訳か。
まあでも、人間辞めたくはないし、そもそも開けられないと書いている以上封印安定だけど。……でも封印されてるってことは、解除する方法も何かしらありそうだけどな。物理的にぶっ壊すとか。
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