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Chapter1 - Episode 18


「確定ですかね」

「確定、だと思う、よ」

「ですよねぇ」


少し離れた位置で地面に転がるゴブリン達を2人で観察しつつ、【臆病な花畑】及び『オシロイバナ』の性質付与について再度確認した所、2つの事が判明した。

1つ、【臆病な花畑】で付与された眩暈のようなデバフ……正式名称も眩暈だったわけだが、これは『オシロイバナ』によって追加された性質由来のモノだった点。

そして2つ目。『オシロイバナ』によって性質付与された円陣は、約4回程段階的に強化されていく点。

勿論重要なのは2つ目だ。


「自分を対象から外すとか出来ると良いんですが」

「今後に、期待?」


今の所、【臆病な花畑】に自分自身を巻き込まないというセーフティは存在しない。

だが、それだからこその使い道は存在する。

単純に、敵側だけに作用するよう発動すれば良い。


それこそ、今のようにゴブリン達だけが対象になるよう発動していれば、戦闘中と言えどメアリーとゆっくり話す程度の時間を作る事が出来る。

尚且つ、私は回転式拳銃(リボルバー)を持っているのだから、近付いて戦う必要なんて何処にもないのだ。


「よし、じゃあ行きますか……攻略」

「いいの?」

「使い道はありますし、別段失敗作って訳ではないですから」


問題は目眩などが効かない相手になる訳だが……そちらには今まで通りに戦えば良い話。

戦闘中に使える札が1枚増えたとだけかんがえて、先に進むことにした。

目指すは10層。数字的に一区切りとなるであろう階層だ。



「メアリー!」

「んっ!」


複数の青白い鳥が飛び立つと同時。

私は【木の恵み】を発動し、即興の壁を作り出す。

瞬間、魔力の木に大きな衝撃が走る。


「複数は聞いてないですよ、っと!」


相手の動きが【木の恵み】によって阻害されると共に、私は回転式拳銃の引き金を連続で引く事で、止まった相手を滅多撃ちにした。

茶色の装甲が飛び、その内側に存在する緑色の核となる部分が見え。

そこに青白い鳥達が突っ込み、小規模の爆発を連続させる。


【獲得アイテム:奇豌豆の種×3、枯れ蔦の欠片×2】


「終わりですか」

「回復……してて。私も、索敵したら、補給……するから」

「すみません、助かります」


ログが流れると共に消えていくそれらを見つつ、私は溜息を吐いた。

現在、私達が居るのは第8層。メアリーの手に渡った『オシロイバナ』が手に入った階層でありながら、少しばかりこれまでの2層と様子の違う森の階層だ。

その理由が先程まで私達が戦っていたモンスター……蔦人形の存在だった。


……5層のよりは小さい。代わりに複数、そして脆い。簡単に考えるなら、あっちは門番的役割なんでしょうね。

巨大だった5層のそれに比べ、現在の8層で出現している蔦人形達は精々が私よりも少し高い程度……それでも大体が普通の成人男性ほどの大きさしかない。

だがそれらが複数。最低でも2、多くて4体ほど出現するのを考えると、厄介度はこちらの方が高いだろう。

幾ら5層を20回以上やったと言えど、複数になった彼らを1人で相手したいとは思えない。


「敵の内訳も変わってきましたし……」

「大きな、植物とか?」

「えぇ。アレ完全にウツボカズラですよね」


8層では、今まで出現していた狼達は出現しない。否、出現はしているのだ。他に捕食されている形で。

人1人くらいなら飲み込めてしまいそうな自立行動を行うウツボカズラ。

複数で出現する蔦人形達。

そして、


「アレ、4層で見た奴……成長した感じ?」

「えぇ。エンドウ豆が生ってますから」


巨大なエンドウ豆を頭から生やした、目が虚ろな猪。

何故か狼達を捕食しているウツボカズラは、その猪には手を出さず……逆に逃げるように距離を取っているし、蔦人形達は猪を守るように行動しているのをよく見る事が出来る。

……寄生、寄生ねぇ。

植物であっても寄生される、もしくはあのエンドウ豆がこの森の中の頂点に君臨しているのだろう。

明らかにアレを取り巻く周囲の環境が普通ではないのだから。


「でも、何とか抜けれそうですね。苦戦というよりは慣れてないだけですから」

「うん、いける……ね」


正直、辛いとは思わない。

小さくなっているからか、タイミングを合わせればほぼ1回の交戦で1体を倒せる蔦人形や、脅威となる蔦や消化液の範囲外から攻撃を行えるウツボカズラ。

そして考える頭までエンドウ豆に吸い取られ、ほぼ防御行動というものを行わない猪。

私達が遠距離系の攻撃を行えるのも苦戦していない理由の1つなのだろう。

この環境は、近接系の攻撃手段しか持たないプレイヤーには辛いものがあるはずだ。


だが、油断はしない。

周りが森であるが故に、少しでも周囲の観察を怠ってしまうと、紛れるように近づいてきたモンスター達の一撃を食らってしまうからだ。

一応、メアリーに多くMP回復用のポーションを回し、索敵を厚くしてもらう事で視覚外のモンスターに対応してもらっているが……それでも限界はある。

早めに抜けられるなら抜けた方が良いだろう。


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