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ラジエルライブラリの司書見習い  作者: 日野 祐希@既刊9冊発売中
終幕 ラジエルライブラリの司書見習い
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終幕 ラジエルライブラリの司書見習い

 葵ちゃん達へのレファレンスが終わって数日。四月も間近に迫り、外では桜も咲き始めた今日この頃。

 ラジエルライブラリ第32番閲覧室ではいつもと同じように、立川さんとエノク君、そしてわたしがお仕事に励んでいた。


「これで……よし! エノクくん、この間のレファレンスの報告書、できたよ」


「ん? もうできたのか。報告書をまとめるのもずいぶん早くなったな。感心、感心。――では、早速読ませてもらおうか」


「了~解。それじゃあ、はい! 確認よろしく!」


 書き立ての報告書をエノク君に手渡す。

 すると、ちょうど同じタイミングで、紅茶とお茶()けをお(ぼん)にのせて立川さんが戻ってきた。


「お待たせしました。館長、詩織さん、お茶の用意ができましたよ」


「おっ! ナイスタイミングだ、立川。――よし! それならお茶をいただきながら、この報告書を使ってミーティングでもするとしよう」


「わかりました。では、すぐに並べてしまいますね」


「あ、立川さん、わたしも手伝います」


 立川さんからお茶請けのクッキーがのった大皿を受け取り、テーブルの真ん中に置く。その間に、立川さんは丁寧かつ素早い手つきで紅茶をサーブしていった。

 紅茶とお茶請けも並べ終わり、三人でテーブルを囲んでミーティングを開始! ……しようとした、その瞬間だ――。


 

 ――コンコンッ!



 不意にドアをノックする音が、閲覧室内に響いた。音がした方向は――入り口の方のドアだね。ということは……。


「あれ? もしかして利用者さんが来たのかな?」


「ええ、そのようですね。では館長、ミーティングはまたの機会ということで」


「うむ、そうだな。――さあ二人とも、利用者に失礼がないよう、気を引き締めろよ」


 閲覧室内の空気を切り替えるように、エノク君がパンパンと手を打つ。

 そのままエノク君は、館長然とした態度でわたしを振り返った。


「見習い、今回もしっかり励めよ。失敗を恐れず、立川とともにベストを尽くせ!」


「任せてよ、エノク君!」


 勢いよく立ち上がりながら、『待ってました!』と言わんばかりの口調でエノク君に応える。


「よし、良い返事だ! では、行って来い!」


「了解!」


 エノク君に送り出され、わたしは利用者さんを出迎えるためにドアの前へと駆け出す。

 ゆっくりと扉を開き、わたしは立川さん直伝(じきでん)の親しみを込めた笑顔で利用者をお迎えした。


「ようこそ、ラジエルライブラリへ!」



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