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Chapter1 - Episode 3


まず私は、交戦ではなく観察を選択した。

というのも、結局の所……円陣によって魔力の弾を撃ち出すのには、相手の隙を狙った方が効率が良い。

それならば、相手の動きをきちんと理解しておいた方がいいだろう。


仮称ゴブリンがこちらに向かって滅茶苦茶にこん棒を振り回す。

縦に、左右に、時には突くようにしながら涎を撒き散らしている姿は、まさしくファンタジーの序盤に出てくるゴブリンそのものと言えるだろう。

腰みの程度しか防具は付けておらず、その腰みのも何かの動物の皮をそのまま纏っているに過ぎず防御力があるとは到底思えない。

動きの速度は……ある程度早い。だが余裕をもって攻撃を避ける事が出来ている時点で、『ある程度』の域からは脱していない。

そして最大の特徴といえば、


「疲れるんですね、貴方」


疲れが存在する、という点だろう。

数度、私に向かってこん棒を振り回し、追いかけまわし、そして数十秒ほどその場で止まり休憩する。

肩で息をしながらこちらを睨む姿を見て、少しばかりの申し訳なさが心の内に湧くものの、モンスター相手にそんな考えをしてもした所で仕方がない。


……ある程度、もう良いですかね。

あと確かめるべきは死にかけた時の動きなのだろうが、それはこれから分かることだ。

再度こちらへとこん棒を振り回し始めたゴブリンの動きに集中しつつ、休憩パートに入った瞬間。

私はゴブリンの頭目掛けて【魔力弾】を発動した。

青白い弾が飛んでいき、そして……緑の顔面へとぐちゅりという水音を伴って着弾する。


「……意外と火力出るんだ……」


つい敬語が外れてしまう程度にはその威力に引きながら、ゴブリンの状態を遠目から確かめる。

四肢がぴくぴくと動きつつ、顔面がある程度潰れ血を流している状態だ。

しかしながら死んではいない。こちらが攻撃を当てたからだろうか、ゴブリンの上にHPバーのようなものが出現し現在進行形で減っていっているものの、大体半分ほどで減少は止まってしまった。

それと同時、身体を起こそうと上半身を持ち上げようとしていたため、再度【魔力弾】を撃ちこみ完全にトドメをさす。


【ゴブリンを倒しました】

【獲得アイテム:下級モンスターの核×1】


簡易的ではあるが、分かりやすいログが音声とテキスト両方で流れる。

戦闘終了、らしい。やはりチュートリアル用の敵だったのだろう。それ以上の増援もなければ、そんなに強い敵だったとも言えない。

強いて言えば……やはり観察は大事だった、という事くらいだろう。


「よし、一旦外に出ますか。2階層からはこうもいかないでしょうし」


一応、ゴブリンが守っていたらしき下へと続く階段に近づいてみる。

すると、次の階層に降りるか広場に戻るかを選択出来た為、そのまま帰ることにした。

第1回の探索は成功したといっても過言ではないだろう。



ダンジョンから出た私は、装備やアイテムを買う為にモトトコヨの第弍層、商業特区【チュウイチ】へと移動していた。

雲1つない青空に、活気溢れる声。日本ではあまり見る事はないものの、海外にはよくある路上販売系の露店に、しっかりとした商店。

それらが混在する区画の姿に、私は一瞬呆気に取られた後に我に返った。


……小さい子は迷子になりそう。

そんな事を考えつつ、私は露店を冷かしながら区画内を歩いていく。

目的地があるわけではなく、ただ気に入るような店が無いかどうかを探しているだけの時間。

何せパッと見るだけでも数十軒ほどの露店や商店が存在するのだ。

どうせ物を買うならば、気に入った場所で買ってもバチは当たらないだろう。


「ん?」


そんな私の目に1つの露店が目に留まった。

露店自体の見た目には全く他とは変わりがない。しかしながら、そこに立っている店主の姿に目を惹かれたというべきだろう。

金髪の女の子。このゲームが出来ている時点で実年齢的には小さいわけではないのだろうが、それでもどこか小学生や中学生を想像してしまうようなその容姿。

問題は、私がその彼女の顔を知っていたことだろう。

無言でその露店へと近づき、


「……何やってるんです?」

「へぁっ!?」


店主……私のリアルの友人に話しかけた。

彼女は私の声に肩を飛び跳ねさせつつも、声のした方向へと目を向け、そして私の顔をまじまじと見て固まる。

そしてすぐに頭を再起動させたのか、引き攣った笑みを浮かべながら私にフレンド申請を送ってきた。


【プレイヤー:メアリーからフレンド申請が届きました。承認しますか?Y/N】


すぐさま承認して、私は露店内に座る彼女の隣へと腰を下ろす。


「……いや承認しますけども。貴女、この手のゲームやるんですね、メアリー」

「ぁ、うん……えっと、前から、だね?し……ティアは?」

「私もです。あとこっちでの名前はティアなので慣れてくださいね」


一瞬彼女の口から私の本名が出掛かった為、注意をしつつ。

思わぬ出会いがあった事に素直に驚いていた。


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