チーム結成9 チーム名
三本角との戦闘が終わり一息つく、結果連戦になったからかみんな少し疲れ気味だ。
ヒナゲシも気絶状態から回復し多少ふら付いてはいるが自分の足で立てるぐらいにはなったようだ。
「・・・戦闘の役に立てなかったッス」
「それはボクもだよ。うぅ、頭がクラクラする。クラクラクランベリーだよ」
トイスとヒナゲシが少し落ち込んでいる。
まあ、トイスは戦闘より探索などにスキルのリソースを割いているしヒナゲシに関してもあの不意打ちに対応しろと言うのは無茶だよな。
・・・いや、モンド辺りなら簡単に対応しそうだが。
「とりあえず反省は後よこれで角はそろったようだし、残りのアイテムを集めながら帰りましょう」
ミニッツの言う通り三本角の討伐と同時にクエストアイテムであるパッティハイゴブリンシャーマンの角が3本も手に入った。
今までのを含めると6本、クエストクリアの5本より1本多くなってしまったようだな。
後はミナズキの葉が数枚残すのみだ。
「クエアイテムの収集の方は頼むぞ。こっちはトイス頼みなんだからな」
「よし、任されたッス!」
落ち込んだトイスを励ます意味も込めて声を掛けてみたが効果は有ったみたいだな。
そんなトイスの活躍もあって直ぐにアイテムがそろい町へと帰還することいなった。
ハイジマの町に戻りまっすぐにギルドに向かう、そこでクエスト完了報告をすればランクは3になることが出来るんだな。
「しかし助かったよ、あんなクエスト一人でクリアは無理だろ。・・・あれ?前にも似たような事を言った気がするな」
「そうね、本来ならハイゴブリンシャーマンなんてソロで行けるような相手じゃないのよね」
「確かにそうッスね、完全に助っ人頼みのクエストッスよね。あっ別にセンさんが弱いってことじゃないッスよ」
スイとトイスも同意してくれている。
それでも実際にソロは無理なクエストを発注されたわけだしな。
まさか自分だけ特別に難易度が上がってるなんて考えづらい。
「そんな答えが出ないようなことを考えても仕方がないですよ。考えるな感じろ・・・ですよ」
ヒナゲシの体育会系な言葉でこの話は終わりになった。流石モンドの後輩である。
ギルドに到着してクエストカウンターにて報告を行う。
「はい、確かにアイテムは受け取りました。こちらが報酬となります」
<セン>のランクが3になりました。
これでランクは3、チームを結成することが出来るようになったわけか。
「どうする、すぐにチームを結成したほうが良いのか?」
「いえ、まだよ。その前に決めなきゃいけないことがあるからみんなが戻ってくるのを待ちましょう」
決めなきゃいけないことか、何かあったっけな?
そうしていつも通りにギルドのテーブルを一つ借り切って雑談に興じる。
主な話題は今回のRUクエの難易度とソロでの攻略方法に付いて。まあ所謂、スイの攻略サイト編集のためのまとめって感じだな。それに新しく空いたスロットに何入れるかも考えくちゃいけない。
程なくしてチームのランクアップ素材を集めに行っていたメンバーが帰還してきた。
これでチームに参加してくれるメンバー総勢11名がそろったことになる。結構な大人数になったな。
「それじゃあ会議を始めましょう。今回決めるのは、チーム名です」
スイの司会の元会議が始まる。
決めるのはチームの名前、そういえば考えてなかったな。
「それでセンくん。あなたがリーダーだから名前を付けることが出来るんだけど、何か考えてある?」
「いや、今言われるまで思いもしてなかったな。何にも考えてないや」
「そう、それならみんなで候補を出し合って決めるってやり方でいいかしらね」
「それでいいよ」
「それならいい名前が有るわその名も『漆黒の煉獄死神部隊』よ」
「そんな痛々しいチーム名はいやよ。それなら『HGO調査隊』にしましょうよ」
「待てスイ、調査がメインなのはお前だけだろうが。それなら『熱血一撃チーム』ってとこじゃねえか」
「それこそレトさんのことだけだよ。『ダイヤモンドガードナー』これが一番だよ」
「出来れば~かわいいアンズちゃんを前面に押し出した感じの名前で~」
「え?・・・ええー!!」
それぞれが好き勝手に意見と言う名の趣味全開の発言をしていく。
何というか・・・全員自分の我を押し過ぎだろう。
「・・・ミニッツどう思う?」
「私は『百年の剣』なんていいと思うんだけど」
ミニッツお前もか。
「冗談よ、みんな落ち着きなさい。そんな風に自分のことばかり主張してないで他の人のことも考えなさい」
ミニッツからの正論に対してみんな口ごもってしまう。
「ほらセン。あなたがリーダーなんだからちゃんと進行しなさい」
そうだな、半ば押し付けられた形であってもしっかりとリーダーをやるって決めたんだ。
しっかりしないとな。
「とりあえず個人の願望ダダ漏れの名前は排除するからな」
「「「えー」」」
俺の決定に不満があるのか軽くブーイング、だがこれは譲れない。
特に漆黒の煉獄死神部隊のリーダーなんて名乗りたくない!
「こういった名前を決めるときってセオリーみたいなのあるのか?」
「そうね、特に決まり事と言うのは無いんだけど。強いて言うなら何をチームでするかって所じゃないかしら。つまりHGOの隅々まで調べるという――」
なるほど、このチームで何をやるかね。
まだ何かを言っているスイの台詞を聞き流しながらメンバーを見回すと。
攻撃重視、防御を極める、調査マニア、中二病、親父ギャグ好き、くのいち・・・
いまいちまとまりがないんだよな。
共通することと言えば誰もかれも全力でHGOを楽しんでいるぐらいか。
このゲームは色々とやれることが有るからな。チームで何か一つの事をやるって場合はそれこそ結成前から決めて人を集めなければいけない訳で・・・。
となるとその方向での名前決めは無しだな。
「・・・と言うわけでスイの提案は却下で良いかな。同じ理由でモンドとレトもね」
「なんで!あ、調査隊じゃダメなのねそれなら調査団でも――」
ただこのやり方で決めてくと死神部隊のリーダーにされそうだよな。
一番被害の無いやり方は自分が名前を決めてみんなに納得してもらうこと。
でもいい名前が浮かばないしそれをみんな納得してくれるかってとこだよな。
「とりあえず名前を出し合って行こう。ただし趣味丸出しの名前は無しの方向で」
いまいち納得していない人もいるが気にしていたら話が進まないので一旦無視する。後で何かいい情報でも渡すか。
他のみんなも他人の趣味全開な名前になるぐらいならと普通な名前を出し合うがどれも今一つな感じで話合いが続く。
「どれもピンと来ないな」
「・・・そうッスね」
「調査兵団なんてどう?これなら納得してくれるわよね」
「スイ、それだけはやめろ!」
しかしこれだけ個性的なメンバーを表す名前になるわけだからなかなか決まらないよな。
色々な名前は出てきたけれど、どれもみんな納得出来る名前はまだ出てきていない。
ん?そうか色々か・・・。
「最後にひとつ名前を閃いた。この名前を最後の候補にして今まで出た中から決めようか」
「賛成だよ。いい加減に決めないとね」
「は~い、わかりました~」
「俺が候補に挙げる名前は『MillionColor』直訳すれば「百万の色」。
このチームは色んなやつが集まってそれぞれが色々な方法でゲームを楽しむ。
そんなチームになると思う、だからこのチーム名を押すよ」
俺が挙げた名前に頷く人、感心する人と様々・・・色々な反応があるけれど概ね好感触ぽいな。
「それじゃあ多数決を取ろうか」
そして多数決の結果。
チーム名は『MillionColor』に決定した。




