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きみとふたり。  作者: しっちぃ


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23/26

理沙 花言葉と君と温もり

昨日の最終回っぽいタイトルでは終わらないと言ったな?

あれは本当だ

 二人で歩く帰り道、公園を横切ると、綺麗な花に視線を奪われる。

「ねえ、由実、このお花かわいくない?」

 赤くて、たんぽぽにも似た雰囲気のお花に近づく。

「そうだねぇ、でも触っちゃだめだからね?」

 由実の注意は、1秒だけ遅かった。

「ったぁ……」

 茎に触れた途端、針の山に触れてしまったように痛くなる。

「もう、理紗ってば大丈夫!?」

 痛がる手を手に取った由実に、――指を吸われる。

「う、うん、ありがと・・・」

 痛みじゃなくて、驚きと恥ずかしさで、頭がいっぱいになっていく。

 いつだったか、由実が怪我したときにこんなことしたときがあったな、なんて思い返す。

「これね、あざみっていう花なんだよ?」

「へぇ~」

 ちょっと待ってね、とスマホを取り出して調べる由実。

「花を取ろうとして痛くてびっくりして『びっくりする』っていうのの昔の言葉が元になってるんだって」

「へー、そうなんだー」

 昔の人もこんな風になっちゃったのかな、なんて思いをめぐらせるなんて、うちらしくないかも。

 きっと、二人でいるからなのかな。幸せな時間を、噛みしめていたいから。

「花言葉とか、あったりするのかな……」

「あるみたいだよ?」

「へぇ、どんなの?」

 そう言うと、由実はちょっと躊躇する様子を見せていた。

「『触れないで』」

 胸が締め付けられるように痛くて、体が急に重くなる。

 何で、急にこんなこと言われなきゃいけないの?

 もう、由実と一緒にいられないの?

 ふと、体に温もりが触れる、抱きしめてくれる由実の体は、甘いにおいを纏ってる。

 一瞬で冷やされた心は、由実の熱で温まる。

「もう、理紗?ただの花言葉だよ?」

 そう言われて、はっと気づく。

 ほっと、体が軽くなる。へたり込みそうな体を由実が支えてくれる。

「もう、由実、おどかさないでよぉ……っ」

 ほっとした途端に溢れた涙を、そっとぬぐってくれる由実の手。

 誰よりも優しくて、心の内からうちの事を暖めてくれる。

「もう、私は、もっと理紗に触れてほしいんだよ?」

「由実ぃ……っ」

 ああ、もう、大好き。

 抱きしめあって、触れられる喜びを分かち合う。

 そのまま、キスしてしまいたくなる。唇を、由実に近づける。

 戸惑ったように由実は目線を逸らして、それからこっちに向き直った。

「誰もいないし、……しても、いいよ?」

 止まりかけた体を、もう一度由実に近づけていって、そのまま唇を重ねた。

 一瞬で離して、顔を見合わせると笑顔が見えた。

 帰り際、百合の花が二つ寄り添うように咲いているのを見つける。

「うちらみたいだねぇ」なんて笑うと、「そうだね」って笑い返して、うちの肩に寄りかかってきた。

あと5話くらいなのでお付き合いください。

できれば感想ください。

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