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黒髪赤目の忌み子は英雄を目指しダンジョンの最奥を目指す  作者: 春アントール
英雄とは、絶望を切り捨てるものだ
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20層の謎

「……よーし、到着!」


「わー!ここがネルカート!森の外!すげぇ!本で見た建物が沢山ある!」


 ライが興奮気味にあっちこっちと歩き回る。


「……おや?カルカトス君?元気かい?」


 聞き覚えのある声がそう尋ねた。


「あ、クロルさん、こんにちは、元気ですよ」


「そうか、良かったよ……いやぁ、我々も君のおかげもあって引っ張りだこさ」


「?何かあったんですか?」


「いやぁ、ね?俺たちは初めて20層に到達したパーティーでもあるんだ……まぁ、ギリギリだったし、今は最深層攻略は別のパーティーにお株を奪われたけどね」


 現在順調に『29層』まで歩を進めているパーティもある……まぁ、また別の機会にしようか。


「このまま30層に到達するのはどうかと思ってね?」


「それの会議で呼ばれる……みたいな感じですか?」


 共に隣を歩いていてわかる、クロルさんも冒険者ギルドへ向かっている。


「大方そんな所だ、最も恐ろしいのは『20層と30層の守護者が共闘すること』だ」


「!……確かに単純計算でアライトさんが2人……あぁ、確かに考えただけで恐ろしい」


「そうだろう……それに、深層へ向かうだけ敵は強くなる……つまり、アライトをも上回るやもしれん守護者が2人同時に現れる事が有り得るようになるかもしれない……ということだ」


「な、なるほど」


「あとは『守護者』の呼び名を決めたり、20層についてさらに深く考察や探索を進めたりする

万に1つも守護者の逆鱗に触れることの無いように細心の注意の元調べるようだよ」


「……確かに、分かれば、前言っていた議論に一石を投じれるかもしれませんからね」


 守護者を人か、モンスターか、どう受け取るか。


「そういうこと……会議、参加するかい?」


「いえ、今日はこいつの試運転日なんですよ」


「や、槍!?槍も使えるのかい!?しかもそれ見る限り相当上等なもの……剣の時と言い君な何者なんだい?」


 武器をコロコロ変えてるから驚かれてしまった。


「まぁそれは俺にもよく分かりません……俺は、何者なんでしょうかね?」


「……わかったら、是非とも俺に聞かせてくれないか?」


「えぇ、その時教えます」


 いつも通りのギルドで適当に『地上の仕事を』探す。


 ダンジョンに籠るのも悪くは無いが……そろそろ昇格も視野に入れたい。


 一般的には『シルバーからゴールド』『プラチナからミスリル』この昇格が『鬼門』と呼ばれている。


 シルバーからゴールドになる、それは熟練のものに大きく近づいたということ。


 プラチナからミスリルになる、それは世界を震撼させる程の偉業を為したということ。


 そう、比喩されるほどに、大きな壁となっている……まぁ、ダンジョンの前のリハビリだな。


『待たせて悪かったな、行こうか、ライ』


「ん!行くぜ〜!」

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