ALMへ
結果だけを言うと湧哉はALMの一員となった。阿良田はしぶしぶだったが了承したのだ。
『今回は特例として認めましょう』
『そうか。ありがとう阿良田』
『勘違いしないでください。ALMのことを開示した特例に基づいての特例です』
何度思い返しても阿良田の言葉は奥崎が使った屁理屈と同じようなものだったが、これでよかったのだろう。阿良田の悩みであるALMの存続問題は一応解決された。
そして次の目的は奥崎を拘束する教頭の口を塞ぐことだった。それができれば古野濱の盗撮の件も解決できる。そんなわけで4人(古野濱は黙っていたので実質三人だったが……)は話し合いを行った。しかし、めぼしい場所は既に探し終えており、なかなか前進はしなかったのだがある疑問が浮かんだ。
『その、盗撮されたのって、古野濱先輩だけなんですかね?』
『それは私たちにはわからないな。いたとしても探る手段はないぞ』
『でも、もしいれば突破口になるかもしれないじゃないですか』
『それはそうだが……。うーん、教頭とよく会っているかくらいの探りは入れられるか……? とりあえずやってみるか。それから文化祭の準備期間だ。校舎を歩き回るようならところどころチェックしてほしい。何かあるかもしれない』
自分で提案したことではあったが湧哉自身交友関係が広いわけではない。クラス外へ出てしまえばほとんどしゃべる相手もいない。となれば情報収集はクラスメイトに限られた。幸い、部活に所属している者も多いので全体的な話は聞けるかもしれない。
そして今日のところはそのまま解散となった。教室に戻る途中、言われた通り様々たところを見てはみたが、そう簡単に見つかるわけもなく到着してしまった。
教室では屋台係が制作を続けていた。だが、調理係の姿が見当たらないので、残っているクラスメイトに声を掛けた。
「なあ、半分いないけどどこ行ったんだ?」
「調理班は学食に行ったよ。澤さんたちが戻ってきたから試作作りに行ったみたい」
「戻ってきたのか。サンキューな」
どうやら調理係はまとめて食堂に移動したらしい。
(門紅のやつ、連絡くれてもよかったんじゃないか……? そうすりゃわざわざ階段上らなくて済んだのに……)
改めてスマートフォンを確認するが通知は何も来ていない。既に役割分担が済み、各自に作業が割り当てられたここにいてもできることはないだろう。試食したいという気持ちもあるがとりあえず学食に向かうことにした。
湧哉は先ほど登ってきた階段まで戻ってきたが、他の階段も調べてみようと東側の階段に周った。階段には何か隠すようなスペースはないが、高低差があるので隠し撮りするなら絶好の場所と言える。
一段一段階段を降りながら注意深く見てみる。折り返しの踊り場まで来たが、やはり何も怪しいものはない。
「やっぱりないかぁ」
踊り場の柵に腕を置きため息をついた。そんな簡単に見つかるならば自分はあれほどの苦労をしていないわけなのだが。
そこから吹き抜けの広場を見上げた。すると、怪しいものではないが目につくものがあった。




