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Heroes Guild Online  作者: ムムム
新装備
60/100

新装備8 騎兵士

 MMOの質問板などで稀にされる質問で苦笑と失笑で回答される質問が存在する。


 最強の職業は何ですか?


 MMOの職業は得手不得手は有っても最強と呼ばれる様な職業と言うものは無いと言うのが通説である。

 当然の回答だ、不特定多数の人間が参加するゲームに於いて特定の職業が優遇される様な事があれば大きくバランスが崩れてしまう。

 勿論、その逆で極端に不遇になる職業も存在しないとの考えから自分は封札士選んだのだが・・・


 だがHGOにはその質問に対しての回答が存在する。


 騎兵士。


 もしHGOにおいて最強を選ぶとすれば真っ先に挙げられる職業である。

 非常に大きな弱点は在るもののその戦闘力は他の職業と一線を書いている。


 騎兵士は騎獣と呼ばれる魔物に跨がり戦うことが出来るのが特徴だ。

 そして騎兵士が最強と呼ばれる理由は人獣一体と呼ばれるスキルにある。

 人獣一体は騎乗者であるプレイヤー自身と騎獣である魔物のステータスを合わせることが出来る。

 戦闘ではDEXはプレイヤー自身のAGIは魔物のステータスが反映されVIT、INT、MINはそれぞれのが反映されるがSTRとHPはプレイヤーと魔物のそれぞれの数値がプレイヤーに上乗せされるのだ。


 それゆえHPとSTRの数値は他職の追随を許さずまたAGIに関しては騎獣に依存するためプレイヤーは成長させる必要が無く他のスキルを上げることに専念できるというわけだ。


「やばっ!」

「逃がすかよ、行けブルタス!騎獣突進ビーストチャージ


 命令と共にマルロが跨る巨大な牛こと暴走牛スタンピードブルが唸り声をあげながら突進してくる。


 回避を上げてからの接近戦というのが当初の作戦だったのだが・・・


「ブルオオオ!」


 暴走牛ことブルタスの突進を横っ飛びでかろうじて躱せたけど正直こいつは・・・


「よく躱せたな、一撃で終わると思っていたんだがな、楽しませてくれよ」


 馬上ならぬ牛上のマルロは余裕の表情で声をかけてくる。

 しかしこちらは言い返す余裕は無い。

 何せこっちは必死に躱すことに専念しなければあっさりと負けそうだからな。


解放リリース

「はっ、そんな雑魚狼出したところで何が変わるんだよ」


 確かにウルフ1匹出しても焼け石に水と言ったところかも知れないがこれでも俺の相棒なんだ、甘く見るなよ。


 突進してくる暴走牛を躱しながら打開策を考える。

 その間に何度かウルフが撥ねられたがすぐ復帰して攻撃を加えてくれている。


 一応PVPでの騎兵士の対応方法と言うのは知っている。

 尤もかなりの無理をしなければいけない方法だが成功すればほぼ確実に勝利出来るやり方だ。

そのためには足場が必要なんだが闘技場という場所柄足場に使えそうなものはないか。


「はっ!やっぱり封札士は雑魚だな逃げることしかできないのかよ。とっとと負けとけよ」

「慌てるなよ、まだ勝負は始まったばかりなんだぜ」


 余裕っぽい台詞セリフで対応してみるが打開策はまだ出てこない。

 その間もマルロは突進でこっちを追い込んでくる、走行ラン跳躍ジャンプを鍛えてなければとっくに負けてたかもな。

 ん?足場か・・・何とかなるかもしれないな。


「ちょろちょろと逃げやがって」


 逃げ回る自分に対して忍耐が切れてきたのか突進の狙いが雑になってきたな。

 これならうまくいくかもしれない。


 攻撃を躱しながら誘導していく、場所は闘技場の壁。

 ワンパターンかもしれないが現状を打開するには壁を利用するしか方法がないんだよな。


 追い込まれたフリをしながら予定の位置に移動をする。

 マルロを中央側にして自分は壁を背にする。


「はっ!追い込んでやったぜ・・・なんて言うと思ってるかてめえ。バレバレなんだよ!」


 マルロはそのまままっすぐ突進してこずに左方向に向かっていった


「そいつはここで強化暴走牛パワーアップスタンピードブルに使った手だろうが、なめてんじゃねえぞ!」


 マルロはこちらが突進と壁を使ってブルタスこと騎獣を攻撃してくると読んだようで・・・予定通り・・・・回り込んで壁を右側にしてこちらに向き直る。


再封印リシール


 こちらもそばに戻ってきたウルフを再封印して札に戻しておく。

 準備は出来た、あとはぶっつけ本番だがやってやるよ。


「いい加減にくたばりやがれ!」


 壁に沿って突進をしてくるのでこちらもそれに合わせてマルロ・・・に向かって走り始める。

 そして少し早いタイミングで左側にある壁に向かい跳んで壁を蹴り上げる。


 三角跳び。

 壁を使って通常より高く跳ぶ方法、使ってみて解ったことだが跳躍ジャンプスキルとはただ高くだけではなく三角跳びのように技術的に難しい動きを可能にするスキルなのだ。


 マルロが思いかけず自分の目の前まで跳び上がってきた俺に対して咄嗟に大盾を前に構え完全防御の体勢に入る、そのまま盾を使ってこちらを弾き飛ばそうとしているようだが。


解放リリース


 再封印していたウルフを足元に呼び出し――――。


「悪い!」

「グァ!ギャウン!」


 ウルフを踏み台にして更に跳び上がりマルロの頭上を超え空中でブルタスの背後を攻撃。


斬撃スラッシュ

「な、なんでそこに!」


 前面はマルロの大盾も有って異様に防御も高いがやはり背後は隙だらけだ、弱点看破も使い一気に大ダメージを与える、そうすると。


「ブゥモオォォォォォ!!」

「ぐあっ」


 グラスサムライソードに付与している麻痺効果が発動、ブルタスが突進状態のまま倒れこむ。

 その勢いでマルロも落馬(牛)をして騎乗状態が解かれた。


「このまま一気にやらせてもらう、斬撃スラッシュ!」


 マルロではなくブルタスに対して最大攻撃を放つ。

 麻痺状態のため無防備なブルタスはそれに対抗できるはずもなく放った一撃は深々と切り裂きブルタスを倒すことができた。


「てめえ何しやがる!」


 騎兵士や従獣士などが扱う召喚獣は倒されると一定時間召喚することができなくなる。

 つまりマルロは現在プレイヤー自身の戦闘力で戦わなくてはいけないのだが。


 騎兵士が最強なのは騎乗状態からの人獣一体スキルがあるからだ。

 その状態さえ解除してしまえば最強は最弱まで落ちる、それこそ封札士よりも弱いと評価されるほどにだ。

 なにせスキルの殆どが騎獣に依存しているし、マルロの場合だと・・・。


「・・・遅いな」

「くっ」


 AGIを強化していないのは仕方がないがこいつは装備ペナルティも発動しているな。

 重装備は防御が高いが装備するには高いSTRやVITが必要な装備も存在する。

 おそらく騎獣状態でのSTR上乗せを利用して補っていたんだろうがそれが解かれた為に動きが遅くなっている。


 こうなったら騎兵士が勝つ方法はない。


「・・・俺の負けだ、降参する」


 こうしてマルロの敗北宣言にて決着が付いた。



「負けは負けだ、前言撤回はする。闘技場でバグはなかったし封札士は雑魚じゃない」

「マルロさん・・・」


 闘技場入口でマルロが前言を撤回して負けをしっかりと認める。

 もう少しこじれるかと思ったけど周りのPTメンバーにも慕われているようだし意外と悪いやつじゃなかったのかもな。


「やあ、センおつかれさま」

「終わったんならさっさと戻ってきなさいよ」

「な、まさかあなたは金剛壁のモンドさんですか!」


 入口にモンドたち3人が現れるがマルロの発言に周りの人たちがざわつく。え?何?金剛壁って。


「懐かしい呼ばれ方だよ」

「モンド、なんだその金剛壁って」

「テスター時代につけられた二つ名ってやつだよ」

「まさかモンドさんのお知り合いだったとは。本当に失礼しました」


 モンドの知り合いだと分かるといままで以上に深々と頭を下げ謝罪をしてきた。

 モンドよ、お前一体何したんだ・・・。


「モンドさんと言えばニードルタイガーのFAブロック伝説が有名ですよね」

「・・・なにそれ」


 マルロと他の4人もモンドを囲み和気藹々としだした。

 勝って封札士を認めさせることはできたけどなんか最後はモンドに持ってかれたようだ。

キャラクタープロフィール

・マルロ

・騎兵士

・牛好きの騎兵士。

 元々センに喧嘩を売った理由のひとつに自分が愛用している暴走牛と同種が倒されたからというのもあったりする。

 いずれ自分にも二つ名が付けば良いなと考えておりその時の名前は「三つ角トライホーン」だなと妄想している。

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