活動目的
「秘密組織? エーエルエム?」
「ALMは頭文字だ。正式にはANTI LOCAL MANNERだ」
「あんち? ローカル、マナー?」
聞きなれない単語に湧哉は疑問顔だ。そんな湧哉に阿良田が名称を教えたのだが、それでも理解が及ばない。
「ローカルは地方だとして、マナーってことは作法ですよね。それのアンチってことは……対地方作法? 意味が分からないんですけど」
「その呼び方が正しいというわけじゃないがな」
「俺がここに入った時は先輩からそういう説明を受けましたが」
「間違いではないさ。だが、呼び名の中の一つかもしれないという説明も受けてるはずだ」
「……」
奥崎と阿良田の間に一揆触発の雰囲気が漂う。座ったままの古野濱も二人の様子を恐る恐る窺っているが、発言しても言い負けることが怖いのか声を上げようとはしなかった。二人はそのままにらみ合いを続けていたが、奥崎が先に目を閉じた。小さく息を吐くと今度は畑原を見つめながら話を続けた。
「これ以上はよそう。畑原が混乱する」
阿良田もそれを了解したようで腕を組むと壁に寄り掛かりながら様子を見守った。
「それでだ。秘密組織と言ったのは文字通り秘密だからだ。この集まりは学校に認められているものじゃない」
「それは先生たちが勝手にやってるってことですか?」
「そういうことになるな」
「いったい何の目的でこんなことをやってるっていうんですか」
「今、阿良田の言った『ANTI LOCAL MANNER』と言うのは活動内容としては間違っていない。主には個人のルールや行いを正すことが私たちの目的だ。ここで言う『LOCAL MANNER』は『個人的なルール』。つまりは周りを顧みずに自分のためだけに行われる行為、またはそれに類似する行動をする者に対して私たちは対処してきたんだ」
「それじゃあ俺がかかわってきたことは教頭に対しての事だったってわけですよね? それは古野濱先輩と阿良田先輩も承知の上でだったと」
「ああ。だが、この活動はALMのメンバーだけで行うことだといって阿良田は反対したんだ。私のやり方も気に入らなかったらしい。私の行いこそが横暴だとな。実際その通りだったから仕方がないが……」
「当然です。正す側が正しくなければ意味がない」
「そうだな」
阿良田と奥崎の仲が悪いというのはこういうことだったらしい。方針の違いからできた溝はまだ修復できていたないようだ。奥崎は非を認めているが、阿良田がそれを許さない。これではひとまとまりの組織とは言えない。そして、このことが奥崎が湧哉を巻き込む要因となってしまったわけだ。




