新装備3 アバター装備
翌日メールを確認してみるとアンズからメールが届いていた。
どうやらひとり遅れていたヒナゲシも無事ランク2になり森を抜ける事になったらしい。
ついでに何か見せたい物もあるらしくメールには何を見せてくれるかは書いてはいなかったが楽しみにしていてほしいとあった。
「あ、師匠こっちですー」
ログインしてすぐに商都の勇士像からハイジマに転移。
まだ昨日のカジノの一件が終わってない可能性もあるので丁度よかったとばかりに商都を脱出、気にしすぎかも知れないがトラブルは少ない方が良い。
途中道具屋に寄ってから集合場所になるハイジマの北門へと到着するとマリーを除く3人がそろっていた。
「悪い、待たせたか」
「いえ~私達も今そろったところですよ~」
「あとはマリーちゃんだけです」
「そうだセンさんに渡すものが~」
「渡す物?」
「はい、これです~」
リンドウが取り出したのは指輪とチョーカーだった。
「前にお願いされてた装備品ですよ~」
以前リンドウにDEXとAGIが上がる装備品の依頼をしていたのを思い出した、スッカリ忘れていたな。
「はい、どうぞ~」
「ああ、ありがとう」
渡された装備を確認してみると。
・技巧の指輪
DEX+3
・疾風のチョーカー
AGI+5
風耐性(微上昇)
「チョーカーの方はかなり上手に出来ました~」
確かにチョーカーの方はAGIが上がるだけでなく風耐性まで付いている。
「かなり良い物が出来たな、これは何かお礼しないといけないかな」
「いえ~、こちらも色々お世話になってますし。でもどうしてもと言うなら何か考えておきますね~」
「え、あぁ・・・」
あれ?今切っちゃいけない空手形切られたよう気がするぞ?
「待たせたわね」
振り向くと其処にマリーが居た、これで全員そろったな。
とそこで少し違和感を感じたのでよくマリーをよく見てみると。
「マリー、その目はもしかして」
「ふふふ、流石に気付いたわね」
気付くも何もマリーの右目が赤く、俗に言うオッドアイと呼ばれる中二病御用達の目になっていた。
おそらく課金アバターを買ったのだろう。
HGOではアバター作成時にある程度外見の変更も可能だが大きく変えることは出来ない。
そこで登場するのが課金アバターである。
攻略に役立たないがアバターの外見を変えることが出来るのだ、たしかエルフ耳とか鬼の角なども売っているし手続きが必要だが外見の性別も変更可能になる。
「この紅き闇の瞳を手に入れるために禁断の呪文を駆使して岩戸のように堅牢なる魔女王の宝箱を開けることに成功したのよ、そのために少なからぬ代償を支払うはめになったけど対したことではないわ」
「通訳」
「課金アバター買うためにお母様にお小遣いの前借りをお願いしたそうです、お小遣いの前借りお母さんおこなの」
「そのときに~家の手伝いもやるように言われたようですよ~」
マリーの中二語をヒナゲシとリンドウが通訳する。
「新たな闇を手に入れた私に出来ない事は何もないわ」
繰り返し言うが課金アバターは攻略の役には立たない。
「そろったし出発しようか」
「買い忘れはないですか~」
「忘れ物はなし、果物は梨が一番・・・くすっ」
「ちょっと無視しないでよ、ほらほら新たな闇の力なのよもう少し何か言いなさいよ」
マリーが何か騒いでいたがハリセンの一発で大人しくなった。
「サカイ大森林にとうちゃ~く」
「やはりいきなり魔眼はやり過ぎたかしら、もう少しおとなしめのとこから力を発現させていけばよかったのね」
マリーのフォローを後でしようと思っていたが懲りてないようだな。
そう言えば刀で戦うのはこれが初になるな。
一応剣技スキルも対応しているけど慣れておいた方が良いかもしれないな。
「森に入るけど最初のほうはソロでやってもいいか?」
「どうしてですか~?」
「武器を新しくしたからね、それに慣れておきたいんだ、解放」
封札しておいた刀を出して4人に見せてみる。
「刀です、キレイですね」
「白?闇色じゃないの?」
「へぇ、刀身は透明か。間合いが読みづらいな」
「あら~、でもこれよく見るとガラスですね~」
「グラスサムライソードって刀だ。ガラス製で脆いけど攻撃力は十分高い」
「なるほど~封札してるから壊れないわけですね~」
生産者として何か思うところがあるのかリンドウは興味津々で見てくる。
「そうだ師匠、私もついに封札したんですよ。解放」
アンズが札から封印していた魔物を呼び出したのだけど・・・
「ゲゴォ」
「ポイズンフロッグのケロピーちゃんです」
毒々しい色のリアルなカエル型の魔物だった。
しかも人の顔ぐらいの大きさでかなりキモ・・・いや、怖い。
「かわいいですよねー、もう一目惚れってやつですよ。見つけた瞬間にもう魅了玉投げつけてました」
「ゲゴォ」
「そ、そうか・・・」
嬉しそうにカエルを抱えながら話すアンズが少し怖い。
ふと他の3人の様子を見てみると、案の定少し離れたところに移動していた。
「でもこの子って封札したままだと強くならないですよね?」
「そうだな、そこはこっちも課題なんだよな」
自分が今封札して使役しているウルフも元々初心者用ソロ狩場の魔物だからな、はっきり言って弱い。
かといって手放すには少々愛着も沸いてきてしまっている。
今後何かしらの方法で封札状態からのLVUPとか出来ないか検証してみる必要があるな。
「とりあえず森に入るか」
「はい、師匠」
森の奥に進みながら出てくる魔物を片っ端から倒していく。
結論から言うと元々使っていたロングソードよりかなり使い勝手が良い。
刀身が透明で使いづらいかもと思っていたが実際振るってみるとシステムの補正なのか刀の間合いが分かるのだ、しかもその間合いが分かるのが自分だけなのか回避能力が高いはずのラッピングバードも躱す気配なく攻撃が当たる。
ヒナゲシに確認してみたが振るっている刀身は遠目で見ても見えないらしく出来れば相手にしたくない武器だという。
「こんなもんかな、大分感覚が掴めてきたよ」
「おつかれさまです、師匠」
「面白い武器を手に入れたみたいですね、ボクにもそれを作った武器士を紹介してくださいよ」
ヒナゲシも興味を持ったようで紹介をお願いされたけど・・・
「作ったのはネタ武器を専門に扱う人だぞ、ほらこんなのを作っている人だからね」
「ハリセン・・・」
刀の代わりにハリセンを見せてみる。
「考えてみろ、ガラス製の武器を作る人が真っ当な武器を作っていると思うか」
「なるほど、是非紹介をお願いします」
余計に興味を持たれてしまった、まあ良いけどね。
森の奥へと進んでいく、そろそろ門番ことサカイプラントゴーレムが出現する地点だな。
「いつも通りボクが前に出るからサポートよろしく」
ヒナゲシが前に出て残った3人がそれぞれサポート出来る位置に移動する。
俺も3人と同じようにサポートに回れるように移動する。
「さあ紅き闇の力のお披露目よ!」
残念ながらハリセンの届かない位置だった。
~NGシーン~
気付くも何もマリーの右目が赤く、「赤じゃなくて紅よ」
地の文につっこまないように。




