ランクアップ2 魔物研究家
おかしい何でポイントが貯まっているんだ?
最後に確認したのっていつだっけな、たしか昨日のヤクミチの依頼受ける前か。
その時点ではまだ貯まってなくて80%位だったはず。
「どうしたよ、セン」
「いや、どうやら俺もRUクエを受けれるみたいだ」
「え?いつの間にそんな貯めてたの」
「いや、心当たりがない。たしか八割程度しか進んでなかったはずなんだが」
どうゆう事だろう?
昨日あの後だとPVPやって3人と森で・・・
「ひとつ聞きたいんだけど」
「なにかな?」
「クエスト受ける以外にポイント貯める方法ってあるの」
「いくつかあるわよ」
スイが答えてくれるようだ。
「昨日君がやったPVPもそのひとつね、と言ってもそれほど貯まるものでは無いんだけど」
「PVPも?」
「ええ、ただ負けた方にデスペナが付くだけだと誰もやらないでしょ。だから勝った方にもご褒美がないと」
そう言われればそうか。
PVPを楽しむ人達も居るだろうし何かしらメリットが無いとね。
「それと町にいるNPCからのお願いなんかもポイントになるみたいよ。ただしPVPもお願いも貯まるポイントは低いわ」
「そうなんですか?それだと貯まった原因はあれしかないよな」
「あれって何したの」
「パッティゴブリンロードの討伐です」
一瞬落ちる沈黙。
ミニッツが呆れながらもみんなの声を代弁してくれた。
「あなたはホントに1人の時何してるのよ」
「まあ人数さえ揃えばランク1でも討伐は出来るからな」
「2日目で封札士含めた野良のPTで大人数揃えたッスか」
その疑問は尤もだ。
昨日の一件が在ったとはいえ、まだ封札士の立場は低い。
フィールドボス討伐目的ならまず呼ばれる事はない。
仮に討伐PTの主催したとしても集まらない可能性もある。
その場合寄生扱いされて終わるだろうな。
「ロードと戦っている時に偶然近くにいた人が助太刀してくれまして」
「運が良かったんですね」
PVP相手がその助太刀相手って事は言わない方が良いかもな。
また呆れられそうだ。
「それでフィールドボスならポイントって貯まりますか?」
「貯まるわね、間違いなく」
やっぱ原因はゴブリンロードでした。
そういえばロードからでたアイテムの使い道考えてなかった。
後回しでいいか。
「とりあえずセン君、RUクエ受けちゃいなさい。基本時間制限無いわけだし」
そうですね、クエスト受注っと、内容はどんなだろ。
・依頼内容
西倉庫地区に住んでいる魔物研究家のスランダさんから封札士にお願いしたい事があるようです。
スランダさんに会い依頼を受けてください。
これだけだと何すればいいかわからないな。
まずレトのを終らせてからにするか。
「ねえレト、そっちは全員で行かなくても大丈夫よね」
「ああ、別にグリーンベア程度ならフルPTでなくてもなんとかできるけど」
「そう、じゃあ私はセン君と二人でクエスト進めて来るわね」
え?スイはなに言ってるんだ。
「封札士のRUクエストって結局誰もサイトに載せなかったのよね、それなら私の出番でしょ」
「それなら別にレトが終わった後でもいいのでは?」
「別に問題ないみたいだし、皆して一緒に動き回るのは効率悪いわ。戦闘で人が必要なら改めて合流すればいいわけよ」
そう言われるとそうなるのかな。
「まあいいだろ、俺も封札士がどんな戦い方するのか見てみたかったが強くなってから見た方が面白そうだ」
レトの意見は戦闘狂ぽいぞ。
一応レトの了解も得られたしその方向で行きましょうか。
「私もセンの方に付いていくわよ」
ミニッツの突然の発言。
「私武器を変えたばっかりで試してみたいのよ、大人数だと杖使う事になるだろうし少数PTの方に行かせてもらうわよ」
「あれ?別にこっちで銃でも、いえなんでもありませんッス」
ミニッツに一睨みされて発言を撤回するトイス。
よっぽど怖かったのかまだ視線がさ迷っている。
「あー、まあいいか。じゃあ今日は4人と3人に別れてのRUクエってことで行くか」
レトの号令で皆ギルドを出て目的地に向かうことになった。
ハイジマの町は港町になる。
その港に面しているのが西倉庫地区、名前の通り倉庫が建ち並ぶ一角だ。
「ってことは港の倉庫に人が住んでるってことになるわけね」
「クエストの受注票にはそう書かれてますね」
受注票には地図が載っていて目的地まで迷うことはない。
在ったここだ。
倉庫地区の外れにある倉庫にしては小さめの建物がスランダさんの住居兼研究室らしい。
戸を叩き呼び出してみる。
「はーい、開いてるので勝手にどうぞー」
中からまだ若いと思われる男の声が聞こえてきた。
どうぞと言われたので扉を開けて中に入る。
中の様子は一言で言えば雑多だった。
倉庫としては小さいが作業するには充分広い空間だ。
その空間内にところ狭しと様々な物が落ちている。
机は在るがあらゆる書類が無造作に詰まれ広げられているし。
それこそ何に使われるのか解らない人が丁度入るぐらいの大きさのガラス管などもある。
だけど不思議なことにガラス管前あたりには何もない空間があったりとちぐはぐな感じだ。
「えーと、どちら様ですか?」
奥から出てきたのは30代半ばぐらいの白衣を羽織った男だ。
いや、無精ひげだから年が上に見えるだけで実際は20代ぐらいか?
この人がスランダさんかな?
「あなたがスランダさんですか?自分はギルドから依頼を受けてきた封札士です」
「あぁ、あなたが依頼受けてくれた方ですか助かります」
一応断りを入れておけばこの人はAIで制御されているNPCだ。
ただしNPCだからと言ってぞんざいに扱うことは出来ない。
HGOのAIは良く出来ていて完全に人の様にとまではいかないがかなりリアルな反応をしてくれる。
今回の場合だとちゃんとギルドから来て依頼を受けていることを伝えなければ話が進まないし不作法な行動をした場合追い出される、そうなった場合改めて話しするにはそれ相応時間と手間がかかることになる。
例えNPC相手だとしてもきちんとした対応出来ないやつはゲームをする前に人としての礼儀を勉強して来いという運営サイドの思惑が見える。
まあ俺が勝手にそう考えてるだけだけどね。
「さっそくで悪いのですが、依頼内容をお話しますね。実は私は魔物研究家をしていまして今度の研究に3種の魔物が必要なのですよ、ですのであなたにはその魔物を封札して持ってきてほしいのです。」
魔物を封印して持ってくるか、なるほど封札士らしいクエだな。
「封札はこちらで用意した特別製の札を使っていただきます、この札にそれぞれ指定の魔物を封印して下さい」
スランダから3枚の封札を渡される。
・スランダの空封札
スランダに指定された魔物を封印する為の封札
特別製なのでMPコストが0だ。
「それではお願いします」




