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シヴァの受難 2

お昼御飯を食べる為、私とシヴァ君は冒険者ギルド内にある酒場へとやって来た。

ここはメニューが豊富でどれも美味しく、値段もお手頃な為、街に来た時は大抵ここで食事を取る。

そうでない時は、アージュにお呼ばれして動物屋でジュジュさんの手料理をご馳走になるか、アイリーン様にお呼ばれしてハイヴェル邸でご馳走になるか、はたまたアージュとアイリーン様とで、どこかの店で出された新作スウィーツを目当てに足を運ぶかのどれかだ。


「さ~て、今日の日替わりランチは何かなぁ?」

「楽しみだな」


私とシヴァ君は揃って日替わりランチを注文して、席についた。

ここの日替わりランチはメニューの詳細がどこにも書かれない。

料理が運ばれて来るまでのお楽しみになっている。

なので、好き嫌いの多い人などは注文する事はないようだ。

中には、博打的な賭けが好きな人が、運試しよろしく注文して楽しむという例外は、あるみたいだけど。

『賭けに負けちまったぜ……』と言って、これでもかと眉間に皺を寄せながら目をきつく瞑ってひたすら料理を口に運ぶ冒険者さんが、たまにいたりする。

そんな冒険者さんを、周りにいる別の冒険者さん達は、苦笑して見てたり、指差して爆笑してたりと、いつもわりと和やかに、そして賑やかに取り巻いている。

私達はそんなここの空気が、とても好きだった。


「お待たせしました~! 日替わりランチ二つ、お持ちしました! さぁどうぞ、召し上がれ!」

「あ、きた! ありがとうございます!」

「へぇ、これが今日の日替わりランチか」


酒場で働く女性の明るい声がして、テーブルの上に料理が置かれる。

私とシヴァ君はその動きを目で追いつつ、料理を確認した。

今日の日替わりランチはフライの盛り合わせとサラダ、ライスにスープだった。


「うん、今日も美味しそう! いただきます!」

「そうだな。いただきます」

「……おや? これはこれは、先ほどのお嬢さん達ではありませんか」

「え?」

「!?」


私達が箸を手にして、食べ始めようとしたその瞬間、横から爽やかな声がかけられた。

そちらを見れば、長い銀の髪を首の後ろでひとつに束ね、ラフな服装に身を包んだ男性が立っていた。

帽子を目深に被っていて、顔の半分ほどが隠れてしまっているけれど……この声、それに、この銀髪は。


「まさか、私の歌を聞きにいらしたお客様の中に、冒険者ギルドで食事をする方がいらしたとは……そんな方に、初めて出会いました。……よろしければ、ご一緒させて戴けますか?」


そう言って、男性は帽子を取った。


「ぎ、吟遊詩人さん……!!」

「私はユージン・シギウと申します。先ほどは、私の歌をお聞き戴き、ありがとうございました」


突然の吟遊詩人さん登場に驚く私達に、彼はにこりと微笑んで、その名を告げた。

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