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文化祭準備へ

 一時間という限られた時間の中で湧哉は15件電話をすることができた。昨日より多少は効率よく連絡することができたようだ。悠と奥崎も昨日よりは成果を上げたようで3人そろって調子が良いようだ。

 しかし時間いっぱい電話をしていたため記念館を出るのが予定よりも少し遅れてしまった。

「ちょっと遅くなっちゃったね」

「別に時間決まってるわけじゃないから大丈夫だろ?」

「それでもみんなより遅れていくのは良くないよ」

「その通りだ」

 階段を降りながら話をする二人の後から奥崎も一言。

「時間には正確に動くことだ。時間を守れないやつは信用されないぞ」

「別に遅れて行ってもいいとは一言も言ってないんですけど……」

 集合時刻が決まっているわけでもなく、目安の時間までぎりぎりというわけでもなかったのでそんなに急ぐ必要はないだろうと思っての発言だったが。悠と奥崎には遅れても問題ないだろという無責任な発言に聞こえたんだろうか?

 湧哉と悠の二人が先に外へ出ると奥崎は扉を閉め、施錠をした。

「奥崎先生、また夕方からやりたいんですけどご都合どうですか?」

「担任もないから業務が終われば来れるだろう」

「それじゃあお願いします!」

「もし何かあったら畑原に連絡しよう」

「え、俺ですか……?」

「お前の連絡先ならなら知っているからな」

「まあ、いいですけど……」

 チラッと悠を見るとやはりおかしな顔をしていた。昨日誤解は解いたはずだが……。

 ここで奥崎に自分の連絡先を教える、ないしは連絡先を聞けばいいのだろうがそういった素振りを悠は全く見せない。恋愛に対して悠は積極性が足りないのだ。そのくせ湧哉には強く出てくるのだから湧哉も堪ったのもではないだろう。

「そう言えば古野濱先輩の方はどうだったんすか?」

 今日はすぐに連絡に入ったので古野濱のことはまだ聞いていなかった。

「メールを入れたら今日は学校には来ると言っていた。これから学食で会うことになってる」

「そうですか」

 古野濱が加わってくれればありがたいが、これは奥崎に任せるのが適任だ。あって数日の湧哉よりも奥崎の方が彼女のことを理解しているはずだ。

「ハタハタ、そろそろ行こうか」

「そうだな。昼飯も食いたいし」

 湧哉と悠は自転車にまたがり、奥崎は車に乗り込んだ。奥崎はそのまま車を発進させ行ってしまった。二人はそのあとを追う形で走り始めた。


 学校までは予定通り15分で到着した。

「とりあえず購買行くか」

「今日はお弁当内から僕も購買で何か買おうよ」

 校舎内に入り吹き抜けの中央広間に出た。やはり生徒の数は平日に比べ少ないように見える。購買まで足を運ぶがそこにいるのはレジのおばちゃんだけだった。

 湧哉はサンドウィッチを、悠はおにぎりを買うとそのまま教室へ向かった。

 教室内にはまだ数人しかおらず、まだ作業は行われていないようだ。

「畑原君、門紅君、おはよう」

「おー、澤。おはよ」

「おはよー澤さん」

 澤が二人に気付くと声を掛けてきた。クラス委員であり実行委員である澤は誰よりも早く来ていたのだろう。机の上にはメモの取られたノートが置かれている。

「まだこれだけしか集まってないんだな」

 湧哉はクラスを見渡しながら人数を数えた。

「今いるのは7人かな。あ、でも2人が来たから9人だね。もう少し集まったら始めるからしばらくゆっくりしてて」

「ああ、その間に昼飯食べることにするわ」

「うん、そうしてて」

 湧哉は自分の席について買ってきた物を頬張った。悠は空いていた結の席に腰かけおにぎりを袋から取り出した。

 さあ、これからもう一仕事だ。今日は休む暇がないかもしれない。

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