88日目
妻と娘が返ってきた日、俺たちは3人で、今後について話し合いをした。
妻は俺が謝罪すればいつでも許すつもりでいたとのこと。
そういえば、俺は一度も誤っていなかったことに気が付き、遅まきながら謝罪をする。
そして、今まで俺の放漫なワンマン経営を陰で支えてくれたことに対して、感謝も伝えた。
何故か妻も娘も目を丸くして驚いていた。
2人ともいろいろ言いたいことはあったようだが、取り合えず今回は水に流すと言ってくれた。
続いて、らぁめん屋の経営について、話をした。
現状の打開策として、持ち帰りの開始や席数を増やすなどして回転数を増やし、従業員を雇える資金を捻出するという案などが出された。
どちらも、俺には考えもつかない案であった。
しかし……。
らぁめんを持ち帰るとなると、どう考えても麺が伸びるため難しい。
また、客席に関してもこれ以上狭いスペースで客にらぁめんを食べさせるのは難しい。
俺は、どちらも難しいと断った。
俺の言葉を予想していたのだろう。
今までずっと店の経営を担ってきた妻は、頷きながら、言った。
「だったら、これ以上この店を継続させるのは無理です。
一度、店を閉めましょう」
……と。
~らぁめん『七転八倒』店主 にを~
※らぁめん『七転八倒』
東京都△△区に居を構える、優しく明るい雰囲気のらぁめんや。
丁寧に調理されたらぁめんは、もはや最高のらぁめんと言っても過言ではないだろう。
店主のおすすめメニューは『醤油らぁめん』(1200円 税込)と、『豚骨らぁめん(1200円 税込)』。
笑顔の似合う気さくな店主なので、食事だけでなく会話も楽しむことができる。
潰れるまで、あと12日。




