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道路造成

 今日一日はウッドストック補給作戦の準備をすると決めていたソイル。


 まだ昼を迎えたぐらいで日没まではまだまだ時間はある。


 ソイルは道路の造成についてケイトさんに相談することにした。


「道路の造成と言うか、そこまでじゃないんですがとりあえずゴーレムが通れるように荒れた道の穴ぼこを均すのってどうすればいいんですか?」


「穴ぼこの埋め立てって時間が掛かるから、ソイルくんが先行して出発して砂利グラベルの魔法を使って道路の穴ぼこを埋め立てて均してくれればいいんだけど、今ソイルくんが村からいなくなったら困るわよね。なので、ゴーレムに道路工事をして貰うしかないわね」


「ゴーレムって魔法を使えるんですか?」


 ケイトはソイルの質問を聞いて大笑い。


「使える訳ないじゃない」


「じゃあ、道の脇から土を現地調達です?」


「道の脇から採った土で埋め立てもいいんだけど、砂利じゃなく土だとゴーレムが数体通っただけでまた穴になっちゃうと思うわね」


 どうすればいいんだろう?


 ソイルは必死に考えるが解決策は思い当たらない。


「これ使えばいいのよ」


 セモリナさんはゴーレム2号のバックパックを指さす。


「せっかくバックパックを作ったんだから、そこに砂利を詰めて運ばせればいいのよ」


 ケイトさんによればゴーレム二体一組で砂利運搬と埋め立て役をさせて、バックパックからスコップで砂利をすくいだして埋め立てればいいとのことだ。


 もちろん、埋め立て役のゴーレムのバックパックにも砂利を入れておけば2倍の距離を埋め立て出来る。


 早速1号と2号のバックパックを砂利で満タンにして試しに穴の埋め立てをしてみようとしたんだけど、ケイトさんに止められた。


「待ちなさいよ。ソイルくんが村からいなくなったら困るじゃない。他の子に任せなさいよ」


 と言うことで、町長宅の庭に設営した屋外食堂で昼食を食べ終えて暇そうにあくびをしていたケビンとジャズが連れて来られた。


 休憩してたのにいきなり連れて来られてケビンは少しご立腹。


「俺たちに穴の埋め立ての重労働をさせるのか?」


「あんたたちはゴーレムの護衛よ。穴埋めのゴーレムが魔獣に襲われたら退治して欲しいの」


「そんな事か。村長の修行に疲れ果てていたから、護衛ならお安い御用だ」


「うむ」


 二人は納得してくれたようだ。


 ブレイブにも声を掛けたが、俺は村長との修行があるからそんな暇はないと断られた。


 どうやらブレイブは本気で修行をしているらしい。


 ちなみにローズはブレイブにべったりで同じく手伝えないそうだ。


 ケイトさんはゴーレムとケビンとジャズに作業の詳細を伝える。


「バックパックの砂利で道路の穴を埋めてきてね。ゴーレムが埋め立て出来なくなったとか壊れたとかトラブルが起きたらすぐに戻って来るのよ」


「すぐに故障するようなゴーレムなのかよ? そんなポンコツを俺たちに預けるなよ」


 不安そうなケビンにソイルは胸を張る。


「防御壁の作業で一週間以上ノートラブルだったから大丈夫さ」


「ソイルが自信満々でいうんだから大丈夫かな」


 砦のゴブリンチャンピオン討伐で信頼されるようになったソイル。


 ケビンの不安は解消されたようだ。


「日没までには戻って来れるようにするのよ」


「おう、行ってくる」


 ケビンとジャズはゴーレム1号2号と一緒に穴ぼこ埋め立て作業に出掛けていった。


 穴さえ埋め立ててしまえば、ゴーレム運送団は成功したに等しい。


 ソイルはこの輸送作戦に手応えを感じつつあった。


 *


 バックパック作成を始める。


 作る数は100個。


 全てのゴーレムに装着する予定だ。


 とは言ってもさっき作った時にセット魔法で登録してあったので楽々100個を作り上げた。


 ソイルのバックパック作成にケイトさんが感心している。


「手慣れてきたせいもあるけど、ソイルくんのセット魔法はすごいわね」


「ありがとうございます。そう言われると結構うれしいです」


 いつの間にかいなくなってたセモリナさんが屋外食堂から昼食の皿を持って来た。


「お腹空いてると作業がはかどらないわよ」


 毎度のボアのステーキだ。


 この村の住人でないソイルとケイトさんの分は香辛料をふんだんに使ってある。


「ボアステーキもこれで食べ納めだと思うと少しだけ寂しいわね」


「ちょっと飽きてきたころだから丁度いいかも」


「だよね」


 この村に来てからパンよりもボアを食べる機会が格段に増えた。


 もうそれは主食かってぐらいにボアまみれだ。


 二人して盛り上がっていると、セモリナさんが不満気だ。


「なによ、二人だけで盛り上がっちゃって!」


「この村に来てから、ボアばっかりで飽きてきたなって、ね」


「ボアをウッドストックに持って行くから当分ボア肉を食べなくて済むって話してたんだ」


 それを聞いてセモリナさんが青ざめる。


「え? そんな話、聞いてないわよ。これから毎日の食事はどうすればいいのよ?」


「シェーマスさんが穀物とか備蓄してないの?」


「そんなものある訳ないじゃない!」


 シェーマスさんに聞きに行くととんでもない事実が発覚した。


「食料の備蓄? そんなことしたら貯まりに貯まって腐らせるべ」


 そう、この村は陸の孤島。


 基本的に消費する分しか生産しないのだ。


 おまけに余った食料を他の村に売りに行くことも出来なかった。


「不作が続き飢饉ききんになったらどうするんです?」と聞くとシェーマスさんは笑って「おらの畑に限って不作になるわけねーべな」と自信満々に答えた。


 ソイルはシェーマスさんに食料の増産をお願いする。


「シェーマスさん、大至急短期間で作れる食べものを作ってくれませんか?」


「いいべ、何人分だ?」


「2000人分です」


 ソイルがとんでもない量の食料の生産をお願いするのも意味があった。


 ハーベスタ村の住人の主食はボアである。


 食べなれない穀物を食べ続ければやがて体調不良になるだろう。


 逆にウッドストックの住民の主食は穀類である。


 食べなれないボア肉ばかり食べていたら逆に体調不良になるはずだ。


 それならば、ウッドストックの住人に穀類を提供した方がいい。


 ソイルはそう考えたんだけどシェーマスは理解できない数量だと驚いていた。


「2000? そんなに村に人はいないべ? なにかの間違いだべ?」


「いや、ウッドストックの住人みんなが食べられる分の食料が欲しいんです」


「そういうことか。話は村長から聞いてるべ」


 納得してくれたみたいだ。


 むしろ、シェーマスは今まで作ったことのない大量の食料を作れることで喜んでいる。


「贅沢なんですけど出来れば葉物野菜ではなく穀物みたいな食べ応えがあるものでお願いします」


「そうさな。急ぎで欲しいなら芋でいいべか?」


「どのぐらいで出来ます?」


 芋を作るとなると記憶では4か月、早くて3か月かかる。


「そうさな……2か月ってとこかな?」


「やはり、そのぐらいは掛かりますか」


 いくらシェーマスでも一か月ぐらいで作ることは出来ないみたいだ。


「芋自体を作るのは2日もあれば出来るんだけど2000人分だからな。おらの畑じゃ一度に30人分が精々だべ」


 ソイルは耳を疑った。


 たしか芋の収穫には早くても3か月ぐらいかかると思ったんだけど、芋を作るのに2日ってさすがに早すぎるのでは?


 ソイルはシェーマスにもう一度聞きなおす。


「芋を作るのに2か月ではなく2日で出来るんです?」


「だべ。畑が広くて収穫を手伝ってくれるくれる人がいるならもっと早く作れるべ」


 シェーマスは本当に2日で芋が作れるみたいで、あくまでも2か月と言うのはシェーマスの狭い畑で作るからだそうだ。


 畑を作る土地なら防壁の中にいくらでもあるじゃないか。


 そこを畑にすれば、食料のすべてを魔獣の肉で用意しないで済む。


 手伝いはおばちゃんたちとゴーレムにお願いすればいい。


 ソイルはシェーマスにジャガイモの大量生産をお願いした。

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