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Chapter1 - Episode 16


「はい、これ」

「ありがとうございます、メアリー」


以前、防具などの受け渡しを行った【ネト】のカフェ。

そこで私とメアリーは再び物の受け渡しを行っていた。

今回私から渡すのはゲーム内通貨と、蔦人形から得た要らないオプション、そして素材だ。

そして、彼女から受け取る物。それは、


「『オシロイバナ』……オプションですね」

「うん。8層で出た、んだって」

「成程、少し先ですね……」


私が望んでいた、花の性質を付与するオプションだ。

種を割ると白い粉が出てくる、子供の頃に化粧の真似事として使った事がある人も居るであろう花。


「でもこれでまた手が増えます。……どうします?メアリーが良ければ少し後にダンジョンアタックでもしましょうか」

「うん、行こ」

「ありがとうございます。では……30分後くらいに【インガイ】で」


メアリーと一度別れ、再度マイルームの机へと向かう事にした。

今回作ろうと思っているのは2種類の円陣。

回復用と攻撃用の2種類だ。

回復用の円陣には『ウッド』を、攻撃用には試しに『オシロイバナ』を使ってみよう。


「最初は……簡単にイメージが出来る方から行きましょうか」


最初に作るのは回復用。

といっても、個人用のモノではなく、範囲を対象としたもの。

主効果に『HP回復』。

そして『広域化』という、主効果のターゲットを個から範囲に変える副効果をセットする事で範囲回復の効果を持った円陣の土台は出来上がる。

……えぇっと。木を起点として回復を撒く形にしたいので……。

そしてそこに、『魔力物質化』を……と思ったのだが。


「あ、これは主効果にしかセット出来ない……成程?『HP回復』は……これも主効果のみ。じゃあ似たようなものを探さないといけないわけですか」


掲示板で『HP回復』に似た効果を持つ副効果が無いかを探してみる。すると、『持続回復』という『HP回復』に比べると回復量が少なく、わざわざこれを使うまでもないという評価のものがヒットした。

丁度良いので、これを使う事にしよう。

そうして追加追加していく事で出来たのが、これだ。


―――――

【木の恵み】

種別:補助

主効果:魔力物質化

∟副効果:樹状化

∟副効果:持続回復

∟副効果:広域化

∟オプション:『ウッド』

―――――


思った形になるかが心配だった為、とりあえずで『樹状化』という、文字通り魔力を樹の形に変化させる副効果を追加した形だ。

上手く動作する事を願いつつ、次の円陣の作成に移っていこう。


「次は『オシロイバナ』を使った攻撃用、ですね」


現実でいうオシロイバナは、一応毒性のある植物だ。

名前の由来にもなったとされる種の粉や、根など、ほぼ全ての部位に嘔吐や下痢を引き起こす成分を持っている。

しかしながら、それもそれで高温には弱いという特徴を持っており……同じ成分を持つ植物を使った飲み物としてコーヒーが挙げられる。


「どうせならそれを前面に出したいですよねぇ……」


そんなオシロイバナをモチーフとして攻撃用の円陣を作るのならば、その毒性をどうにか活かすべきだろう。

オプションである『オシロイバナ』によって、そこらの性質が付与される可能性も加味し、合いそうな主効果、副効果をピックアップしていくこと暫し。


「よし、完成」


ある事を思いつき、それを成す事が出来る効果を選ぶ事で円陣を組み上げた。


―――――

臆病な花畑(ガーデン)

種別:攻撃

主効果:毒付与

∟副効果:広域化

∟副効果:継続発動

∟副効果:成長

∟オプション:『オシロイバナ』

―――――


直接攻撃を行う、というよりは間接的に相手を攻撃出来るように。

先程作った【木の恵み】と合わせる事で、こちらは毒のダメージを相殺でき……たらいいなぁという狙いもあったりする。

一応、この後メアリーに許可を取った上で試してみるつもりではあるが。


【作成円陣数が規定数を突破しました】

【コンテンツ:方陣が解放されました】


「……おっと?」


何やら突然私の目の前に出現したウィンドウに目を丸くしながらも、その内容を読んでいく。

そしてそれが中々に面倒でありながらも、使いこなせれば強力な物であるというのが分かった。


「円陣4種を一時的に機能不全にする代わりに使える必殺技、みたいな物ですか」


言ってしまえば、任意の範囲に向けて効果を発揮する円陣のようなもの。

コストとして、一時的……指定範囲に比例する形で自身の習得している円陣4種が使用不可になるものの、上手く使えれば強力な伏せ札になるだろう。

しかし問題も存在する。


「……効果はランダム。種別は選べるものの、内容自体の決定権はこちらにはない、と」


攻撃、防御、補助の3種から選ぶ事ができる種別。これによって、発動する方陣の方向性をプレイヤーが決定できる。

しかしながら、その内容までは決められないのだ。

例えば、補助系の円陣で言えば……回復効果を与えるか、範囲内を索敵するかがその都度ランダムに抽選されてしまう。


円陣に比べれば、強力な効果を発揮するとは思うものの。

切り札として運用出来るかと言われれば首を傾げざるを得ないだろう。

だからこそ、伏せ札としての運用がキモとなる……はずだ。


「でもこれ、武器のスロットに入ってる円陣はコストに指定出来ないんですね……成程」


だからこそのスロットなのだろう。

一時的に円陣の一部が使えない状況で、十全に普段通りの攻撃を行える武器。

そして、防御や補助を行える防具類。

……何処かのタイミングで、そこらも充実させていかないといけませんね。


「おっと、危ない。そろそろ行かないと」


そこまで確認した上で時間を確認すると、指定した待ち合わせ時間が迫ってきていた為に、すぐさま準備を整えてからマイルームを後にした。

一度実戦で試してみれば、嫌でもその効果は実感出来るだろう。


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