結婚式
冬晴れの気持ち良い日。美しいステンドグラスを通して、太陽が優しく差し込む大聖堂で、カタルニア王国第二王子のフェルディナンド王子とシュトルツ公爵家令嬢メリアンの結婚式が挙げられていた。
合唱隊の天使のような歌声が響き渡り、参列者たちの心に響く美しい旋律が、神聖な雰囲気を一層引き立てていた。会場には、カタルニア王国の王族、国中の貴族、そして他国からの来賓など、多くの人々が集まっていた。出席者たちは、華やかな衣装に身を包み、お祝いの気持ちで溢れていた。
メリアンは、純白のウェディングドレスに身を包んでいる。ドレスは繊細なレースで装飾され、手首まで伸びる長袖が彼女の気品を演出していた。スカート部分は軽やかに広がり、彼女の女性らしい曲線を美しく強調していた。繊細なベールが彼女の顔を包み込み、透ける程度の光で、彼女の赤い髪がほんのりと透けて見える。エレガントなアップスタイルにまとめられた髪には、ダイヤモンドで飾られたティアラが煌びやかに輝いていた。そのティアラは今は亡きフェルディナンド王子の母の形見であった。
一方、フェルディナンド王子は、藍色と銀色を基調にしたこの国ならではの婚礼時の正装に身を包んでいる。白いシャツは彼の整った顔立ちを引き立て、銀色の刺繍が華やかに施された藍色の上着は、彼の品格と権威を感じさせるものであった。
ルカは淡いブルーのスーツに、リリスは薄ピンクのドレスを身に纏い、共にメリアンのベールの後ろを持ち、小さな足取りでついていく姿が愛らしい。
バージンロードを歩むメリアンの姿を見つめるフェルディナンド王子は、優しく微笑み、愛情に満ちた目で彼女を迎え入れた。
立会人のもとで、フェルディナンド王子とメリアンは手を取り合い、永遠の愛と忠誠を誓い合う。
「私、カタルニア王国第二王子フェルディナンドは、メリアン・シュトルツを愛し、支え、悲しみと喜びを共に分かち合うことを誓います。」
「私、メリアン・シュトルツは、カタルニア王国第二王子フェルディナンドを愛し、励まし、悲しみと喜びを共に分かち合うことを誓います。」
フェルディナンド王子はメリアンの目を見つめ、繋いだ手を優しく握りしめた。メリアンも瞳を輝かせ、幸せそうな笑顔で王子を見上げる。会場の空気が一層神聖なものへと変わり、期待に満ちた静寂が訪れた。参列者たちも息を呑み、この瞬間を見守る姿勢になっている。
フェルディナンド王子は、メリアンに近づくと、彼女の潤う瞳を深く見つめ両手でメリアンの頬を優しく撫でるように包み込んだ。メリアンは緊張と期待に満ちたように王子を見つめ返す。
フェルディナンド王子はゆっくりと額を寄せ、リードするように彼女の唇に優しくキスを落とした。二つの唇が触れ合った瞬間、まるで時が止まったかのような感覚が二人を包み込んだ。永遠に、との誓いが込もったキスは、二人がこれまで歩んできた道のりや、これから共に、家族として歩む未来への期待でいっぱいだった。彼らの唇が触れ合った瞬間、会場にいた誰もが息を呑み、その美しい光景を目の当たりにして感動していた。
キスが終わると、お互いに見つめ合い、照れ臭そうな笑顔を交わした。会場は二人を祝福する歓声と、温かい拍手で溢れた。
フェルディナンド王子とメリアンは、大聖堂から宮殿のボールルームへ向かうために、白い馬に引かれた豪華な馬車に乗り込んだ。馬車は金色の装飾が施され、車輪や馬具も細かい彫刻が施されており、煌びやかな存在感を放っていた。
馬車が大聖堂を出発すると、沿道には多くの国民たちが集まっており、フェルディナンド王子とメリアンを祝福する声が響く。国民たちは花びらを投げ、二人に対する祝福の気持ちを表現していた。空には色とりどりの紙風船が舞い上がり、幸せの象徴として青空を彩っていた。
宮殿の門をくぐり、広大な庭園を抜ける。
馬車はボールルームの前に停まり、フェルディナンド王子は降りる前にメリアンに優しく手を差し伸べた。メリアンは王子の手を握り、馬車から降り、二人はボールルームへと入った。
シャンデリアが輝くボールルームでは、楽団が美しい音楽を奏でており、床には絢爛な絨毯が敷かれ、壁には絵画や花の装飾が施されていた。フェルディナンド王子とメリアンが入場すると、招待客たちは彼らを温かい拍手で迎えた。王子とメリアンは感謝の気持ちを込めて丁寧なお辞儀をし、ダンスタイムが始まり、皆が華やかに舞い踊った。
六年半前のあの日、この場所で、婚約破棄をされると思っていたメリアン。六年半後、まさか同じ場所で結婚することになるなんて、思わなかった。
自分の前世の記憶がなければ、今の幸せを手にすることができたのかどうか、深く考えた。フェルディナンド王子とエレオノーラと結ばれることが無い未来で、自分と結婚したとしても、もしかしたらお互いに素直になれないまま傷つけ合うだけの夫婦になっていたかもしれない。もちろん、フェルディナンド王子が他の人と結婚する未来もあったかもしれない。そして何よりも、前世の記憶がなければ、もちろんルカやリリスを身籠ることも無かった。
前世の記憶があったからこそ、今のメリアンがいる。信じられないほどの経験と努力を経て、新たな人生を歩んだ。そして、その道のりで、彼女はフェルディナンド王子と再び出会い、今ある幸せと真実の愛を見つけることができた。
全てが必然であり運命であった。
披露宴が終わり、フェルディナンド王子とメリアンは、バルコニーに出た。今日は月が一段と輝き美しく見える。冬の夜空の下、毛皮を羽織ったメリアンをさらにあたためようと、フェルディナンド王子はメリアンを後から抱きしめ、メリアンの腹部に手を置く。
「おとうさん、おかあさん!」
そこにモーリスとエリオットに連れられた双子がやってきた。そして二人を挟む。
「リリスね、いもうとのおなまえを、かんがえたの!レイラがいいとおもうの!」
「ぜったいにおとこのこで、なまえはリチャルドだ!」
今、メリアンのお腹にはもうひとつの命が宿っている。母として、そして新たに妻として生きることに期待と喜びに溢れている。ゲームのシナリオの一つでは悪役令嬢とされてきたメリアン。けれど、数々の困難を乗り越え、幸せを手に入れたメリアンはまさにヒロインの如くハッピーエンドを迎えたのだった。
この後いちゃラブ エピローグに続きます・・・!




