表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Heroes Guild Online  作者: ムムム
第二の街
52/100

第二の街7 闘技場

かなり間を置いてしまいましたが投稿です

~控え室~


「ホントにすまないな、こんなことに巻き込んじまって」

「全くだよ、これで報酬が有るから良いものの」


 本来このカジノの闘技場はプレイヤーからクエストとして受ける形で行われる、なのでちゃんとカジノ側から報酬は出る。

 2~7人のPTで1体の魔物の相手をして何分で討伐出来るか、もしくは負けるかを観戦者が賭けるゲームになっている。

 尤も今回のレトの様に負けこんだ結果借金返済代わりに参加する場合もあるのだが。


 ちなみに報酬は勝っても負けても有る、もちろん勝った方が報酬は良い。

 レトの場合は負ければ武器の返却だけ勝っても雀の涙程度の報酬だとか。


「これに懲りたら少しは自重しなよ」

「あぁ、・・・目的の物が手に入ったらな」


 ・・・何か言ったのか、よく聞こえなかったんだが。


 控え室の扉がノックされ外側から声を掛けられる。


「そろそろお時間です、準備をお願いします」

「おっし、時間か腕が鳴るぜ」

「やるからには勝ちたいよな」


 案内人に連れられて向かった先は闘技場の入場門。


「それではご武運をお祈りします」


 案内人に促されて門をくぐるとそこは体育館ひとつ分のスペースを円形に整えたような闘技場だった。

 壁には大きなディスプレイもあり残り3方向が観客席になっている。

 足場は砂地のようだが意外としっかりしていて動きに問題はなさそうだ。


「さあ、次なる挑戦者の登場だーー!!

 斧士と封札士の二人組、ペアでの挑戦だーー!」


 司会者付きか、いやこの場合ディーラーでいいのか?


「このふたりのランクは共に2、対戦魔物は強化暴走牛パワーアップスタンピードバイソンだーー!!

 さあ、みなさま奮ってご参加くださーい!」

「・・・良し」


 気のせいかレトが喜んだような。

 ・・・何かありそうだな。



 闘技場での賭け方は勝つか負けるかの他にどれだけ時間を掛けるかも決める。

 二人組の参加者の場合勝ちで5分未満、5分~10分未満、10分以上。

 もしくは参加者の負けで5分未満、5分~10分未満、10分以上。

 この6ヵ所に賭けを(ベット)することになる。

 負けの条件は制限時間の15分を過ぎるかプレイヤーの内ひとりでも脱落したら負け。

 なので人数が多ければ有利と言うわけではない。


「さあ、そろそろ締め切らせて頂きまーす!」


 司会者の合図と同時に賭けが締め切られたようだな。


「はい!今回の倍率はこれだーー!」


 そうして画面に映された倍率を見るが・・・

 なるほどこれは。


「おいおい、こいつはないだろ」


 表示された画面にはどこに何名賭けたかが表示されている。

 それによれば・・・・・・

 負けに賭けたのが8割、残り2割が勝ち。

 5分未満の勝ちに賭けたのは一人だけだった。


「レト、強化暴走牛ってそんなに強いのか?」

「通常のフィールドに居る暴走牛よりHPと攻撃力は強化されているが動き自体は変わらないからな、3人PTでだったら勝ちに9割。2人PTでも7割は勝ちに賭ける」




 なるほどね。


 つまり。


 やる気がでることしてくれるじゃないか。


「セン?」

「なんだ、レト」

「・・・いや、何でも無い」

「さあ、対戦魔物の登場だ!」


 司会者が俺達が入ってきた入場口とは逆側の入り口を指さすとそこには檻に入れられた大きな牛がいた。

 赤茶けた体毛の所謂バイソンと呼ばれる牛なのだが大きさが二回り以上も大きく頭の横から生えている角も前に突きだしている。

 すでに何かしらの処理をされているのか檻の中でも興奮して暴れている。


「そうだ、例の暗闇剣ってやつかアレは今回使わないでくれ」

「なんでだ?」

「暴走牛は見ての通り突進してくるんだが、暗闇状態だとどこに行くか分からなくなって逆に危険だからな。以前もそれで失敗したPTなんかもいたらしいぞ」


 なるほどね、言われてみればそうかも知れないな。

 それに討伐時間も計ってるし無軌道な相手だとそれだけ時間が掛かるってのもあるか。


「わかった今回は毒化剣でいくよ」

「そうしてくれ」



「準備は良さそうだね、それではカウントスタート!」


 ディーラーの掛け声と共に画面に大きく数字が表示される。


 5・4・3・2・1・0


「さあ!戦闘開始だ!」


 カウントゼロと同時に暴走牛を閉じ込めていた檻が消える。


「ブォォオオォオオオォォ!!」


 スタートと共に突進を仕掛けてくる暴走牛。

 こんなのまともに喰らえば一撃で終わりかねないな。


解放リリース。ウルフ行け」


突進を横に避けながらウルフを呼び出しけしかけるが――――


「ブォオ!!」

「キャイーーン」


 あっさり暴走牛に轢かれて飛んでいってしまった。

 そして大きな衝突音をさせながら壁にぶつかる暴走牛。

 あんなのに轢かれたけどウルフは大丈夫だろうか。


「ならこっちだ、解放リリース


 毒化剣を出しなるべく横に回るようにして切りつける。


「セン、角を狙え!」

「分かった!斬撃スラッシュ


 暴走牛の角を狙って斬撃で攻撃するけどかなり硬い。

 それに角に弱点看破が通じてないようでクリティカルポイントが見えないんだよな。

 やがてウルフも復活して攻撃に加わってくれている。


「流石に硬いな」

「スキルを使う、足止めを頼む」

「そんなに保たないよ」


 ウルフと一緒に暴走牛の気を引きながら攻撃をしていくと。


「お、毒った」


 角には見えないけど身体の部分には弱点看破が見える。

 角への攻撃に合わせて攻撃していたら毒状態になった。


「ブグゥルルル・・・」


 毒状態になったことで少しずつ暴走牛のHPが減っていっている、さらに動きが鈍くなってきているようだ。


「チャンス!重斧撃アックスストライク!」

「ブグラァァァァ!」


 レトの一撃で暴走牛の角の1本がへし折られる、所謂部位破壊ってやつだな。

 そして片方の角が折られたのが原因なのか残った角に弱点看破のクリティカルポイントが見えるようになっている。


「こっちももらった!斬撃スラッシュ!」


 弱点看破でのクリティカルも決まり残った角をへし折ることが出来たけどまだ油断は出来ない。

 なにせこの巨体だ、角は無くても突進攻撃を受ければ一撃死だってあり得るからな。

 それに毒も喰らわせてさらに角を折っているのにまだHPは半分ほど残っている。

 こいつを一気に削る方法は何か無いかな・・・


 よく見ると弱点看破でのクリティカルポイントが頭に集中してきているなこいつを利用出来れば行けるかも知れない。


「ブォオォォ!」

「おぉっと!危な!」


 考え事をしていたら暴走牛の突進攻撃に当たりそうになってしまった。


 ガン!!


 そのまま壁まで突進したせいで壁にぶつかってHPを減らしてる。

 これは利用出来るかも知れないな、頭に弱点が集中しているけど攻撃しようとすれば突進される、そのせいでいまいちダメージを与え切れてないしな・・・。

 試してみるか・・・・・・いや、危険だし止めておいたほうが良いな。


「何か思いついたのか?」


 レトが考え事をしている自分に何かを察したらしく声を掛けてきた。

 俺の周りにいる人は妙に勘が鋭い人が多いのは気のせいか?


「一応、思いついたことはある。けどかなり無茶な事だからな、そんなことしないでも倒せるんじゃ無いのか」


 実際すでに角も折りHPも半分切っている、このままで無理しなくても勝てるだろう。


「何言ってるんだ、あの倍率には俺だって思うところがあるんだ。思いっきりやっちまえ!無理や無茶だって問題ねぇよ!」


 何というか・・・俺が言わなきゃいけないセリフを言われた気がするな。

 ここで一発見返してやりますか。


「レト、作戦がある手伝ってくれ」

「おう、任せろ!」



 作戦で利用するのは暴走牛の突進だ。

 突進は一度走り出したら一定以上の距離を走らなければ止まらない。

 その距離はこのフィールドの約半分ほどのになる。


 まずレトに暴走牛の気を引いて貰いながら少し壁に近い位置に動いてもらう。

 その間に自分は壁際に移動する。

 準備はそれだけ、後は度胸と運!


「レト良いぞ。こっちに来てくれ」


 俺のかけ声と共にレトがこちらに向かって走ってくる。

 位置関係は牛、レト、自分と一直線だ。


「ブォォォォォォォォ!」


 暴走牛は並んでいる二人を見てチャンスとばかりにここで突進攻撃を仕掛けてくる。


「後は任せた!」


 正直思いつきの作戦だからうまくいくか分からないけど、信頼されたんならやるしか無い!

 壁を背に突進してくる暴走牛を真っ直ぐ見据える。

 そして剣を真っ直ぐ槍のように前に突き出す、狙いは暴走牛の額。


「ブォォォォォォォ!!」


 剣が額に当たる瞬間に剣をその場に残したまま横に躱す。

 その結果起こる事は・・・




 そこには額に深く剣を刺した暴走牛の姿が有った。


 簡単に状況を説明すれば。

 暴走牛は自分と壁とで剣を挟んだのだ、ただし剣は縦の状態でだ。


 普通の剣でこんなことをすればおそらくダメージは与えられるだろうが同時に剣が壊れるだろう、だが今回使った剣は封印剣。つまり壊れない剣だ。


 それに壁も剣と同じ非破壊属性を持って居そうだ、なぜなら最初に角の有った暴走牛の突進にでも壊れなかったからね。


 つまり暴走牛は壊れない壁に向かって壊れない剣を頭に当てたまま突進をしたのだ。

 結果はご覧の通り。

 暴走牛は大きな音を起てて倒れ込み、消えていった。



「決着!レト・センペアの勝利だーー!そして気になるタイムはー!」


 闘技場にある視線が画面に集中した。

 そこに映し出されたタイムは。


  4:47


 5分を切っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ