第二の街3 ツノハ到着
準備も終わり北門を抜けてサカイ大森林に向かう。
「7人そろうのって実は久しぶりッスかね?」
「そうだったかしら?」
そういえば7人そろっての狩りは最初のころに一度やったきりか?
その後は同じPTとしていながらもバラバラに動いていたからな、主に俺が。
「まあ、そろうのは久しぶりだが今回のやつは問題ないだろ。もっと北の方に行く事を考えれば連携も何とかしなきゃ行けないがな」
「そうだよ、門番で躓くような事も無いとは思うよ」
「油断大敵よ、ボスエネミーには代わり無いんだから」
ミニッツから注意が入る。たしかにGBアントの時みたいに情報にない動きがあるかも知れないしな。
7人で雑談しながら森の奥へと進んでいく。流石に7人そろっているので目的とする場所まで問題無く到着した。途中で出る魔物はほぼ瞬殺である。
「そろそろ出るころだよ」
「わかってるわ」
ここで今回の敵の説明をしておこうと思う。
従来、門番の役目をするボスエネミーを配置する場合、洞窟の入り口など目的地に行くためには必ず通らなければ行けない場所に配置するのが正しい方法だ。
森の中の場合障害物を配置して道を一本にするやり方だろう。
だがHGOではそのやり方が意味を無さなかったのだ。
スキルの中には「跳躍」や上位スキルになる「身軽」などがあり、障害物となっているいる崖や岩山や木などを登り飛び越えて行けてしまうのだ。
進入禁止エリアを作れば問題なくなるのだが運営会社はその辺りはリアルに作りたかったらしく見えない壁のような物は陸地には作っていない、海の上には存在しているらしいが。
なので森のようにどの進行ルートでも抜けることが出来る場所に門番の役割を持つ魔物を配置することほぼ無理なのだ。
では門番と呼ばれる今回のボスエネミーはどんな存在か。
「おいでなすったぞ」
地面が盛り上がりそこから巨大な樹で出来たゴーレム、サカイプラントゴーレムが出現した。
3メートルを越える巨体に歪に捻れた枝が手足のように伸び、顔と思われる位置に眼や口に該当する虚がある。正直夜中に見たらかなりホラーな姿だ。
「夜時間じゃなくてよかったー」
「そうッスね」
「これはホラーだな」
「ええ・・・」
今回が初見になる(自分も含めた)4人感想が一致する。人によっては2度と相手にしたくないだろうな。
このホラーテイストの魔物が門番だ。
つまり障害物を使ってもルートを固定出来ないのなら全てのルートに出現する魔物にすれば良いと結論付けられて作られたのがこの魔物らしい。
出現位置は森を横断する様にあり、森を抜けようとするPTがいた場合遮るように生えてくる魔物。
仮に倒さずに抜けようとしても新たに生えてきて挟み撃ちにされてしまうのだ。
「それじゃあ、行くよ。敵意操作」
モンドのスキルを皮切りに戦闘が開始される。
「解放、行け!」
狼を呼び出して攻撃に参加させる、ちなみに「行け」と声を掛ける必要は無いし意味も無いのだが気分の問題だ。
「気分は木こりだ!おら!」
レトの攻撃が足に当たりゴーレムのバランスが大きく崩れる。
そのタイミングを逃さず後衛組から攻撃が飛んでいく。
「雷撃弾」
「衝撃矢」
「刺突刃」
いつのまにかゴーレムの後ろに回っていたクノイからも攻撃が入る。
早くしないと出番取られそうだな。
「斬撃」
レトが攻撃した足を横薙ぎで攻撃する。
なぜかスキルを使った攻撃よりレトの素の攻撃のがダメージを与えている。
「グルォォォォ!!」
ゴーレムの大振りの一撃がモンドに向かうが――――
「攻撃低下」
「おっと!感謝だよ」
ミニッツのスキルによって攻撃力が低下したゴーレムの一撃をモンドが盾で受け止める。
「このまま押し切るぞ!重斧撃」
やはりレトの攻撃は重く一撃でゴーレムのHPを大きく削る。
大きくダメージを負いながらもゴーレムの口を大きく開き何かを撃とうとしている。
「まずい!種爆弾だ。レト引いて」
種爆弾はプラントゴーレムの必殺の攻撃で広い範囲での強力な攻撃が特徴だ。
ただし予備動作もわかりやすいので避けるのは容易いのだが。
「まずっ!」
大技を出したばかりのレトは技後硬直に入っており動けないでいる。このままでは爆発に巻き込まれそうだが――――
「封印」
・封印されたシードボム MPコスト6
シードボムが封印されています
残り封印時間 0:27
何とか封印成功。流石必殺スキルなだけあって封印時間が短いな。
「自分のスキルで吹っ飛べ全解放」
解放したシードボムをゴーレムの口の中に投げ返す。
大きな音と共にゴーレムのHPが大きく削れる。ボスエネミーのHPをこんなに削れるってどんだけ高い攻撃力なんだよ。
「すまん。助かった」
「気にしなくていい、それよりそのまま倒すよ」
ボムで口を破壊されたゴーレムはそれ以降は種爆弾を使うことは無くなりミニッツの弱体化スキルによって動きにも精彩さが無く程なくして。
「重斧撃これで最後!」
レトの一撃が止めになりついにゴーレムを倒す事が出来た。
「おつかれー」
「おつかれッス」
「お疲れ様、みんな頑張ったわね」
これで次の街への道が出来たか。
「セン、さっきはすまなかったな。助かったよ」
「いいよお礼なんて。同じPTメンバーなんだから助け合わないとね」
「そうだな、だが感謝はさせてくれ」
なんだか照れくさいな。
このまま森を抜けて第2の街「商都ツノハ」に到着した。
「これでチュートリアルは終わりだよ」
「チュートリアル?」
「そそ、森を抜けてツノハに到着するまでがチュートリアル。ここからが本番だよ」
なるほどね。たしかに森を抜けてから行動範囲が一気に広がるからな、ここから本番か。
「うおー!ここがツノハッスかー」
「ひろーい」
「へーキレイな町並みね」
森を抜け平原を越えた所にある門を抜けてツノハに到着。
新しい街だと言うことで全員はしゃいでいると。
そこにヤクミチから1通のメールが届いた。
その内容は――――
「フネタイハ、カグツッチーカエル」
何で電報風??




