エピローグ+【大切なお知らせ】
これはエピローグを『ほんのちょっぴり先行公開したもの』です。
あとがきに【大切なお知らせ】があるので、どうか最後まで目を通していただけますよう、お願いいたします(悪いお知らせじゃないです! むしろお得なお知らせです!)。
ボイドとリゼの死闘から、六時間あまりが流れ、深夜零時。
帝国北方にある森の果て、巨大なピネール滝の正面に、五つの人影があった。
「……尾行は?」
皇帝の短い問いに対し、
「ありません」
皇護騎士のリーダー、断剣のロディが、素早く簡潔に答える。
「よし」
皇帝は小さく頷き、そのまま滝の裏へ――薄暗い洞窟へ入った。
ひんやりと湿った空気を肺に含みながら、人間一人がギリギリ通れる細道を進むと、ぽっかりと開けた空間に出た。
壁面に埋め込まれた魔水晶の光で最低限の明るさは確保され、部屋の中央部に黒い長机と白い椅子が置かれている。
そこは『裏殿』と呼ばれる秘所。
皇帝が他国の使節と極秘会談を行う際、重用している場だ。
「……ふぅ……」
ルインが息を吐きながら、椅子にどっかりと腰を下ろすと、その後ろに皇護騎士の四人が控える。
(さて、どうするか……)
目下の悩みについて、虚の統治者ボイドについて思考を巡らせる。
(あの男は『王の器』。いずれ俺と同じ、『国家』という大舞台に上がってくるだろう……)
皇帝はボイドのことを極めて高く評価していた。
(だがしかし、今はちんけな新興組織、虚を率いる『お山の大将』に過ぎん! 奴がさらなる飛躍を遂げ、手の届かぬ存在となる前に……帝国・皇国・霊国からなる『三国連合』で叩き潰す!)
ルインが強く拳を握り締めたそのとき、裏殿の両端に描かれた二つの魔法陣が、ほとんど同じタイミングで起動する。
(……来たか)
空間支配系で最上位の一般魔法<転移>が起動し、数人の護衛を連れた赤い着物の老爺と白い法服の老婆が――皇国と霊国の使節団が現れた。
「よくぞ参られた、さぁこちらへ座ってくれ」
皇帝が立ち上がり、もてなしの言葉を掛けると、
「お招きくださり、ありがとうございます」
「お呼び立ていただき、光栄に存じます」
皇国と霊国の特使は頭を下げ、椅子に腰を下ろした。
帝国・皇国・霊国の要人が一堂に会すこの場に、『四大国』の中で唯一、王国だけが招かれていない。
皇帝ルインは、現国王バルタザールこそ高く評価しているものの……。
その子々孫々は――特に傲岸な第一王女と尊大な第二王子は、『喋るゴミ』と腐している。
早い話が、王国は『沈み行く泥船』と見限ったのだ。
「うぅむ……何やら獣臭いと思えば、霊国の猿がいたのか」
「不浄な気に満ちているかと思えば、皇国の蛮族がいらっしゃったのですね」
皇国と霊国の特使は、顔を合わせるや否や、すぐに互いのことをけなし合う。
両国は折り合いが悪く、まさに犬猿の仲だった。
そこで登場するのが、話術に長けたルインだ。
「まぁ待て。この場は、私の顔を立ててくれないか?」
「……失礼しました」
「申し訳ございません」
彼が緩衝材&潤滑油の役割を果たすことで、三国会議はかろうじて成り立っている。
『皇帝』としてはもちろん、『中間管理職』としても有用な男だ。
(皇国と霊国、知恵の足りん馬鹿どもではあるが……。世界に覇を唱える『超軍事大国』だ。馬鹿とハサミはなんとやら。こいつらを上手く使い、虚ごとボイドを叩き潰してくれる!)
世界最高峰の頭脳×超軍事大国との繋がり、これが皇帝の武力であり、『奥の手』だった。
「まずは感謝しよう。突然の呼び掛けにもかかわらず、よく応じてくれたな」
「火急の要件と伺いました」
「何か問題でもありましたか?」
その言葉を受け、皇帝は重々しく頷く。
「此度集まってもらったのは他でもない。『虚』という闇の組織について――」
ルインが本題を切り出したそのとき、特使たちが同時に「待った」を掛ける。
「……何者だ?」
「……どなたでしょう?」
その直後、カツカツカツと革靴が床を叩く音が響いた。
暗がりの奥から現れたのは、
「――申し訳ない、少し遅れてしまった」
漆黒のローブを纏う、仮面を被った謎の男。
背後には、青髪の美少女が付き従っている。
「「「……!?」」」
皇護騎士の四人と使節団の護衛たちが、迅速に警戒態勢を取る中、
「ボイ、ド……っ(あり得ん、何故ここを――裏殿の場所を知っている!?)」
皇帝は驚愕に瞳を揺らし、
「……厄災ゼノの転生体……っ」
「……虚空因子の継承者……ッ」
皇国と霊国の特使は、強い憎悪の念を放った。
一方、
「私の組織について、なんのお話かな?」
涼しげな顔をしたボイドは、優雅な所作で椅子に腰掛け、穏やかな口ぶりで問い掛ける。
「陛下、どういうことですか……?」
「何故あの男が、会談の場に……?」
特使二人の鋭い視線を受け、
「こ、これは、その……っ」
皇帝が口籠っていると、ボイドが『助け舟』を出した。
「実は先日、我が友ルインより、お誘いを受けましてね。『帝国・皇国・霊国による三国会議を開くので、是非虚も出席しないか』、と」
「……はっ……?(こいつ、何をふざけたことを……!?)」
※ここまでがエピローグをほんのちょっぴり先行公開したものです。
あとがき↓↓↓に【大切なお知らせ】があるので、どうか最後まで見ていただけると嬉しいです。
【※読者の皆様へ、大切なお知らせ】
実は本作――カクヨムで『+1話の先行掲載』をしております!
どういうことか言うと、小説家になろう連載分よりも、カクヨムの方が1話先に進んでいる=今読んだエピローグの続きが読めるということです! なんかお得な気分っ!
そしてここで、皆様に大切なお願いがあります。
もしカクヨムのアカウントを持っている方がおられましたら、下↓↓↓のリンクをタップorクリックして、カクヨム版の連載ページに飛び、
・本作をフォロー
・『☆で称える』の+ボタンを3回押す
この二つを行い、カクヨム版の本作を応援していただけないでしょうか?
作者は本気でこの作品を執筆しており、一人でも多くの人にホロウの物語を読んで欲しいと思っております。
そのためにも皆様、どうかご協力よろしくお願いいたします!
↓この下にカクヨム版へ移動するリンクがあります↓




