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三人目のヒロインは女帝の卵?

ツンデレヒロイン登場……

 次の授業は魔法だった。

 あらゆる魔法を教えてもらえる授業で、生徒の数も剣術に負けないぐらい多い。

 魔力を持つ生徒ならば進んで魔法を学ぼうとするので、この授業も必然的に生徒数が増えるのだ。

 広い教室には百人以上が座っている。

 これでも少ない方なのか、教室の机にはまだ半分ほどの余裕がある。

 流石にこの状況で一番後ろの座るのは逆に目立つので、真ん中よりも少し後ろ、なるべく人の少ない場所を選んで座った。

 反対の壁際にはもう一人、金髪碧眼の美少女が座っている。

 一人だけオーラが違う。

 近寄り難い雰囲気を持った、キツそうなお嬢様だ。

 凛とした姿勢はとても綺麗なのだが、誰も寄せ付けない、気安く話しかけるなという無言の圧力を感じる。

 どこかの貴族様なのだろうが、あからさま過ぎるお嬢様オーラには少しばかり辟易する。

 周りの生徒も何となく彼女に注目しているようなのだが、やはり近寄り難いのか、声をかける人は誰もいない。

 一人きりで窓際に座っている姿はとても姿勢が良く誇り高いものに見えるのだが、孤高を愛するちょっとイタい系の女の子にも見えてしまうのが玉に瑕だった。

 そんな彼女をじっと見つめるのは興味からだ。

 どんな素性なのだろうと思う。

「………………」

「げ」

 しかし俺の視線に気づいたのだろう。

 彼女は俺と目が合うと、キッと睨みつけてきた。

「うわ」

 その鋭い翡翠色に気圧されて思わず視線を逸らしてしまう。

 それぐらいキツい視線だったのだ。

 まるで見られていることが汚らわしいとでも言いたげな、拒絶の意志を全面に出している視線だった。

 性格もかなりキツそうだ。

 リオとは正反対なんだろうな、とも思う。

 先ほど友達になったばかりのリオは小動物みたいな愛らしさがある。

 おどおどしているのを見ると思わず頭を撫でたくなるような、そんな気持ちにさせられる。

 それはそれでペット扱いしているみたいで罪悪感があるのだが、しかしそこに親愛の情があることは間違いないのだ。

 そんな性格のリオを好ましいと思うし、今後もあの愛らしさを失わないでいてほしいと思う。

 しかしあの金髪少女は美少女ではあっても愛らしいという表現とは無縁だな。

 リオが小動物なら彼女は女帝、という感じだ。

 もちろん今はまだ女帝の卵という感じだが、将来的にはそう呼ぶに相応しい貫禄を身につけるだろう。

 恐ろしい女に育ちそうだ、と考えると少しばかり身震いする。

 正直なところあまり関わりたくない。

 なるべく関わりにならないよう、彼女のことは避けるようにしよう。


 そうして魔法の授業が行われる。

 魔法の先生は気難しそうな痩せぎすのシルルトという名前の中年男性だ。

 ボードに色々と書き込みながら、基本的なことを教えてくれる。

 俺はある程度魔法についての勉強もしているから、このあたりは今更だ。

 ちらりと視線を移すと、金髪の少女もやや退屈そうにそれを聞いていた。

 貴族っぽいし、このあたりは事前に学習しているのだろう。

 専任の家庭教師とかついていそうだ。

 俺は家庭教師じゃなくて書物を取り寄せての独学だけど。

 ローゼは家庭教師をつけてもいいと言っていたけれど、家庭教師だって安くはないのだ。

 特に貴族が抱える家庭教師の報酬はとても高い。

 シルヴィス家の血筋でもない俺のためにそんな出費をさせるのは気が引けたのだ。

 ローゼは俺のそんな遠慮も見抜いていたけれど、俺自身の意地を尊重してくれたようで、好きにしろと言ってくれた。

 どうしても分からないところがあると、ローゼが教えてくれた。

 ローゼは回復魔法と基本魔法が使える程度だが、知識そのものはとても深い。

 ローゼがあまり魔法を使わないのは、自分は剣士だという意識が強いからだろう。

 一芸特化型の矜持なのかもしれない。

 回復魔法だけは自分の身を守る為に必要なのでかなり使えるのだが、基本魔法はとりあえず覚えたのだと言っていた。

 物理無効属性を持つモンスターであっても、エクシードを使いこなせれば問題はないし。


 とまあそんな感じで最初の方は割と退屈な時間になると覚悟していた。

「君たちはまだ魔法使いではなく魔法使いの卵だ。それぞれに向いている属性があるだろうし、全ての属性を満遍なく使えるという万能型もいるかもしれない。自分が何を得意としているのか、何が向いているのか、そこを見極めることから始めなければならない」

 シルルト先生が神経質そうな声で説明してくれる。

 魔法に向き不向きがあるのは事実だ。

 たとえば俺の場合は炎の魔法を得意としている。

 その代わり水系魔法は少し苦手だ。

 地・水・火・風・空の属性のうち、基本魔法だけなら全ての属性を扱える。

 水属性は初歩、火属性は上位、その他の属性は中程度ぐらいの習熟度だ。

「得意な属性を伸ばすのはもちろん大事だが、それ以上に大事なのは得意な属性に頼り切りにならないことだ。たとえ苦手であっても全ての属性を最低限使いこなせるようになる努力を怠ってはいけない」

 それはその通りだと思う。

 俺も炎の属性に頼りきりになるつもりはないし、それはとても危険なことだとローゼに教わった。

 もしもその属性が全く通じない相手が現れた途端に無力になってしまうからだ。

 戦いにはあらゆる不確定要素が存在する。

 あらゆる事態を想定して戦いに望むのが戦士の理想型だ。

 だからこそ出来ることを増やさなければならない。

 それは選択肢を増やすということなのだから。

 ローゼはそう教えてくれた。

 一芸特化型のローゼが言うと説得力に欠けると最初は思ったけれど、しかしあそこまで特化するとあらゆる事態に対処できるようになるのだ。

 物理無効も魔法無効も関係ない。

 あの剣の冴えは全てを破壊する。

 特化にこだわるなら全てを破壊できるほどに極めるしかない。

 俺は万能型を選んだ。

 選択肢を増やして手数で攻める方が性に合っていると思ったからだ。

「君たちは魔法使いの卵だ。だから真の意味で魔法使いを目指すのなら、ありとあらゆる魔法を使えるようになるべきだ。『魔法』を『使いこなす』のが『魔法使い』なのだから」

 シルルト先生はそう締めくくって、俺たちを訓練場へと移動させた。

わんこの次はツンデレか。

まだデレてないけど(..;)

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