新装備6 作戦会議
だいぶ遅れてしまい申し訳ないなかったです。
4月からの生活環境の変化に早く慣れたいものです。
「ミニッツその格好・・・」
「なによ」
ミニッツがネコだった。
ではなくてミニッツがネコのような装備をしていた。
所謂ネコの着ぐるみ・・・とは少し違うなどちらかというとパジャマかな。
ゆったりと全身を覆うアメリカンショートヘアーを思わせる灰褐色の服、お腹から胸元までご丁寧に白くなっていて何より尻尾まであり、手には肉球まで付いていた。
そして顔の部分は露出しているものの猫耳の付いたパーカーを被っている。
間違いなくネコだ。
「・・・ずいぶん可愛い姿になったね」
「そ、そう・・・ありがとう」
「くっくっくっ、良かったじゃ無いかミニッツ思い切って受けてみて」
「今でもすごく恥ずかしいんだけどね」
「その装備一体どうした」
ミニッツはどちらかと言うとシンプルな服を好む傾向があり目立つ格好はまずしない。
なのでこんな人目を引くような装備はしないと思っていた。
「例のカグツッチーからもらったのよ」
「カグツッチーってクノイの装備を依頼した人か」
「どうも一目見てミニッツのことを気に入ったらしくてね、ぜひ作らせてほしいって半ば強引にだよ」
「本当はこんな目立つ服着たくないんだけど・・・すごく性能が良いのよ」
なるほど、これが見た目も重視する防具士の本領か。
「カグツッチーさんかぁ、うちもうわさだけは聞いたことあるな。なんでもかわいい女の子はかわいい格好をするべきだって言ってる人だっけかな」
キアの追加情報が入る、つまりミニッツはカグツッチーの御眼鏡に適ったわけか。
「可愛いですねー、この肉球の革の感じが良いです、なんとも可愛いいですねー」
「ですねー、この肉球のプニプニ感が」
ミニッツの装備は女の子二人に好評らしくミニッツを挟んで手の肉球で遊び始めた。
「私の装備のことはいいじゃない。それよりセンのことよ」
「そうだよ、センみんな揃ったみたいだし事情を説明よろしく」
俺も肉球で遊びたいけど無理っぽいな。
5人そろったので休憩室のテーブルに座るがミニッツの両脇をヒナゲシとキアでしっかり固めている。
「えっとことの始まりはこのキアだな」
「ん?」
PVPに至るまでの経緯を説明していく。
当然ことの最初になるキアのことも説明する。
「そう・・・原因はあなたなのね」
「ひっ!」
ミニッツの醸し出す迫力に怯えるキア、可愛いネコの格好をしていてもミニッツはミニッツってことか。
「落ち着いてミニッツ、その件はもう片が付いているし彼女にはやって貰いたいことがあるからね」
「そうなの?まあ貴男が良いなら良いんだけど。ところでやって貰いたいことってなに?」
「それはこいつに呪術付与してほしいんだ」
封札していたグラスサムライソードを取り出してミニッツに見せる。
「キアが作った武器でな、封札士と相性が良いんだ」
「これに付与すればいいのね、何を付与する?」
現在ミニッツが付与出来るのは暗闇、毒、麻痺、火傷、沈黙の5種類らしい
「火傷と沈黙が新しく出来るようになったやつか」
「ええ、火傷は毒よりDoTダメージが大きいけどヒール系で簡単に回復出来るのよ、沈黙は魔法系スキルの封印ね、残念だけど戦士系のスキルは封じることは出来ないわよ」
そうなると沈黙は候補から外すか、もしかして魔法も使ってくるかも知れないけど槍士の使う魔法だからそこまで警戒する必要はない。
毒と火傷のダメージは魅力的だけど今回は麻痺にしておこう。
理由としては暗闇や毒の付与の場合あの禍々しオーラが出るためグラスサムライソードの利点である見えにくさが無くなりそうだからだ。
麻痺の場合もオーラ状のものは出るのだが暗闇や毒ほど派手ではないため見えにくい利点が殺されることはなさそうだ。
「それじゃあお願いするかな。キアもお願い」
「良いわよ」
「わかりましたー」
封印を一旦解除して強化と付与をしてもらい再封印をする。
結果出来上がった武器はこれ。
・強化された麻痺グラスサムライソード(封札中)MPコスト8
atk+25
分類剣・刀
耐久度 5/5
硝子で出来た刀
強化された状態で封印されています。
封印にともない強化ブーストの効果が弱まっています。
付与麻痺エンチャントパラライズされています。
封印に伴い麻痺の効果が弱まっています。
制作者・キア
説明文カオスな感じになっているな。
「それとミニッツ」
「なに?」
「この武器に呪術付与をかけてみてくれないか」
「どういうことよ?」
ミニッツに先日のキアとのやり取りを説明する。
「付与を2重に行えるってこと」
「そういう事。強化付与だけじゃなくて呪術付与のほうはどうかと思ってね」
「まあ強化付与より使う場面が多いわけじゃないけど試してみるのはありよね」
呪術付与の使い勝手の悪さは有名だからな。だけど試してみる価値はある。
「まずは同じ付与で試してみましょうか。キア貴女も手伝いなさい」
「りょうかーい」
・強化された麻痺グラスサムライソード MPコスト8
atk+35
分類剣・刀
耐久度 5/5
硝子で出来た刀
強化された状態で封印されています。
付与麻痺エンチャントパラライズされています。
制作者・キア
「付与麻痺が通常効果になっているな」
「まあその辺りは分かっていたことよね」
強化付与が乗るんだから当然付与麻痺も乗るよな。
「本命はこっちね」
「ああ、そうだな」
俺たちのやり取りに他の3人は付いてこれている様子が無い。
付与呪術が切れたところで再度ミニッツに刀に触れてもらう。
「呪術付与暗闇」
ミニッツに別の効果の呪術を付与してもらう。その結果。
・強化された麻痺グラスサムライソード MPコスト8
atk+35
分類剣・刀
耐久度 5/5
硝子で出来た刀
強化された状態で封印されています。
付与麻痺エンチャントパラライズされています。
封印に伴い麻痺の効果が弱まっています。
制作者・キア
「残念、流石に2種類の効果を付与は出来なかったか」
「元々封札は状態の変化が無くなる効果なんだから、強化を受け付けるだけでも良かったじゃない」
「それもそうなんだよな。武器はこんな感じで良いか」
次にやることはスキルか。
「なあモンド」
「なんだ?」
「PVPにお勧めなスキルってあるか?」
ちなみに今のスキル構成はこれ。
・剣技Lv21
斬撃Lv18
最大MP上昇Lv19
MP自然回復Lv18
封印成功率上昇Lv16
弱点看破Lv14
ランク2だとスキルLvは30まで上げられるのでまだ伸びしろはあるんだけど最初の段階では封札スキルの補助を考えたスキルばかり取っているので魔物相手なら兎も角プレイヤー相手では心許ない。
「PVP向きのスキルね、いくつか有るけど明日までには無理なのばかりだし何より今使ってるスキルを素直に伸ばした方が良いんじゃないのか?」
「その意見も尤もなんだが、正直今回のPVPでは役に立たなそうなスキルがあるからな」
そのスキルとは「封印成功率上昇」だ。
槍士は剣士の飛斬撃のような遠距離スキルが無かったはず、もしかしたら有るかも知れないけど。もしの可能性を考えるより確実に使えるスキルを入れた方が良さそうだしな。
「そうだな、一番のオススメは刀技なんだがあれは戦都バルバロスにまで行かないと習得出来ないからな・・・そうなるとAGI系のスキルが良いな」
「回避か?」
「ああ、突撃槍を使う槍士相手なら回避が重要になるよ」
「突撃槍は攻撃力は高いんですよ。だから今のセンさんだと一撃をまともに喰らうとそれだけで全損しかねないですよ」
一撃でって・・・確かに防具はまだまともに整えてないからその可能性もあるだろうけど。
「それなら装備を強化したほうが良くないか?」
「いや、槍士の振るう突撃槍の威力は斧士に次いで高いしスキルの突撃は生半可な装備だと付け焼き刃にすらならないよ」
つまり受けるより躱せか。
「その代わり攻撃が突きは躱しやすい。だからAGI系のスキルを取った方が良いってこと。AGI上昇、跳躍、走行辺りがスキル屋で売っているからすぐに習得してLv上げに行けるよ」
モンドからすぐ手に入るAGI系スキルの説明を受ける。
まとめるとこんな感じ。
・AGI強化
一番ベターな選択でクノイも持って居るらしい。
動き全般のスピードを上げるので前衛なら取っておきたいスキル。
・跳躍
文字通り大きくジャンプ出来るようになるスキル。
高Lvだと人の頭を飛び越えられるようになる。
・走行
移動速度が速くなる。
但しそれ以外の動き(剣速など)はあまり上がらない。
「一番のオススメはAGI強化だよ。他2つは低Lvだと戦闘向きじゃない便利スキル扱いだからね」
「なんだ、便利スキルって?」
そういえば攻略サイトにもそんな項目が有ったようなあまり注目してなかったけどなんだろう?
「簡単に言えば戦闘や生産のような攻略には役には立たないけど走行みたいに持ってれば移動なんかの時に役立つスキルをまとめたものだよ」
「通称2軍スキルです」
そうか、2軍扱いのスキルなのか・・・
「セン、あなた何を考えているのかしら」
「まさかまた悪い病気が出たよ・・・」
悪い病気とは失礼な、不遇な扱いを受けているスキルを日の目の当たるところに持って行こうとしてるだけじゃないか。
と言うわけで獲得するスキルは決まったな。




