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Chapter1 - Episode 8


「さて……観察の時間です」


言うや否や、こちらへと突っ込もうとしたゴブリンの両脚に矢が刺さり派手に転倒する。

それも私の目の前に転がるように。

HPはこれでやっと半分程度。まだ余裕はあるだろう。


何かされても困る為、剣を握る手を踏みつけ離させた後に拾い上げておく。

錆びてはいるものの、鈍器として使う分には十二分な重さがある剣だ。押し込むように使えば肉程度なら貫くだろう。


「動かれても仕方ないので」


必死に私の足を掴もうとしているもう片手を上から剣で地面に突き刺した。どうせ戦闘状態が終わったら消えてしまうのだ。使えるものは使っておくべきだろう。

これでもうゴブリンは動けない。

足を離し、背中側に回り込んで頭の花をよく観察する。


……根は見えない……頭の中ですかこれ。

結果としては完全に身体の内側に根を張っている事と、ここまで近付いた所で花側が私に何かをする事がないという2点が分かった。


「メアリー、他のゴブリンの花は?」

「残ら、なかったよ」

「ありがとうございます」


そして宿主側が倒れた場合は共に消滅する事。

これで寄生さえされていなければ、私達に影響する要素は無いことが分かった。

では、次に本命の確認だ。

頭に生えている花を掴み、引き抜く為に思いっきり上へと引っ張ってみる。すると、


「おっと」

「わ、ぁ……」


【獲得アイテム:下級モンスターの核×3、奇豌豆の種×1】


思った以上に抵抗なく引き抜かれたと同時、ゴブリンの身体が急速に萎びていき最終的にミイラのようになって消えてしまう。考えていたよりも頭の花の重要性が高かった……らしい。

もしかしたらゴブリン本体を倒すよりも、何かしらの投擲物などで頭の花を狙った方が簡単に倒せる可能性が高いのかもしれない。

それに加え、何故か1つ種も手に入ってしまった。


「もうちょっと探索して、色々試しましょう。3~4回試したら帰還する形で」

「りょーかい」



結果を元に、何度か戦闘を行ってみた所。

なんと頭の花を散らす、もしくは引き抜く事で寄生されているゴブリン達は倒す事が可能であるという事が分かった。

但しその代わり、獲得アイテムが下級モンスターの核ではなく奇豌豆の種に固定されてしまう。

ただ近づかれる前にメアリーの弓だけで倒せるようになったのは大きい点だろう。負担も大きくなってしまうのが悩みどころだが。


そんなこんなで、一旦ダンジョンから帰還し円陣やら回復アイテムの補充やらを行う事となった……わけだが。


「んー……どうしたものかしら」


つい素の口調が出てしまうくらいには私は悩んでいた。

現在私はマイルームの木の机に座り、円陣を作成しようとしているのだが……選択肢が多く、どれを優先すべきか迷ってしまったのだ。

私が持つ円陣は【魔力弾】のみ。

攻撃力が不足しているわけでも、射程が短いわけではない。ただ、これだけでは攻撃パターンが固定されがちとなってしまい、戦闘中に取れる選択肢の幅が狭くなってしまう。


しかしながら、他の要素……防御や補助が行える円陣も欲しいと言えば欲しいのだ。

防御が出来る円陣があれば、最悪無理矢理にでも【魔力弾】を放つタイミングを作り出す事が出来るだろう。

補助に関しては効果にもよるが、バフデバフ、HPの回復など考えられる選択肢だけでもかなり有用だ。


「……寄生、寄生……ね」


思い浮かぶのは、ゴブリンの頭に咲いた赤紫色の花。

エンドウ豆は人間の肺で発芽した例もある植物だ。他にも冬虫夏草などの生物に寄生する植物類や菌糸類は何種類も存在している。

……作れますかね、敵に寄生するタイプの円陣。

丁度、先程までの探索で寄豌豆の種というそれらしいアイテムも手に入れている。

試してみるのもいいだろう。


円陣の作成には合計2段階の工程を踏む必要がある。

まず最初に、主効果、副効果の作成。

チュートリアルでは自動で作成されスキップされた部分ではあるが、円陣を作成開始する前にそれぞれを別で作成する必要がある。

【魔力弾】や【矢生成】における『魔力物質化』や『弾状化』、『射出』などがこれにあたる。

そして次に主効果を1つ、副効果を最大3つ、オプションを選択し、チュートリアルで経験したパズルを完成させる事でやっと円陣が作成される。

まぁ今回オプションについては、作成も出来なかったし付ける事も出来なかった為に省いているが。


「お、良いのがあるじゃないですか」


下級モンスターの核によって作成出来るそれらは中々に種類が多く、出現したリストをスクロールしながら見ていると丁度良い副効果を発見出来た為、それを作成し円陣作成のパズルへと移行した。

……む、少しばかり難しい。


【魔力弾】に比べると流石に少し複雑になっている。

あれを一番下の難度と考えると、1~2個ほど上の難度になったくらいだろうか。

少しばかり考えつつ、よく分からない文字をハメていき。


「これで完成っと」


そうして出来上がった円陣がコレだ。


―――――

【寄生種】

種別:攻撃

主効果:魔力物質化

∟副効果:種状化

∟副効果:射出

∟副効果:成長

∟オプション:なし

―――――


どのような挙動になるかは分からない。

特に3つ目の副効果である『成長』に関して言えば、作成時の説明として、


―――――

『成長』

種別:副効果

効果:外的要因によって成長する

―――――


という、使ってみない事には詳細が分からないものとなっていた。

作成と並行して掲示板でも調べてみたが、作成している人はいるものの……『きちんと動作しているかどうかは分からない』とか『何をもって成長とするのか』などの意見が散見されて、詳細な効果を見つける事が出来なかった。

まぁサービス初日なのだ。そんなものだろう。


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