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門邸

「畑原様、畑原様」

 名を呼ばれて湧哉は目を覚ました。どうやら車に揺られているうちに眠ってしまったらしい。

「畑原様、到着いたしました」

「ふぁぁぁ」

 大きなあくびをしながら体を起こすと背広を着た初老の男が運転席から体をひねってこちら向いていた。

「すいません。俺寝ちゃってたんですね」

「いえいえ大丈夫ですよ。今夜は徹夜だと坊ちゃんも言っておりましたから。少しだけでも寝ておいた方がよいでしょう」

「ハハハ……ありがとうございます藤間ふじまさん」

 この藤間という男は悠の家の者だ。湧哉は奥崎に寮まで送ってもらった後、支度を済ませると悠に連絡を入れた。すると悠はこの藤間を迎えによこしたというわけだ。

 湧哉は車から降りるとトランクから荷物を取り出すために車の後ろに回った。

「お荷物は私が運びますので大丈夫ですよ」

「いや、それくらい自分で―――」

「お客様ですから。それに、これが私の仕事です」

「それじゃあ、お願いします」

「お任せください」

 藤間の申し出を受け荷物を任せた湧哉は辺りを見渡した。

「しっかし、広いよなぁ」

 湧哉が感嘆するのもの無理はない。敷地の入口から車のあるところまででも100mはあるだろうか。そして敷地内には和製屋敷が数軒建っている。3軒は視界に入るがその他は手前にある屋敷の陰になってほとんど見えない。敷地全体だとどれほどの広さになるのだろうか。

「畑原様、中へ入りましょう」

 荷物を持った藤間が玄関前で待っていた。

「あ、今行きます」

 湧哉は返事をすると悠の待つ屋敷へと上がった。

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