新装備7 仕合開始
スキル屋にやって来て買い物。
購入するのはこちら。
走行、跳躍。
つまり両方買うことに決めました。
「まさか2つとも買うとはね」
「センらしいと言えばらしいよ」
幼なじみ達が何やら呆れているが気にしない。
代わりに外すスキルは「封印確率上昇」と「MP自然回復力上昇」だ。
封印確率上昇は元々外す予定だったから良いとしてMP自然回復力上昇を外した弊害としてMPコストがヤバい事になってきた。
仕方がないので暗闇と毒を付与していたロングソード完全解放して空札も廃棄しておく。
結果今封印しているのはウルフと刀の2種のみそれと空札1枚。
「早速スキルのLvを上げてくる」
「セン、ちょっと待って」
モンドに呼び止められて立ち止まる。
早いとこLvを上げに行きたいんだけど。
「AGI系のスキル上げるならただ走るより魔物の相手やPVPで回避に専念する方がいいよ」
そうかその方が速く上がるのか、兎に角某配管工のおじさんみたいに走って跳んでいるのが良いかと思っていたがそうでも無いのだろうか。
「そう言った方法でも良いけど今回の目的はPVPだからね。なるべく実戦に近い形で上げた方が良いってこと」
「確かに目的はそっちだからな、てことは魔物相手の狩りよりPVPしてたほうが良さそうだな。モンド相手してくれ」
「分かったよ」
そして俺はその言葉に後悔することになる・・・
「遅い!そんな避け方ではすぐやられるよ!」
モンドに特訓を申し出たのは間違いだったかも知れない。
こいつは生粋のゲーマーで尚且つリアルチートと呼べるぐらい身体能力が高くまた体育会系の性格をしている、つまり何を言いたいかと言うと・・・
「モンド・・・少し休ませてくれ・・・」
現在モンドによるスパルタ式特訓が行われていることになる。
スキル屋を出てフィールドでモンドとPVP特訓を開始、負けてもLvが下がったりなどのペナルティが起こらないトレーニングモードでのPVPだ。
そこまでは良かったのだが開始早々モンドによる強力な一撃を躱す事が出来ず吹き飛ばされてしまったためにスパルタ式特訓を始めてしまったのだ。
「何言ってるよ。こうして手合わせしてみて分かったけどセンはまだまだ動きにムラがある、逆に考えれば伸びしろが有るってことだよ。スキルのLv上げと同時にその辺りのスキルも上げて行こう」
そういえばモンドは子供のころからゲームに関しては妥協しない性格だった。
基本的には楽しむことを前提にしていながら何かひとつ目標を掲げたら一直線に邁進する。
HGOに関して言えば防御を極めるで今回のことに関して言えば俺をPVPに勝たせることだろう。
「分かった少し休憩するよ」
「・・・助かった」
「じゃあ俺は休憩するから続きはヒナゲシよろしく」
「はい!先輩任せて下さい」
「鬼か!」
ふたりとも体育会系のため基本ヒナゲシはモンドの言うことに従うようにしている。
Lv上げの手伝いは助かるが流石にスパルタすぎる。
一旦この場を収めるにはミニッツの助けを借りよう。
「ミニッツならさっきキアって子と買い物しに戻ったぞ」
見捨てられた!!
「ではセンさん構えて下さい」
「もうどうにでも成れだ」
モンドに続いてヒナゲシ相手にPVPを開始する。
結果トレーニングモードで上がるLvの上限であるLv10まで走行と跳躍を上げてその日は終わりを迎えた。
翌日マルロとの決戦のためにカジノへと到着。
まだカジノへ入るためのクエストはクリアしていないのでモンドの紹介で中に入る。
・・・モンド、カジノのクエストをクリアしてたんだね。
「セン、必ず勝つんだよ」
「頑張って下さい」
モンドとヒナゲシが激励の言葉を掛けてくれる。
「セン、行く前にこれを渡しておくわよ」
そういってミニッツに渡されたのはプレイヤーメイドの防具だった。
・跳兎の革鎧
def+15
分類軽装備
耐久度 100/100
サカイホッピングラビットの革で作られた装備。
跳躍行動に対して極小補正。
制作者・リキット
「昨日のうちに探しておいたわ。気休め程度かもしれないけど使ってちょうだい」
もしかして昨日のトレーニング中に居なくなったのってこれを探していたのか。
Defは今装備しているのと大差は無いけれど跳躍に対して補正が入るのは良いな。
「ありがとうミニッツ。いつも助かるよ」
「別に買い物してたらたまたま見かけたから買っただけよ、ついでよついで。それに後でちゃんとお返しは請求させてもらうわよ」
・・・前言で探してたとか言ってたとはつっこむのはヤボかな。
それにミニッツへのお返しか何を要求されるか少し怖いかも
「それじゃあ行って勝ってくるよ」
「おう、行ってこい」
3人に見送られて闘技場控え室に向かう。
ここまで期待されたら勝つしかないよな。
控え室でミニッツから渡された防具を装着する。
見た目は白を基調とした鎧で肩周りにも余計な装飾が無いので動きを阻害する感じが無いのが良い。
因みに補足として防具には3種類の分類がある。
重装備、軽装備、布装備だ。
重装備と布装備はそれぞれ長所と短所が存在するが軽装備の場合”短所が無い”と言うのが長所になる。
この装備もその例に漏れないようだ。
「これは本当に良い装備だな。ミニッツへのお礼も奮発しないといけないかな」
しばらく控え室で跳んだり刀を振るったりと動きに違和感が無いかチェックしていると担当者が控え室に入ってきて出番を伝えてきた。
それでは気合い入れていきますか。
「どうやら逃げなかったみたいだな」
闘技場に着くとすでにマルロが居てこちらを睨み付けてきた。
そしてその手には昨日は持っていなかった大型の盾があり、ただ手にしているだけで身体の半分は隠しそうだ。
「もしかしてその盾って」
「ふん、そうだ。昨日出来上がったばかりでな相手に不足はあるが今回使わせてもらうぜ」
昨日すぐに闘技場に来なかったのは新しい装備を取りに行っていたからか。
もしかして口では役者不足の様に言ってはいるけど油断無く準備してきたってことか。
これはキツイ戦いになるかもしれないな。
「意外と油断しない質なんだな」
「当たり前だ、次どんなバグ使われるか分かったもんじゃないからな」
鼻で笑い小馬鹿にしてきたよ。
キッチリ実力だってことを分からせてやるよ。
「どうやらどちらも気合い充分仕合開始はされ今かと待ち構えているようだー」
ディーラーが現れ観客を煽り始める。
だが自分もマルロもそんなこともお構いなしにお互いを闘技場の端と端に別れて睨み付ける。
「それでは仕合開始のカウントダウンだー」
闘技場の掲示板に数字が浮かび上がりカウントダウンを始める。
そして0になり。
「仕合開始だー」
先手必勝。
間合いの取れる刺突槍相手に離れて戦っても得は無い。
一気に間合いを詰めて接近戦に持ち込む。
「騎乗!」
マルロの叫びと共にマルロの足元から魔法陣の様な光が発せられた。
「なっ!?まさか!」
魔法陣から浮かび上がってきたのは巨大な牛、そして牛に跨がるマルロの姿。
もしかしてマルロは騎兵士なのか!
パソコンが壊れました。




