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Chapter1 - Episode 12


「……よし、じゃあまずはどんな風になるかのテスト」


ぶっつけ本番で新しい円陣を作成するわけではなく、まず既存の円陣に加える事でどのような変化が起きるのかを観察する。

特に私の円陣の中には【寄生種】なんていうそれらしいものも存在しているのだ。丁度良いだろう。

早速【寄生種】の詳細を開き、『アイビー』を追加した後に私は再び【電脳樹のダンジョン】へと移動した。

しかし1人で5層より下にはいかない。というよりも、確認するだけなら1層から2層を行き来していれば十分だ。対個、対複数での挙動がどうなるかを確かめるだけなのだから、自身が危ない目に遭う必要は全くない。


「これは……本当に変わりますね」


結果、私の目の前では蔦に絡み取られ身動きが出来ない状態で根を張られてしまい、どんどん干乾びていくゴブリンの姿があった。

元々【寄生種】は相手の身体に根付く事で、その身体の精気……HPと、使用者のMPを栄養に育つ攻撃型の円陣だ。

しかしながら、目の前で今もダンジョンの壁を伝って広がっていくソレは、コストの多くの部分を寄生先のゴブリンから補っていた。広がる為に栄養を吸い、そして広がり過ぎた場所が枯れる事で、ゴブリンに栄養(HP)が僅かに戻り回復する。そうして回復したものを使い、更に成長し……を繰り返す。

……対個よりも、対複数ですねこれは。


そしてその性質から、個体相手に使うには適さない事が伺えた。

確かに現状目の前で起こっている事を考えれば、個体相手に使うのにも有用ではあるのだろう。

しかしながら成長し広がっていく事を考慮すると、どうしても敵が固まっている場所に『アイビー』の性質をもった円陣を使った方が良い……そう考えられる。

言うなれば、個体指定型範囲攻撃……とでも言うべきだろうか。

相手の数が多ければ多いほどに、蔦は広がり成長していく。

問題はその分私のMPが吸われてしまう点だろう。何か対策を考えておくべきだ。


「何かしら……それこそ、ゲームにありがちな別枠のMPタンクとかが欲しくなります」


それに関しても、時間が解決してくれるだろう。

回復用の円陣を作り出す、何かしらのアイテムを生産する等、今の状態で考えられる方法というのは幾らでも存在する。

サービス開始直後であるため、十二分に情報が出揃っていないのだ。

その状態で『それを解決する方法は存在しない』と断言する事は出来ない。


「とりあえず……このオプションを何個か作る所から始めましょうか」


オプション『アイビー』は、取得した事が条件だったのか作成できるようになった。

しかしながら、その材料としてあの蔦人形からドロップしたアイテムが複数必要である……らしいのだ。

つまるところ、私にはMPタンクよりも先に必要なものが存在する。

武器だ。

いつまでも無手で攻撃するわけにもいかないし、何なら出来る事を増やすために武器が欲しい。

蔦人形との戦闘も、私が武器さえ持っていればもう少し楽だった……はずだ。


「何を使いますかねぇ」


候補自体は多い。

剣や槍という技術が必要な武器は扱えないが、それ以外……ある程度の動きさえ分かれば最低限の動きが出来るであろうハンマーや、近寄られた時の最低限の自衛としての短剣など。

遠距離攻撃が出来る弓なども良いが、メアリーとパーティを組んだ場合にバランスが悪いだろう。

とりあえず……【チュウイチ】で露店を冷かしながら色々と見てみる事にしよう。



……本当に色々ありますねココは。

長剣や槍、ハンマーに短剣などはすぐに見つかった。

それ以外にもボウガンや弓、果てはチャクラムやトンファー、鎖鎌などの技術の要る武器も売っているのを確認出来た。

当然ながら私にそれらを扱う技量はない。


「ん、面白いものがありますね」

「おっ、嬢ちゃん。これが気になるかい?」

「えぇ。これは貴方が作成したもので?」

「いや、ダンジョンに潜ってる連中から買い取ったもんだ。値は張るが十二分に良いものだぞ」


そんなものを見つつ、露店を回っていると気になるものを売っているNPCの店を発見出来た。

それは、


回転式拳銃(リボルバー)……弾はどうなってますか?」

「円陣式だな。嬢ちゃん、スロット内の円陣の調整の仕方は?」

「知りません。何分少し前に来たばかりなので」

「成程……部屋にある机で簡易的、電子鉄床が設置されてるならそっちで細かく調整が出来るぞ」


値段は高い。

それこそ、今までの探索である程度溜まったゲーム内通貨を全て使えば買えるほど。

だが逆に言えば、全ての通貨を使う事でこれを買えるのだ。

……多少の練習は必要でしょうけど、銃はアリですよね。

特に、現状の私のような戦い方をするのならば有用だろう。

元々精度自体も、現実では約25~50メートル以上になってしまうと途端に低くなったような記憶がある。


「……買います」

「毎度あり」


こうして私は、新しい武器を手に入れた。

後ほど、全財産を投げ打った事がメアリーにバレてしまい説教という名のお話を受ける事になったのだが。


一応の話をすると、この作品……EoAにおいて銃というカテゴリの武器はあまり強いとは言えません。

作中に出てきた回転式拳銃、所謂リボルバーですが、あれはMPを使って弾を生成できる円陣があるからこそリロードの有無などの手間が掛からない為、ある程度序盤では「良い」と判断できる武装になっているだけですね。


あの円陣がない場合ですが、まず弾を売っている場所を探す所から始まり、弾が見つかったとしてもダメージ自体は序中盤までは十二分にあるでしょうが、その後はどうにかダメージを増やせる円陣などを使わない限りは雑魚敵にもまともなダメージを与えられなくなります。

超人的な照準技術などがあればそんな事もないでしょうが、まぁ普通の人は無理でしょう。

普通に剣とか槍を使った方が強いですし、相手の鎧やらを砕くならハンマーで良いわけですね。

なんならボウガンなどの方がワンチャン毒などを塗り込める為、敵にとっては脅威になる事もあるでしょう。


つまるところ、今後に期待、ということで。

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