合魔物3 森への準備
その後大きなトラブルも無く無事に魔都へ到着。
あのプレイヤーが言っていたことは少し気になるが成るようにしか成らないと割り切って行こう。
魔都に着いたらまずお約束の勇士像への登録、これで森の中で何かあってもここで復活できる。
クエストの前に魔都の見学などもしたいがログアウトの時間になったので終了する。
明日ログインするまでに色々調べておくか。
翌日ログインするとすでにアンズは居たので合流クエストの前に魔都を回ろうと思う。
魔都の特徴は森の中の町と言った感じだ。
巨木の虚の中に店が在ったり木の上に建ってたりと立体的で見ているだけでも面白い。
そんな町の中を見て回りながらスキル屋を目指す。
魔都の森の特徴は特殊な攻撃をする魔物が多いと言ったところだろうか。
戦都の魔物の場合はとにかく攻撃力、防御力、HPが高いなど、所謂単純に強い魔物が多いのだが、魔都の森の方は昨日の傘犬のように音もなく不意打ちをするなど全体的なステータスでは戦都の魔物に劣るものの厄介な攻撃パターンを持っているのが多い。
なので少なくとも不意打ち対策をしておきたいところだ。
不意打ち対策と言えばトイスが持っている「敵意感知」だろうか。
あれはレーダーのようにウィンドウが開き敵の居場所を感知するタイプで感知系のスキルの中では一番扱いやすい汎用型扱いになっている。
欠点と言えば対策するスキルが有ることと戦闘中には使いづらいところだろう。
トイスのように弓矢での遠距離ならともかく近接戦闘をする自分の場合は他のスキルを使った方が得かもしれないな。
他の感知型は視覚や聴覚などを強化するものが多い、こちらの場合なら戦闘中でも使えるものがあるので今回はこちらから選ぶことにする。
まずは聴覚系からの紹介。
・兎の耳
聴覚系のなかではオーソドックスなタイプで周囲のお音が聞こえやすくなるというもの。
レベルが上がればその範囲も広がり使いやすいの評価。
ただし今回に関していえば傘犬の無音の攻撃には対応は出来そうには無い。
・蝙蝠の耳
超音波を発してその反射音で空間を立体的に捉えるというコウモリの性質をスキルにしたものだ。
これなら傘犬のようなタイプにも対応は出来るが音波を発するため敵に感知されやすいというデメリットがある。
ただアクティブスキルに属しているので常に警戒出来ているわけではないのも欠点かな。
次は視覚系から。
・鷹の眼
名前からして効果が分かるスキル。
遠隔視のスキルで遠くのものが見えるようになるスキルで、弓士や銃砲士などが使った場合命中率が上がるので人気のあるスキルだ。
・馬の眼
こちらは視野が広がるスキルだ。
通常、人間の視野は左右で180度ほどだがこのスキルを使うと最大で270度まで広がるのだとか。
ただ普段との違いがあるために使い始めでは混乱するようだな。
・蛇の眼
所謂、熱源探知が出来るようになるスキル。
隠れていたり透明化(森には透明になる魔物もいる)する魔物に対して有効。
他のスキルと違って広い範囲での感知が出来るようになる訳では無いのが欠点か。
魔都のスキル屋で売っている感知系のスキルはこんなところか。
何故か動物の名前縛りになっているように見えるが実際その通りなのだろう。
因みに嗅覚系のスキルは魔都では売っていない。
「さてどれにするかな」
「そうですね。色々あって迷いますね」
どのスキル一長一短なところがある。
まず兎の耳だが傘犬のような無音の相手には使えないので却下。
鷹の眼は使いやすそうだが不意打ち対策ってわけでも無さそうだよな。
「私これにしますね」
そういってアンズが選んだスキルは蛇の眼だった。
「・・・それでいいのか?」
「はい、かわいい蛇のスキルが手に入るなんて嬉しいです」
そういえばリンドウからアンズはカエルやヘビといった両生類・爬虫類系の動物が好きなんだとか聞いたことがある。
基本的にアンズを可愛がっているリンドウですらその趣味だけは嫌だと愚痴られたことがある。
「ふっふー蛇の眼です。あれ?ケロピーちゃんなんでそんなに怖がっているんですか」
蛇に睨まれた蛙か?
いや、蛇の眼のスキルにそんな効果は無かったはずなんだが・・・。
「アンズは蛇の眼か。じゃあ俺はこいつだな」
選んだのは蝙蝠の耳。
本来なら馬の眼が一番ベターな選択なんだろうけどこいつを選べない理由がある。
その理由とは感覚系のスキルの場合併用出来ないのだ。
弱点看破も視覚系のスキルに該当するためこのふたつを同時にスロットに入れておくことが出来なかったりする。
なので自分の場合は視覚系のスキルは選べないのだ。
もちろん弱点看破を外していけば無理ではないけどね。
そして聴覚系の場合の選択肢は兎の耳と蝙蝠の耳のふたつ。
兎の耳の場合、無音で近づいてくる傘犬には対応できないので選ぶわけにはいかない。
そうなるとほとんど消去法で選ぶ破目になったわけだ。
「とりあえず装備してみたけどどんな感じかな。感知」
スキルをスロットに入れて発動させてみる。
そうすると一瞬ではあるが半径2メートルほどの周りの様子が理解できた。
自分の真後ろからNPCが座っているカウンターの裏側や店の床の下の様子などの見えない場所まで分かる。
蝙蝠の性質は音の反射を聞き分けているので本来は真後ろや物陰に隠れた場所などは分からないと思っていたけど、そんなことはなかった。
名前に蝙蝠を使っているだけで実際は音の反射による探査じゃないのかもな。
ただこのスキルは・・・。
「・・・範囲狭いだろ」
半径2メートルってここまで接近されてたら不意打ちも何もないだろうが。
透明で接近してくる相手なら良いけど効果は一瞬だからな、正直役に立つかどうか微妙だ。
「それでも無いよりマシか。それにレベル上げていけば変わるかもしれないしな」
と言うわけで今回のスキル構成はこんな感じ。
・刀技 Lv25
・居合 Lv15
・封印成功確率上昇 Lv22
・走行 Lv20
・跳躍 Lv18
・最大MP上昇 Lv27
・蝙蝠の耳 Lv2
控え
・弱点看破 Lv18
・MP自然回復上昇 Lv20
・斬撃 Lv25
正直すごく迷った。
まず刀技は当然入れておく。
森の中と言うことでかなり足場が悪いことが予想されるので軽業的な動きをするためには走行と跳躍は外せない。
MPは確保しないといけないのでMP上昇か自然回復のどちらかを入れる。
今回は最大MP上昇にしておく。
遠距離魔法攻撃が多いようなので封印確率上昇も入れて、そして不意打ち対策の蝙蝠の耳。
最後に攻撃手段としての候補は斬撃、弱点看破、居合の3種。
斬撃は使い勝手は良いがあくまでダメージを上げるだけ。
その点、居合の場合は一撃目限定とはいえ攻撃速度を上げられるのでいざという時はこちらの方がよいかもしれない。
これでスロットが全部埋まってしまったよ。
もう少し考えればもっとベストな組み合わせが有るかもしれないけど、今はこの組み合わせにしておく。
「準備はこんなものかな。そっちはどうだ」
「はい、ケロピーちゃんも慣れてくれたみたいですので行けます」
そういって抱きかかえているケロピーちゃんを見せてくれたのだが・・・。
慣れたというより固まっているだけのように見えるのは気のせいだろうか・・・。
チーム結成1でスイのスキル「観察」を「梟の眼」に修正しました。




