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ヤンデレわんこの怖い一面

「どりゃああああーーっ! 食らえーー!」

 真っ先に飛び込んでいったヴァルが大振りの剣を人喰花フラウイーターへと振り下ろす。

 技巧も何もない攻撃だが、知能の低いモンスター相手ならばこれで十分だ。

 十分に重さの乗った攻撃は人喰花フラウイーターにかなりのダメージを与えていた。

「くそっ! やっぱり一撃じゃ無理か!」

 一撃必殺で倒すつもりだったらしいが、さすがに俺たちのレベルじゃまだ無理だ。

雷針雨フィルボルト!」

 そこからすかさずアリシャの攻撃魔法が降り注ぐ。

 雷系の魔法で、針のような雷が次々と人喰花フラウイーターへと突き刺さる。

 潰れたような声を上げながら人喰花フラウイーターが消滅する。

「ふふん。わたくしの手に掛かればこんなものですわ」

「ぐあーっ! オレが倒したかったのにーっ!」

 得意げに胸を張るアリシャと悔しそうに地団太を踏むヴァル。

 武器の差もあるのだろう。

 普通の剣に過ぎないヴァルの武器とは違い、アリシャの杖は一級品だ。

 魔力増幅、攻撃力増加、命中補正、防御力増加など、様々な付加属性がある。

 杖の大きさそのものは小ぶりだが、純度の高い魔石を加工して杖を創り上げ、表面には古代魔法言語が彫り込まれている。

 術者の力を最大限に引き出す最高の杖。

 アリシャの持つ『星辰の杖』は魔法使いなら誰もが欲しがる超高級品だ。

 もちろん一般に流通している杖の中では最高級品、ということであり、さらに特殊な素材で創られた伝説的な杖には及ばないが、基本性能だけなら他の杖よりも群を抜いて強力な代物だ。

 これもアリシャが実家から持ってきたものらしい。

 新米魔法使いには明らかに過ぎた代物だが、アリシャの実力はその杖を使いこなすのに相応しいと言えなくもないのが複雑なところだ。

 俺だって魔法使いとして一度は使ってみたい代物だし。

 ……ちょ、ちょっとだけだぞ。

 ちょっと羨ましいって思ってるだけだぞ。

「あ、次が現れました!」

「よし。じゃんじゃん倒すぞ!」

「はいっ!」

 二人ばかりに活躍させてはいられない。

 俺だってどんどん倒して強くなるんだ。

 合計で十体現れた人喰花フラウイーターを俺たちは次々と倒していった。

 これぐらいなら二十体現れたところで問題はない。

「えへへへ~。この『エルザリーゼの毒』を塗り込んだ小太刀の攻撃、試させてもらいます~。一応はドラゴンすらも戦闘不能に追い込める毒なのでぇ、人喰花フラウイーター程度じゃひとたまりもないと思いますけど~」

 えへへへへ……と妖しく笑うリオ。

「………………」

「………………」

「………………」

 怖いよ。

 心の底から楽しそうに……いや、愉しそうにしているのが恐ろしいよ。

 あれがリオの本質だとすれば、やっぱり彼女はヤンデレ属性だ。

 普段の気弱なわんこは擬態……ではないのだろうが、あくまでも一面にすぎないということだろう。

 これが本質だとは思いたくないが、少なくともこういう一面があるということは肝に銘じておいた方がいいのかもしれない。

「……さすがは毒の家系ですわね。根本的な部分が致命的に歪まされていますわ」

 ……それは否定しないけどね。

 普段が可愛いから余計に恐ろしいよなぁ。

「うぅ……オレはそんなことも知らずにリオちゃんをわんこ扱いし続けてきたのか。いつか毒殺されるかも……ぶるぶる」

 そりゃ自業自得だ。

 せいぜい殺されないように今後は行いを改めろ。


 恐ろしさ極まるわんこ……ではなくリオと、俺たちは襲いかかる人喰花フラウイーターを全て倒した。

 あれからまた湧き出てきて合計二十体を倒したので、十分ほどかかってしまう。

「へえ、結構綺麗だよな」

 あたりに散らばった石を拾い上げる。

 これがモンスターを動かしていた命の源、魂石こんせきだ。

 モンスターはすべてこの魂石によって命を与えられている。

 人間で言う心臓の代わり、というわけだ。

 強いモンスターほど強力な魂石を持っている。

 魂石の色は様々で、これは緑色をしている。

 おそらく植物系のモンスターだからだろう。

 ちなみにこの魂石、売れば結構な金になる。

 俺たちの世界ではこの魂石がいろいろなエネルギー源にされているからだ。

 魔法兵器や都市結界の構築など、人々の生活に欠かせない資源として需要が大きいのだ。

 それだけではない。

 純粋な生命エネルギーを加工することにより、薬としての活用も最近は考えられている。

 栄養剤と称されたものが最近都市部で販売されていると聞いたことがある。

 確かに栄養はありそうだけど、大本が人喰花コレだと思うとあんまり飲みたいとは思わないな。

 でも画期的な回復薬とかで出たらやっぱり飲むかもしれない。

 元のモンスターが何だったのかは無理矢理考えないようにしながら。

「これだけでも結構な金になるしな~。へへへ」

 ヴァルも嬉しそうに拾う。

 次に買う武器のことでも考えているのかもしれない。

「……これ、売るよりも魔法具として加工する方が面白そうですわね」

 ……おおう。

 研究熱心なお嬢様のやばそうな発言キタ。

 確かに研究素材としては面白そうだけど……

 でも俺は強くなりたいのが一番であって、机にかじり付いている余裕はあんまりないんだよなぁ。

 何か面白いのが出来たら教えてもらおう。

「はう~……」

 そして我らがヤンデレわんこリオちゃんはしょんぼりしながら魂石を拾い集めていた。

 俺たちがどん引きしているのに気づいて傷ついたらしい。

 ……いや、どちらかというと心に傷を負ったのはこっちのような気がするんだけどな。

 でも落ち込んでいるわんこ……ではなく女の子を見ているとそんな突っ込みもしづらい。

ヤンデレわんこちゃん、またまた怖い一面を発揮!

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